いろいろなことが起きる春
さて、春本番を向かえ、田植えなどがはじまった。
昨年大きな被害を受けた土地や、主を失った田畑もあるだろうから、まだ十全ではないだろうが、豊作を祈らずにはいられない。
また先日、お松の方が第三子の男児を出産し、名を志東丸と名付けた。
将来的にはどこか武門に預けて武勇と統率を挙げてやろうかと思う。
うん?そう言えば、兼定以外の武将のデータを見られる方法は無いかなあ・・・
そして、宗珊が長らく調整していた長宗我部氏との婚儀が纏まった。
今年12になったばかりの秀姫である。
それにしても、若い頃に当家で燻っていたから仕方無いことだが、宮内少輔の子供は親の年齢を考えると皆若い。
婚儀は梅雨前に行いたいとの意向だ。ちょっと急すぎる・・・
しかし、長宗我部との仲を深めることが出来れば、足下は更に固まることを考えると、それもやむを得ないことだろう。
「さて、婚儀が終わればすぐに来島攻めでおじゃるな。」
「はい。収穫が終わらねば、兵糧が足りぬと考えられますゆえ。」
「少々、堺から買っておいた方が良いか。また金が要るのう。」
「それでも、交易や新たな産物、特に銅は大きな利を産んでおります。」
「そう言えば別子でも見つかったそうじゃの。」
「はい。さすが御所様の神懸かりは本物と村は沸き立っていたやに聞いております。」
ここは、1970年代に閉山するまで、足尾や日立と並ぶ日本有数の銅山で、住友の創業を支えた鉱山である。
「まあ、別子が軌道に乗れば、かなり潤うからのう。」
「金子殿の領地でございましたな。」
「麿に次ぐ大金持ちになるじゃろうて。」
などと話していると、廊下の向こうから走ってくる者の姿が・・・
「御所様、ご家老様に急ぎ申し上げます。先般、和泉国八木にて三好と畠山の戦があり、三好実休殿討死。また当地の三好軍は瓦解し、飯盛山に退去したとのこと。」
「そうか。昨年の民部(十河一存)の没後、三好には悪い事が続くのう。」
「はい。しかし、我らにとっては機が巡って来たと言って良いでしょう。」
「そうよの。まずは瀬戸内を何とかするとして、その後の目処も立ってきたでおじゃるな。」
「はい。三好が動揺している今ならば、当方の武将が敵に寝返る恐れは非常に小さくなります。」
「返す返すも、昨年の嵐は痛かったのう。」
「まこと、口惜しゅうございますな。」
だって、あのゲームだし・・・
『のうのう、麿にまた運が巡ってきたのう。』
『言ったとおりであろう。三好はそう何年も持たぬと。』
『そうよのう。そう考えるとそちは中々に凄い神通力・・・いや悪霊にそのようなものあるはずないぞよ。げに面妖な力じゃの。』
『おい、急に我を讃える言葉が勢いを失ったではないか。』
『仕方ないぞよ。麿もそちのような品性に欠けるものを神と認めたくないぞよ。』
『いい加減諦めろ。現実は少将の思い通りにはならん。』
『まあ、戦支度は皆がやるとして、もうすぐ側室の輿入れがあるのじゃな。』
『まあ、婚礼を終えたら一度岡豊に帰るみたいだがな。』
『まあ、細かいところはどうでもよいのじゃ。麿が本当に気になるのは、宮内少輔の倅のことよ。』
『そうだな。宮内少輔も年が年だし、隠居して息子に譲っても不思議ではないからな。嫡男が後を継ぐのだろう?』
『一応、そう聞いておる。評定にも来なんだし、まだ顔も知らぬがのう。』
『家中では姫若子と陰口を叩かれているようだな。』
『本当に凄いのか?』
『間違いなく父以上だ。あれを上手く使えるかどうかが当家の浮沈を占う、と言ってもいいくらいだぞ。』
『ならば、よほど気をつけておかねばならんの。まあ、にわかには信じられぬが・・・』
『三好の凋落を予想した我の言葉を信じよ。』
『まあ、慎重に対処するに越したことはないからのう。』
『そうだ。のんびり歌会などしている暇は無いぞ。』
『あの嵐さえ来なければのう・・・』
『来年は出来るさ。』
『そう願っておるぞよ・・・』




