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一条兼定なんて・・・(泣)  作者: レベル低下中
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対揚北衆

 急遽上杉攻めを決めた織田軍ではあるが、兵と兵糧は潤沢に持っているようで、戦が長期化することへの懸念は無い。

 そもそもが順調に関東を制圧したのである。


 織田本隊は、今回の作戦における主力であり、信濃の飯山から越後に入り、上杉の本拠、春日山城(上越市)を狙うことになる。

 そして、第二軍の一条、徳川、明智連合軍は上州水上から越後湯沢に入り、中越及び下越の制圧を目指す。

 これに加えて柴田、浅井の第三軍が加賀から越中に侵攻するのが、今回の作戦経路である。


 そうなると、今回、兼定が対戦する相手は揚北衆ということになる。

 史実では、越後北部に広く根付いており、上杉や長尾氏にしょっちゅう歯向かっていた連中であり、だからといって一枚岩ではない厄介な集団である。

 言わば、「全員お山の大将」な地域である。


 ゲームでも本庄、中条、水原、安田、北条、新発田、色部と数多くの武将が登場していたが、それで全てでは無い。

 五十公野、下条、鮎川、大川、新津など、とてもたくさんいるのだ。

 どうせすぐ裏切るし、言うこと聞かなそうなので、力を見せつけておかないといけない相手である。


 兼定達は、6月12日に川越を発ち、16日には早くも国境の三国峠を超えて越後に入った。

 ここに限っては、夏はいい。夏は・・・


 17日に坂戸(南魚沼市)に陣を張り、早速坂戸城の攻略に入る。

 この城は、よくこんな山の頂上に作ったな、というほど本丸が高い所にあり、三方の尾根沿いに曲輪を持つ堅城である。


 唯一、比較的緩傾斜である西側麓に大砲を撃ち込み、城攻めを開始する。

 城は堅いが守備兵は少ない。

 どうにか西の一番下の曲輪を取ったところで城兵が降伏し、城の奪取に成功した。


 翌日には兵を三手に分け、付近の六万騎、苗場山、浦佐などの小城を次々に落としながら北上し、小出島(魚沼市)に至る。

 さらに信濃川沿いに北上を続けた一条軍らは20日、三条に到着、ここで上杉軍八千と合戦になる。


 上杉軍は信濃川、中ノ口川、五十嵐川の三河川が集まる場所にいくつかの陣を構えて待ち構えている。

 一条軍は明智隊を西側に配置して牽制役として上杉軍の侵攻を止めつつ、一条・徳川隊で東の五十嵐川北岸に陣を張る部隊に鉄砲を撃ち掛けながら進軍、これを難なく突破した。

 そして、信濃川と中ノ口川に挟まれた中州の狭隘部に向けて、栗林という場所から渡河を敢行、挟撃される形となった上杉軍は西に敗走していった。


 一条軍はこれを追撃すること無く北上し、甘粕氏の籠もる五泉城を大砲で撃破し、23日、阿賀野川河畔の清瀬(五泉市)に到達した。


 ここで、新発田源次郎(長敦)、源太(重家)兄弟らが率いる揚北衆六千が対岸に進出してきて対峙する形となる。


 一条軍はまず大砲で先制攻撃を行い、敵陣を撃破、全軍で浅瀬を突破すると後は一方的な展開となった。

 そのまま河畔の安田城(阿賀野市)を押しつぶし、敵を追撃しながら新発田に向かって北上する。


 26日に新発田に至った一条軍はすぐさま新発田城への砲撃を開始する。

 既に先日の戦いで砲弾を撃ち尽くしていたので、明智軍の所有する6門だけであるが、それでも小さな館程度、苦も無く落城した。

 城主新発田長敦らは不在であるとのことだった。


 そしてさらに北上を続ける一条軍は28日に、中条氏の居城江上城(胎内市)を落とし、さらに詰城である鳥坂城に攻め上がる。

 一条軍が北の仁谷野口、徳川軍が正面の追分口、明智軍が南の羽黒口から委細構わず山に登ると、明智勢が尾根続きの鳥坂山を占拠、そのまま数を頼んで押し切った。

 中条景泰は乱戦の中で討たれ、中条氏は滅亡した。


 すると、兼定のいる本陣に、胎内川を挟んだ黒川城主、黒川備前守(清実)が降伏を願い出てきたので、仕置き未定ながらこれを認めた。



『さすがに七万近くおると、力押しだけで勝てるのじゃのう。』

『まあ、徳川殿も戦上手だし、官兵衛もいる。敵の中には大砲の威力を知った者もいて、戦意もそれほどではないのだろう。もう少しだ。』

『そうよの。案内人の話じゃと、あと8里ほどで山ばかりの地になって、その先はもう出羽の国と言うておったもののう。』

『そうだったな。村上城まで落としたら、南下すればいい。』


『ここに兵を置かんでも良いのかのう。』

『明智殿の配下を一人、置いておけばいいだろう。我々は早く帰らないといけないし。』

『そうじゃったの。帰らねば。』

『忘れてたのかよ。』

『違うぞよ。まだ戦の最中でおじゃる。まだ帰りの話しは早いということじゃ。』

『そういうことにしておいてやる。』


『何か、そなたはいつも麿の言うことを否定から入るが、それは麿の成長を阻害しておるのじゃぞ?』

『中納言は初めて会った時から一切成長してないぞ。知力も7のままだ。』

『そんな訳はあるまい。それは悪霊の目が曇っておるのじゃ!』

『曇っていようが何だろうが、目の前の数字は7のままだ。それに、成長したかったのなら孫ができる前に済ませておけ。』

『それは七に見える別の文字ではないか?』

『何だと思う?』

『しち?』


 7以外に考えられない・・・


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