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一条兼定なんて・・・(泣)  作者: レベル低下中
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また信長がやって来る

 本願寺攻めが終わり、撤収準備をしている最中、織田信長がやって来た。


 丹羽殿の話では、願証寺攻略のため、伊勢に赴いているという話だったが、ここが落ちたということもあるのだろう。それにしても動きが早い・・・

 ということで、吹きさらしの本陣は寒いが、ここで会見する。



「これはこれは弾正殿。お早いお越しでおじゃるな。」

「そちの方こそ、見事なお手前。この弾正、感服したぞ。」

「見てのとおりじゃ。まあ、町はちょっとばかしやり過ぎたが、そこは許してたもれ。」

「良い良い。一向宗の寺内町など、このくらい徹底してやらんと気が収まらんわ。」

 そうだ、この人こんなんだった。


「とにかく今夜は宴だな。すぐに五郎左(丹羽長秀)に用意させよう。」

「そうよの。これだけ寒いと、酒でも飲まぬとやっておられんのう。」


「それにしても、此度はよう援軍に来てくれた。」

「丁度、播磨におったものでの。すぐに来られて良かったぞよ。」

「しかも、あの本願寺をこれほど早く落とすとはな。さすが四国を平らげただけのことはある。」

「弾正殿も、目覚ましい活躍ぶりでおじゃる。」

「これで、後は六角の残党を片付けて、一向門徒を鎮めれば良いのだが、彼奴ら、大人しく武器を捨てるだろうか。」

「それは顕如殿次第といったところであろうかの。」

「そうだな。ここは助命と引き替えに鎮撫してもらわんといかんな。」


「それと、ここはあまりに守りが堅いゆえ、本願寺も戦ができんような所に引っ越してもらわんといかんのう。」

「そうだな。ここは儂が貰い受けるとするか。」

「それが良いでおじゃる。南蛮との交易にも便利じゃし、都から距離を置きたい場合にも都合が良いぞよ。」

「確かにそれは言えるな。それで、儂はどこに本拠を構える予定だったかな。」

「近江の観音寺ぞよ。あそこの安土にそれは巨大な城を建てる。」

「確かに、あそこも良い所ではあるな。」

「拠点は二つあっても困らんでおじゃる。」

「そうだな。都と岐阜の中継として観音寺も必要だし、これから紀伊や摂津の統治を睨むなら、ここも重要だな。」


「まだ西国や九州もあるでの。」

「左近殿が取るのではないのか?」

「麿は今の領地くらいでもう良いぞよ。ついでに但馬も丹波も要らぬ。」

「本当に呆れるほど欲が無いな。」

「いや、結構領地は欲張って取ったでおじゃる。」

「ならば、西国と九州は儂が何とかしよう。協力してくれるな。」

「それはもちろんじゃ。」


「それで、以前言っておった織田包囲網だが、どうなったと思う。」

「一番厄介な本願寺を無力化できたから、もう穴だらけじゃ。本来なら本願寺、六角、浅井、朝倉、叡山、三好が主力であったが、皆いなくなってしもうた。これに毛利や武田が加わる構図であったが、今の状況では、両者とも出ては来れまい。」

「そうか。ならば安心だな。」

「しかし、どう考えても弾正殿と公方様のウマが合うとは思えぬ。その影響力をもって、各地の勢力を糾合するおそれは残っておると思うぞよ。」

「ご助言、有り難い。気を付けさせてもらうぞ。」


 こうして見ると、信長も普通の人だ。確かに現代人と比べると当然ながら違いも多くあるが、戦国武将としては、至極真っ当な部類ではないか。


 多少、マキャベリズムが徹底したナルシストではあろうが、そんなの、信玄や謙信だってそうだろう。目の前の人物は、彼らと比べて特別に残虐な訳でも話が通じない訳でも無い。

強いて言えば純粋なのか?


「徳川殿と麿がおるから、東と西は取りあえずのところは安心じゃろう。とにかく、畿内を落ち着かせれば弾正殿の勝ちじゃ。麿も協力するゆえ、存分に暴れ回るが良いでおじゃろう。」

「そうだな。天下布武も見えてきたしな。」


「そう考えると、美濃の斎藤は強かったのでおじゃるな。」

「そうよ。跡継ぎはボンクラだったがな。それで、そちは残る強敵は誰と見る。」

「それは間違いなく、上杉、武田、北条、島津の四つでおじゃる。どこも兵は精強、当主は有能でおじゃる。」

「そうだな。島津は知らぬが、どう考えてもそれらで間違いないな。しかし、毛利と大友も油断できん。」

「それはそのとおりでおじゃる。しかし、大友は一条の盟友なれば、ご懸念には及ばぬ。」

「そうだな。左近殿と大友で挟んでいるうちは、毛利も下手な手出しはできんからな。」

「後は、武田がどの時点で上杉との戦に見切りを着けるか、そして再び北条と和睦するかじゃな。さすれば今ならば、まだ・・・」


「信玄はどう出て来るかな?」

「今、出なければダメな事くらいは分かっておじゃろう。信玄はすでに一度、失敗しておる。上杉など相手にせず、さっさと美濃に出ていれば、こうはなってはいなかったでおじゃる。」

「確かにな。それにしてもそなたは、恐ろしいことを次々思い付くな。」

「しかし、それはもう、終わったことで、取り返しはつかぬことでおじゃるよ。」

「いや、まだ分からんな。」

 そういうと、信長は真剣な顔になる。


 やっぱり、兼定なんかとは一味も二味も違う・・・


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