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一条兼定なんて・・・(泣)  作者: レベル低下中
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一条軍、暖かい所を指向する

 一条軍が慣れない雪国で奮闘していた頃、織田本隊は武田軍を蹴散らしながら進軍し、さらに体勢を立て直した武田軍を興津(静岡市清水区)で撃破して甲斐に進む。


 そしてここで軍を二手に分け、徳川家康と織田信雄率いる四万が富士川を渡り伊豆との国境へ、信長率いる六万が甲斐に侵攻した。

 織田軍は、南部、身延と富士川沿いを北上し続けている。


 対する武田軍は、兵を立て直す機会を失ったまま撤退を続け、すでに甲府まで退いていると言われている。


 一方の一条軍も、信濃茅野から甲斐に入り、小淵沢、穴山を制圧して甲府に迫る。



『しかし、あっさりしたものよのう。これといった城も無ければ兵もおらぬ。』

『まあ、信玄入道自身が、あまり築城に熱心では無かったみたいだからな。』

『そうなのでおじゃるか?』

『そもそも、甲斐に攻め込まれるほど負けが込んでいるならダメだと割り切っていたんじゃないか?』

『まあ、信玄ならこうはならんかったであろうからのう。』

『そういうことだ。もう九分方、勝負は決まっている。』

『儚いものよのう。ついこないだまでは、一条より遙かに強かったのじゃが。』


『機を外せばこうなる。上杉なんか放っておいて、さっさと上洛しておけば良かったのだ。』

『まあ、そう簡単に言うが、遠いぞよ。』

『だからといって、弾正殿を倒す時間はいくらでもあったぞ。』

『上杉や北条は強いのであろう?』

『だから後回しにするべきなんだ。今、弾正殿がそうしているように。』

『難しいことは良く分からぬが、昔、伊予を取ったときに悪霊がこれでは足りん、と言った意味は良く分かったぞよ。』

『そういうことだ。あそこで満足しなかったからこそ、今がある。』


 一条軍はそのまま韮崎に入り、陣を敷く。

 そして二日後に織田本隊も小井川(山梨県中央市)に到着したという知らせを受けたので、釜無川を越えて甲府に入った。


 織田軍も荒川を渡り、躑躅ヶ崎館にほど近い宮前に本陣を敷くと、武田軍は最後の突撃を敢行してきた。

 しかし、織田軍六万の兵で辺り一面ひしめいている。

 敵を押し返した織田軍は、そのままの勢いで館を押しつぶすように制圧した。


 一条軍も到着したが、最早、することは何も無かった。

 勝頼はすでに自害しており、武田も滅んだ。信長も現地に四万の兵を残し、戦勝の宴もそこそこに撤退を始めた。

 とにかく寒いのである。



『ああやっと帰れるぞよ。これほど寒うては敵わん。』

『敵よりよほど堪えているようだな。』

『あまりに寒いと、瞼が痛うて眠れんのじゃ。』

『そりゃ大変だったな。そんな経験、四国にいたら出来ないからな。』

『お主は良いのう。』


『しかし、身延まで行けば大きな湯治場があるんじゃないか?』

『そうなのか。では、弾正殿が来るより先に入って、良い所を全て一条軍で確保してしまおうぞ。』

『怒られるぞ。』

『美味い酒と肴を用意しておけば、そうでも無いぞよ。』

『そういうことだけは、知力7を遙かに凌駕しているな。』

『人間、必死な時は本気を出すものぞ。』

『いつも必死になれよ。』

『今は必死じゃ。』


『まあ、兵達も相当堪えているみたいだからな。急ぐのは反対しない。』

『次は夏に戦してもらわんとなあ。やってられんぞよ。』

『そうだな。北条は広いし、上杉の所は雪が多い。どちらにしても秋に戦を始めていては、一条軍にはキツいな。』

『きっと織田軍も大差無いぞよ。』

『そうだな。そこは考えてくれるだろう。』


 こうして12月3日、身延に入ってようやく人心地ついた兼定は、信長とドンチャン騒ぎの後、駿府に入り、12月24日に都に戻った。


 ここで軍を解散し、今回の戦は終わった。


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