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一条兼定なんて・・・(泣)  作者: レベル低下中
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毛利との直接交渉

「世に名高き一条家の御当主にお目通りが叶い、光栄至極に存ずる。それがしは毛利家臣、小早川又四郎と申す者。そして後ろに控えるは、因島の村上新蔵人でございます。以後、お見知りおきを。」


「遠路大儀であったの。それがしが一条左近じゃ。して、ご来訪の旨を伺っても良いかの?」


「此度の戦、我が毛利の息の掛かった村上を攻めたること、我が主も大変憂慮しておりまする。そればかりか、来島と能島の総領二名を助命しなかったとのこと。本来であれば貴家と当家がすぐさま戦になってもおかしくない暴挙にございます。それに加えて、先年の河野殿への仕打ちについても、身内である当家を蔑ろにするのも甚だしいと、深く憤っているところでございます。」


「そうか。それほど毛利殿はお怒りか。それでは戦を避けるべく、双方が手を尽くさねばのう。」

「一番は伊予を従前の形に戻すことでございます。」

「それはできぬ相談じゃ。我らも多大な労苦をもって今の領地を得たのじゃ。家臣たちの生活もある。毛利殿とて、今更尼子に領地を返せと言われも無理であろう?」

「返す謂われがありませぬゆえ。」

「それは一条にとっても同じ事。さりとて、当家は四国にしか興味は無いでの。毛利と事を構えることは考えの外じゃ。」

「失礼ながら、それは一条の考え。我らが一度動けば、貴家など問題になりませんぞ。」


『のうのう、此奴ら、ここで斬っても良いかのう。』

『止めろ。いやしくも公家の名門がそんな賊まがいのことをするな。』

『しかし、言いたい放題じゃぞ。もっと礼節ある者共と思うたが・・・』

『いいから早く言葉を返せ。』


「当家を侮られても困るぞよ。むしろ、我らと戦うなら、毛利殿の周囲は敵しかいなくなるではおじゃらぬか。して、そなたらは何が目的で四方に戦の種を播き続けておるのじゃ?麿は民の安寧のため、仕方無く最小限の戦をしておるに過ぎぬ。」

「それは綺麗事に過ぎませんぞ。一条様も戦を続けていることには何ら、変わりがありません。」


「ならば、戦をせず、領地を安寧に治めることを諦めると申すか?それを民百姓に胸を張って言えるのかの?」

「それを勝手に攻め込んできた一条家に言われる筋合いはありませんぞ。」


「それで?そなたは主からどうせよと言われて来たのじゃ?我らと戦をしに来たのか、しないために来たのかどちらじゃ?」

「河野殿に伊予の地を返すこと、海賊衆に元の城を返すことが目的でございまする。」

「では聞こう。これまで、はいそうですかと、それに従った者を知っておるか?そして、返した途端、毛利が一条を攻めないという確たる保証はあるか?」

「それは・・・」


「麿は毛利との不戦はもちろん、大友殿に話を通すこともできる。なのにそなたはこちらへの要求ばかり。これでは交渉になどならぬでは無いか。そなたらはここに一体何をしに来たのでおじゃるか?戦がしたいならここに来る必要は無いであろう。したくないのであれば、交渉が成り立つ材料を示すべきではないかの?」

「しかし、一条家が毛利にしてきたことが、それで消える訳ではありませんぞ。」

「だからどうするのじゃと聞いておる。今までのことはこちらも預かり知らなかった事。詫びよというなら詫びるが、河野家は既に我らが麾下にある。それは元には戻らぬ。」

「しかし、領地を返すことはできまする。」

「返せば元の通り、河野家が毛利殿と旧来と同じ誼を結ぶのかのう。既に民も一条の政を知り、これに靡いておる。あの不安定だった状態に戻りたいと思う者などおらぬよ。」


「しかし、この数百年、伊予は河野殿が治めた土地。」

「ならば毛利殿も山口を大内に返すが良いぞ。麿も大内の血を引いておる。」

そう、大内義隆の姉の孫が兼定である・・・


「麿が聞きたいのは屁理屈ではなく、両家の今後ぞ。覆水盆に返らずという。無理難題を当家に押しつけ、大義を得ようなどという考えはいただけんのう。今一度国元に帰り、御主君とよく詰めた上で、改めて交渉することを望むぞよ。」

「承知、いたしました・・・」

 こうして毛利一行は帰って行った。



『知恵が回ると評判の又四郎殿も、麿の前に形無しであったのう。』

『というよりは、こちらが抵抗することを端から想定して無かったようだな。』

『そんなに侮られておるのか?』

『公家だからな。』

『そうじゃった。麿は公卿じゃった。』

『全く、闇討ちしようとするし、そんなことだから本家に怒られるのだぞ。』


『本家の力を借りた方が良いかのう。』

『そうだな。毛利に攻められそうでこのままでは戦になる。戦をしないように心掛けたいがどうすればいいか、といった感じで相談するといいだろう。』


『事前にそうやって相談しておけば、戦をしても怒られずに済むのう。』

『そういうことだ。場合によっては朝廷が止めに入ってくれる。』

『さすがは悪霊。くだらぬ悪知恵だけは働くのう。』

『使えるものは何でも使えよ。』

『任せておくのじゃ。他人を当てにすることは得意でおじゃるぞ!』


 最近、兼定の操作方法が分かってきた。


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公家お得意の煙に巻くような論法度名家繋がりの戦略、お見事!
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