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一条兼定なんて・・・(泣)  作者: レベル低下中
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それって史実だったの?

 さて、祝い事は続く。


 峰の祝言の三日後、今度は武田との戦勝を祝した宴が二条城で行われる。

 そう、足利義昭を追い出した後、ここでもせっせと城を作っていたのである。

もちろん、兼定が信長に歴史の授業を行った成果でもあり、堀を備えた現在のものとほぼ同じ造りだと思う。


 さすがに公卿どもの反対を押し切って壮麗な天守閣を築くことは出来なかったようだが。

 そして今日は、兼定のほかに家康、浅井長政を始め、柴田、丹羽、明智、滝川、宇喜多らの重臣たちも多く詰めかけている。


 大変信長らしいど派手で巨大な本丸御殿の大広間に諸将が並ぶ。

 もちろん上座に信長が座るが、何と兼定も家康とともに信長の両脇を固めている。

 家康はともかく・・・


 まあ、とてもシュールな上座はともかく、左右に居並ぶ織田家重臣を眺めるのは壮観である。


「皆の者、此度は武田を屠り、新たに駿河、甲斐、信濃の三カ国を手中に収めることができ、大変に満足しておる。今日は各地から山海の珍味を取り寄せた。灘の酒とともに味わい、歌い、踊り、楽しめ!」

 無礼講ってことでいいんでしょうか?


「いやあ左近殿、こういう宴は毎日でもいいものだな。」

「そうでおじゃるな。麿も酒は好きゆえ、こういう賑やかな席は楽しいぞよ。」

 信長の酒好きは、さすがの兼定をも軽く凌駕しているが・・・


「さあ、次郎三郎も飲め飲め、景気よくぱぁーっと行くのだ。」

「はい。弾正忠様、大変美味しくいただいております。」

「それにしても此度の戦、あの武田を全く寄せ付けなかったと聞きました。儂も是非ご一緒したかったですなあ。」

「はははっ!心配はいらぬ。次の上杉攻めの際には権六(柴田勝家)にも存分に働いてもらうぞ。」

「さすがは親方様、今から腕が鳴りますわい。」


「今の織田家中であれば、上杉など物の数ではおじゃらんのう。何せ、あの武田が手も足も出なかったのじゃからのう。」

「それも一条と徳川、浅井の力があってのものよ。これで日の本の統一に大きく近付いたと言える。」

「もう王手を指したも同然でございますなあ。」

「もう武田より強い敵も残ってはおりますまい。」

 みんな口々に威勢の良いことを言う。

 これはそういうお約束なのだろうか?


「そうですな。我々も苦労した甲斐がございました。」

「何?」

 急に信長は立ち上がり、声の主を睨み、そして彼の方に歩いて行く。

 そして、とても怒っている・・・


「このキンカ頭! お主がいつ苦労などしたと言うのじゃ!」

 いきなりである。信長はそう叫ぶと、明智光秀の顔を蹴り上げる。

 周囲の家臣たちは呆然とし、辺りは一瞬にして静まり返る。


『おい、早く止めてやれ。』

『嫌ぞよ。怖いぞよ・・・』

『中納言しか止められる者がおらん。大事になる前に取りなすんだ。』

『だって弾正殿、怒ってるし・・・』


「そちは丹波攻めも中途半端。結局他の家臣の助力無くしては平定できなかったであろう!此度も儂に付いてきただけのことじゃ。それを我が事のように自慢しおって!」

「まあまあ弾正殿。今日は目出度い宴でおじゃる。楽しゅう行こうぞ。楽しゅう。」


 兼定は、何だかんだ言いつつも立ち上がってくれる。

 こういうところはいいヤツだ。


「そうでございます弾正忠様。ここはこの次郎三郎の顔に免じてお許し下され。」

 いつの間にか家康も止めに入ってくれている。

 場がさらにシュールさを増す中、信長はギロリと光秀を睨みつけると、元の席に戻る。


「さ、さあさあ皆の者お立ち会いお立ち会い。ここでこの猿が田楽踊りを一つ、お見せいたしましょうぞ。」

「おお、それは良い。それは良いぞ。猿、一踊りかまして見よ!」

 さすがは秀吉、空気が読める男だ。


「明智殿、大丈夫でおじゃるか。」

「中納言様、かたじけのうございます。」

「良いのじゃ。ささ、向こうに下がって手当するが良いぞよ。」

「何とありがたきお言葉、痛み入りまする。」

「まあ、あれは弾正殿の余興と思うて気に病まぬことでおじゃる。酒もたらふく飲んでおるからのう。」

「分かり申した。本当に何から何まで申し訳ございませぬ。」

「麿が付いておればこれ以上の事はない。明日になればきっとケロッとしておじゃる。」

 そうして、兼定は光秀と伴って下がり、明智の家臣に彼を預ける。


「おうおう左近殿、戻ったか。厠か?」

「場所が分からず往生したでおじゃる。足下も何だかのう、フラフラして・・・これはお猿さんと一緒に踊りたい気分でおじゃるのう。」

「こ~れ~が、猿の腹踊り~!」

「麿も加わり~腹踊り~」

「あこりゃ、すってんてん!」

「武田の主もすってんてん! 

「わははっ、これは良い!さすがは猿じゃ!それに左近殿も能や狂言以外に踊れたのじゃな。」

「楽しい事なら何でもござれじゃ。」


 ある意味最強の二人で、何とか信長の機嫌を元に戻した。

 それにしても、あれって史実だったの?ってゲームのイベントなのか?


 何にしたって、変なフラグが立たなければいいけど・・・


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