表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一条兼定なんて・・・(泣)  作者: レベル低下中
133/241

信長に歴史の授業をする

 そして、毎晩飲み明かしている二人ではあるが、今日は休肝日を設けて、寺の縁側で茶をいただいている。


「こうして、形式張らずに茶を飲むのもまた、いいものだな。」

「そうでおじゃるな。特に今は、季節も天気もよい。」

「こういうのどかな日が続けば良いのだがな。」

「弾正殿でもそう思うのか?」

「左近殿は儂を何だと思うておる。儂とて、戦無き世が理想だぞ。」

「そうか。麿と同じであるな。」

「ああ。同じだ。それで、これから何が起こるか見えるか?」

「そうじゃのう。神がそちに伝えたい事があると言っておるぞよ。」

「何と!それはありがたいな。」


「まずは、公方様との蜜月は長く続かぬぞよ。そして、弾正殿の排除に動く。」

「しかし、あの公方に誰が味方するのだ。」

「三好と本願寺、叡山が主力ではあるが、松永や荒木も降伏しては裏切るぞよ。」

「分かった。しかし、それ位なら何とかなるな。」

「それと、浅井、朝倉には注意が必要じゃ。残念ながら、浅井は朝倉に付く。」

「・・・そうか。」

「この話をしたから、将来は変わるかもしれぬが、弾正殿が朝倉攻めを決め、若狭に入った途端、浅井は裏切る。」

「そこまで分かるものなのか。」

「その後、近江の姉川で弾正殿と松平殿の連合軍は浅井に打ち勝つが、その後は朝倉とともに公方様の味方になる。ついでに六角の残党や雜賀、根来衆も加わる。そしてとどのつまりは武田じゃ。」

「・・・大事になるな。それで、儂は勝てるのか。」

「勝つ。」

「そうか。儂は勝つのだな。」


「じゃが、長いぞ。この先五年は苦しめられる。」

「まあ、そなたに美濃を平らげるのに七年と言われたから、それに比べると、どうということはないな。」

「物は考えようじゃの。」

「それで、公方様はどうなる。」

「都をそなたに追われた後は、備後の鞆の浦に身を寄せるが、そこから各地の有力者に手紙を送り続け、そなたに抗い続ける。」

「厄介よのう。」

「それと一向宗は強いぞ。石山本願寺だけではない。越前や加賀、伊勢でも一向宗と戦うことになるじゃろう。」

「確かに、死を恐れぬ民百姓との戦は、したくないな。」

「それと、信玄は攻めてくるのか?」

「来るぞ。浜松で松平殿は手痛い敗北を喫するじゃろう。しかし、信玄は病を得て信濃に引き返し、そこで亡くなる。四年ほど先のことよ。」

「そうか。そなたの予知は良く当たるしなあ。」

「その後、武田はそなたが滅ぼすことになる。」

「何と。あの武田が滅びると申すか。」

「十三年ほど先の話じゃ。」

「その頃、儂は何をしておる。」

「中国では毛利と、北陸では上杉と戦うておるの。四国の長宗我部を攻めるつもりではあったようじゃが、すでに麿の領地となってしもうた。」

「それでそなたと戦う将来は無いと申したのか。」

「無いぞ。」

「そうか。ならば良い。」


「それと、その後、毛利攻めに備中へ向かう途中、立ち寄った本能寺で襲われ、そなたは命を落とす。」

「何と・・・それは・・・」

「もちろん、知っておれば避けることもできよう。」

「誰が襲撃をするのだ?」

「そなたの家臣の一人だとの事じゃ。」

「そうか。その後は奇妙丸が継ぐなら問題無い。」

「いや、奇妙丸様も都におってな。同じ日に命を落とす。それで、まだ産まれてはおらぬが、そちの孫が後を継ぐ。じゃが重臣同士の主導権争いの中で、乗っ取られる形になるのう。」

「それは、避けられるのだな。」

「武田を滅ぼした年の夏は、都に行かぬことじゃな。その頃、そなたは近江安土に城を構えておる。」

「まさか、外に出ぬ訳にはいかんぞ。」

「隙を見せねば良いし、隙があれば城にいても危ないぞよ。何せ、天下を平らげるには、相当多くの者の恨みも買うじゃろうからの。」

「確かに左近殿の言うとおりだ。しかしお主、何でも見えるのだな。」

「いや、麿が見ている訳ではないぞ。神のお告げというか、そんな感じで聞こえてくるのじゃ。それに、聞いても答えてくれんこともあるでの。なかなかに気まぐれで困るのじゃ。」

「しかし、先が見通せれば、長い苦しみにも耐えられそうな気がしてきたぞ。」

「神が言うておる。それこそが弾正殿の強さであり、麿に無いものじゃと。」

「こんなものは儂一人で良い。それより、これからも頼りにしておるぞ。」

「任せてたもれ。でも、お手柔らかにの。」

「分かっておる。そちは特別だ。」


 さあ、賽は振った。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ