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一条兼定なんて・・・(泣)  作者: レベル低下中
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新年の評定と論功行賞

 年明けの評定が今年も開催された。


 領内の基盤整備については、高智から阿波境の豊永まで、及び徳島から川之江までの街道拡幅が完了した。

 城についても土佐の安芸城と蓮池城、阿波の川島城が完成し、播磨の姫山城も縄張りが始まった。

 その他にも、美作国内の城郭整備箇所として、津山、三星、目崎と現在築城中の河辺城を指定し、林野城の廃城を決めた。


 堤防についても中村の中筋川北岸、高智の江ノ口川が完成した。

 内政面では、砥部焼による茶器生産が本格的に始まり、美作の新田開発も始まった。

 また、領内各地の塩田の面積の1800反余り(約180ヘクタール)まで増えたとのことだ。また適地は多いので、これからさらに開発していく予定だ。


 足軽については、さらに追加で募集し、これで八千名を確保できる見通しとなった。

 また、鉄砲については、大友に三百、織田に二百丁を販売し、売り上げも好調とのことである。


 また、松山城西の丸に建設中だった各奉行所が完成し、勘定、寺社、市中取締、作事、農事、饗応を始め、多くの部署と役人を配置した。中には、言葉が近代的過ぎて中々理解してもらえない役職もあったが、先進的な政治・行政を実現するためだ。多少は我慢して貰う。


 そして、主要な町に治安維持や市中の情報収集、犯罪捜査を専門に行う足軽組を設置した。半次郎親分のような者が各地に出現するのである。


 また、各地の特に体格に優れた者を優先的に足軽に組み込むスカウト制度も導入した。こちらも鬼八郎がたくさん出現することになる。


 そんな数多の報告を聞いた後に、長宗我部元親を呼ぶ。

「報告、大儀であったの。伯耆の調略も進んでおるようで何よりじゃ。」

「ありがとうございます。日野衆はほぼ全て取り込んだと考えて良いでしょう。それに、こちらに靡いた者には、一条の旗を与えております。毛利も当家の旗が翻っている城を攻めることはできません。」

「それで安心して出雲で暴れている不届きな輩もおるのじゃろうのう。」

「何事も、策多き者が勝つ、でございます。」

「それは、毛利の当主の言葉ぞよ・・・」

「そうでございましたかな?」

「まあ良い。此度呼んだのは、そちへの恩賞よ。」

「頂ける物でございましたら何でも。」


「うむ。今の領地と引き替えに美作一国が良いか、備前の磐梨郡を返してもろうて、讃岐の山田郡と三木郡の追加で悩んでおる。片岡殿と津野殿には、備前に移ってもらうしかないのう。」

「そうですな。それがしも讃岐に随分手を入れましたので、できれば山田、三木の二郡をいただきとうございます。」

「そうか。ではそうしよう。」

「有り難き幸せにございます。それにしても、御所様に従っておると、次々に領地が増えますなあ。」

「しかし、讃岐はもうあんまり余地はないぞよ。飛び地は麿が把握できん。」

「分かります。何せもうすぐ十一ヶ国の太守になられますからな。天下を統べるとなると、どうなることやら。」

「これ、滅多なことを申すなよ。麿は本来、無欲な男なのじゃからのう。」


 ということで、長宗我部は讃岐半国の領有となり、宇喜多は美作内の領地を返上させて備中一国を、美作のうち英多、勝田、久米の三郡を土居宗珊に。安並には苫田郡、為松には大庭郡、羽生には真島郡をそれぞれ与え、備前和気郡を津野、磐梨郡を片岡の領地とし、邑久郡を直轄領として残した。


 まあ、今回はほとんど働いていないので文句は言えないが、兼定の実入りはほとんど増えない。また、これに伴い、家老衆はそれぞれ一族の者を代官として送り込むようだ。


「いやあ、それにしても御所様の大盤振る舞いにはいつも感心いたしまする。」

 領地大幅増の宇喜多直家はほくほく顔である。まさか、この状態で暗殺は仕掛けて来ないだろう。

「いや、麿もビックリじゃ。」

「これからも、よろしくお願いします。」

「しかし、安心してばかりはおれぬぞよ。そなたの領地は毛利の最前線じゃ。」

「確かにその通りではございますが、今の毛利なら勝てますし、あの老いぼれも、もう長くはありますまい。」

「宇喜多殿、軽口が絶好調でおじゃるの。まあ、そなたが戦上手なのはよく分かったがのう。」

「お任せくだされ。それに、後ろに強力な主家が付いておりますゆえ。」


「そこは任せてもらって良いが、こちらが指示するまで、勝手に戦を始めてはいかぬぞよ。戦をしなくても良いのであれば、それに越したことはないからのう。勿論、調略を仕掛けて毛利の恨みを買うのもなしじゃ。」

「承知いたしました。それがしも当面は、備中の国造りに専念いたしたいと思っております。」

「それなら安心じゃ。これからもよろしく頼むでおじゃるよ。」


 一条家は大きくなり、家臣団も充実してはきたが、使える者ほど野心家で諸刃の剣だ。

 それを御さないといけないことを考えると、兼定も苦労してるなあ、とは思う。


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