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一条兼定なんて・・・(泣)  作者: レベル低下中
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戦の準備と溜まった仕事の片付け

 その後も信長は松山に居座り続け、観光だ釣りだと遊びほうけていた。

 お浜や新徳丸もすっかり懐き、その間に五徳の懐妊が明らかになると「子が産まれるまでここにおる」などとほざき始めたので「子が産まれる前に毛利を片付けよう」と説得し、何とかお帰りいただいた。

 都で相当溜まってるんだなあと思った。


 さて、5月まで僅かしか無いので、直ぐに各地に動員を発令し、兵糧や弾薬の輸送を開始した。

 そして、昨年後半から放ってしまい、またすぐに放り出してしまう内政についても進めることとなった。


「それぞれの評定衆たちからの報告を聞こうかの。」

「はい。まず、作付けは昨年同様順調でございます。それと、仁淀川と中筋川の灌漑水路が完成し、この近辺での新田が更に増える見込みでございます。」

「天候は良いかのう。」

「はい。占いによると、昨年と同じではないかとのことでございます。」

「それならば安堵できるのう。引き続き、水路の建設を領内全域で拡げるのじゃ。特に伊予川や日野川などは堤防建設と併せて行うのじゃ。」

「はい。それとため池ですが、備前と播磨において、通年で建設するよう、伝えております。」

「うむ。これから戦で人では足りなくなるが、そうでなければ、多少は足軽衆を動員しても構わぬぞよ。」

「はい。急ぎ進めます。」


「あと、特産品の取引はどんな具合かの。」

「はい。戦が続いているせいか、様々な産品の価格が高騰しており、宍喰屋の話では、織物や米などは、十年前の倍近いと。それに比べると塩は落ち着いているそうです。おそらく、当領の生産量が増えていることが関係しているかと。」

「良い。価格が下落していなければ良いのじゃ。他に高騰しておりそうなのは、茶と茶器かのう。」

「はい。都や堺では、茶の湯が流行っており、公家や商人、武家まで盛んに嗜んでいるとのことで、量が豊富な土佐茶は重宝されております。茶器については、備前と砥部が主でございますが、多くはそれほどの値付けがされていないようです。」

「まだまだ知られていないということかの。そこは、弾正殿に喧伝してもらうこととしよう。特に出来映えの良いものを、いくつか献上用として準備するのじゃ。」

「さすがは御所様でございまするな。」

「まあ、このくらいはお安いことでおじゃるよ。」


「次に街道でございますが、備前と播磨赤穂までの街道が整いましてございます。」

「あそこは山陽道の中でも特に幅が狭かったからのう。戦に間に合って何よりじゃ。」

「はい。同時に、阿波の撫養から牛岐までの街道も整備が終わっております。」

「そうか。由岐坂は当面あのままで良い。阿波については、小松島から那賀川沿いと佐那河内から神山に向かう道を整備するのじゃ。奥地の開発にも力を入れたいからの。」

「はい。畏まりました。」


「それと、吉野川と高智の干拓は進んでおるか。」

「はい。順調でございます。吉野川はまだまだですが、高智の方は、町割の案ができておりますので、後ほどご確認を。」

「分かったぞよ。良ければ朝倉城下の町人を移し、城を廃棄するぞよ。」

「御意。」


「他の城はどうなっておる?」

「はい。徳島城は本丸が完成し、来年中には山上の施設は全て出来上がる見込みでございます。高智城については、本丸と二の丸が完成し、現在は三の丸の石垣を立てているところでございます。」

「姫路はまだかのう。」

「はい、内堀と麓の蔵や門などが出来ておりますが、御所様の案にある本丸は大きすぎてなかなか・・・」

 そう、姫路城といえばあの天守と小天守が織りなす見事な景観が売りだ。予算度外視で建てているところだが、山の上に石垣を作るのは、上に乗る建物の何倍も大変なのだ。


「弾正殿を驚かせたかったが、間に合わんのう。」

「まあ、物資の集積地としては使えます。」

「そうじゃのう。軍備の方はどうかの?」

「はい。農繁期であっても、五万程度ならいつでも動かせます。」

「今回もその程度かの?」

「毛利は後先考えずに無理しても動員するでしょうが、我々が同じことをする訳にはまいりませぬ。」

「いくら織田軍が主力を出すと言っても、もう少し集めたいのう。」

「大友を動かしましょうか。」

「いや、今回は大友無しでやるつもりじゃ。彼らは九州の中で頑張ってもらおう。」

「何か、策がお有りなのですな。」

「いや、後の褒美を考えたまでじゃ。他意は無いぞよ。」

「そうでございますか。それで、毛利に対する作戦は。」

「今は山陽、山陰、山口の三方向を考えておる。まあ、織田方の数次第じゃがのう。」

「そうでございますな。それで、御所様は出られるのでございますか。」

「弾正殿が出るなら、麿も出ない訳にもいかぬ。それと、栄太郎にも初陣を踏ませるぞよ。」

「畏まりました。副将は誰を付けましょう。」

「遠州殿で良かろう。栄太郎にとっても祖父じゃからのう。」

「確かに。」


 こうして4月15日、兼定らは松山を発ち、九州に渡る。


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