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一条兼定なんて・・・(泣)  作者: レベル低下中
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四国統一戦に着手する

誤字脱字報告、ありがとうございました。

これからも、応援よろしくお願いします。

 8月24日に号令を発した兼定は、直ちに兵の動員を始める。


 今回は部隊を三手に分けて侵攻を行う。

 主力は伊予国内と宇都宮、宇和郡の兵約一万八千で編制され、これを大将安並和泉守、副将に宇都宮遠江守で臨む。


 第二軍は幡多郡及び高岡郡の兵でおよそ六千。これを為松若狭守と加久見左衛門が率いる。

 第三軍が長宗我部、香宗我部、安芸連合軍八千で、安芸備後守と長宗我部弥三郎が率いる。


 そして総本陣は、それぞれの軍との情報連絡を考えて朝倉城に置き、ここに兼定と宗珊が詰め、中村の留守居役は羽生監物である。


 進軍ルートは三箇所で、主力は讃岐街道沿いに川之江から海沿いに侵入する。

 そして、第二軍は川之江から伊予街道を上り、白地へ至るルートを取る。


 史実に於いて、長宗我部軍は吉野川沿いに阿波に入り、大歩危・小歩危を避けるように間道を進んだが、大軍とその物資を運ぶにはいささか不適である。

 当時の長宗我部軍と違い、せっかく伊予を手中に収めているのだから、容易なルートを選ばないと損である。


 そして、第三軍は、野根山街道を越えて、阿佐海岸沿いに進む。

 これはかつての長宗我部軍同様である。


 そして、軍装であるが、主力に鉄砲千丁、大砲四門、第二軍に鉄砲五百丁に大砲二門、第三軍に鉄砲二百が配備されている。


敵の調略の状況であるが、讃岐の大物である天霧城主、香川兵部(之景)がこちらに寝返る気マンマンである。

 それまでもかなり怪しい動きをしていたらしい御仁である。


 また、土佐七雄の一つ、大平氏の一族である橘城主、大平伊賀守(国祐)とすぐ近くの財田大篠城主、財田和泉守(常久)が讃岐ではこちら方に付くとの意志を確認できた。


 讃岐の諸将、特に西讃の城主にとっては、六年前の善通寺の合戦以降に三好へ降った者達である。

 さらに実質的な主であった十河一存の死も、彼らの動揺を誘ったのだろう。


 阿波方面では、白地城・大西城主、大西覚養や東昼間城主、佐々木右京進ら、三好郡の城主の他に、海部郡の吉野城主、海部将監(友光)、牟岐城主、牟岐大膳らが既に恭順の意をしましているそうだ。

 彼ら阿波辺境部の将にとって、現状の三好氏は援軍を出してくれそうに無い主人なのだろう。


 また、讃岐・阿波の兵力であるが、最大でも二万四千ほどだと見込まれる。

 相変わらず畿内に駐留している兵は多いし、彼らが戻ってくるにしても相当な時間を要する。


 そして、畿内は荒れている上に周辺も敵だらけである。

 過去に四国から畿内に兵を出したことはあっても逆は無いのである。


 さらに、遠征するこちら側はまず寝返る将はいないが、三好側は日和見する者も必ず出てくる。

 彼ら動揺層を取り込めば、一気に戦況はこちらに有利になると踏むのは、いささか楽観的だろうか。


 9月7日に中村を発った兼定は、10日に朝倉に入城する。



『いよいよだな。』

『さすがに緊張するぞよ。この一戦、絶対に負けられぬからのう。』

『そうだな。兵力はほぼ五分で、楽な戦いでは無いが、弱味は相手方の方が多い。』

『そうよの。これを待っていた訳じゃからの。』

『まあ、謀を仕掛けた将が、どれだけ実際にこちら方にすんなり付いてくれるかだな。』


『この状況で付かぬということがあるじゃろうか?』

『油断はするなよ。こちらを騙し討つ腹の将も当然いるだろう。それで大将が動揺しない心構えが肝心だ。』

『そうよの。謀だけで勝敗が付くなら、戦などしなくても良いのじゃからのう。』

『その通りだ。三好だって、こちらが謀を用いてくることくらい、承知の上だろう。』

『わかった。気を付けるぞよ。ところで、此度の戦で淡路までの三国を全て手中に収めないといけないものでおじゃるか?』

『最低でも讃岐一国と三好、海部、那賀の阿波三郡は欲しいところだな。』

『しかし、それでは三好の牙城を崩すまでには至らぬのう。』

『そうだな。阿波で一番豊かな地域は残ったままになるな。』


 しかし、あのゲームをやった人なら分かるだろうが、一気に三カ国を手に入れられるような仕様にはなっていない。


『それでは思わぬ反撃を喰らうかも知れぬのう。』

『それは考慮にいれておけ。今はバラバラに対立している三好だが、敵が現れると一気に結束する恐れはある。まあ、松永弾正あたりはこの混乱に乗じてくるだろうがな。だから、緒戦で勝利し、大きく侵攻することが重要だ。』

『敵に諦めさせるのじゃな。』

『あまりに良い条件なら、今回はそこで和睦しても良いぞ。』

『そんなに上手く行くかのう。』

『例えばの話だ。様々な選択肢を考えていた方がいい。賭け事と同じで、引き際も大事だぞ。』


『分かったぞよ。この漲る知力で必ず勝ってみせるぞよ。』

『何が漲っているって?』

『やっぱりツッコんできたのう。麿の類い希なる知謀よ。』

『類い希に恵まれてないからなあ。』

『悪霊のその認識を今回、変えてみせるぞよ。』

『楽しみにしているぞ。』


 まあ、自分が前線にいない時は元気なこと・・・



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