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第3話 幼馴染に誤解されていた

 ガヤガヤと賑わう食堂。その中でポツンと1人食べている俺。つまりぼっち飯だ。


 赤木も彩葉も別の友達と話している。他の友達もいなくはないが彼女とだったり気になってる子と食べているので無理だ。

 

 真白はそもそも言うまでもないが無理だ。

 前に珍しく1人で食べているのを見かけて仲直りするチャンスかもしれないと思い「隣いいか?」と声をかけたら普通に拒否された。


 よってぼっちの方程式が完成するのである。


 黙々とカレーを口に運んでいく。やはり友達と食べる飯の方が美味いな、と改めて友人の大切さがわかる。


 まあ段々と色気付いてくる頃だ。恋愛とは無縁な人はどんどんとかけ離されていくのである。


 ......非常に胸が締め付けられる思いだ。


 そうしてカレーを約半分食べ終えたところで誰かが俺に声をかけた。


「隣いい?」


 声をする方向を向くとそこには真白がいた。

 

 思わず胸が高鳴ってしまう。ぼっちすぎる俺を気遣ってくれたのだろうか。

 ってそもそも俺は嫌われてるから何かの用件だろう。


「真白? あー、お断り」

「そう......」

「なんてな、前の仕返しだ、いいぞ別に」

「......いじわる」


 少し強めに真白は皿を置いて座った。


 真白も同じカレーを選んだようだ。


「風邪もう大丈夫なの?」

「おかげさまでな、なんか礼しようか?」

「いいよ、別に、そもそも私が恩を返しただけだし」


 真白の態度は中学時代と比べても随分と素っ気ない。

 まあ嫌われているのはもう分かりきっているので慣れているはずなのだがやはり胸にくるものがある。


「それで何の用だ?」

「あーえっと、特に用はないかな、生存確認みたいな」

「......そうか」


 わざわざ俺を気遣ってくれるとは珍しいこともあるものだ。

 

 そういえばなぜ俺は真白に嫌われているのだろうか。

 今日1日中考えてみたがやはり思い当たらない。

 本当に高校に入ってからなのでそれまでの行いなのだろうが、やはり何もない。


 卒業式の日も別に普通だった。


 ......直接聞いてみるしかないか。


 勇気のいることだがこれを逃せば次にもうチャンスが回ってこないかもしれない。

 それに真白の対して何かやっていたのなら無意識でも謝るべきである。



「なあ話は変わるんだが、その......俺何か真白を傷つけるようなことしかか?」

「え?」

「真白に嫌われているという自覚はある、けど理由がわからないんだ、中学時代までは仲が良かったし、だから何かやってたら謝りたいんだ」

「......」


 そういう言うと、真白はカレーを食べる手を止めた。


「だって.......無視したじゃん、私の手紙」


 真白は今にも泣き出しそうな顔である。それを見てどうすればいいか戸惑ってしまう。


 手紙......? 手紙ってなんだ?


 ただし全く心当たりがない。ただ俺が無意識のうちに真白を傷つけたようだ。


「その......手紙ってなんだ?」

「卒業式の日置いてあったでしょ?」


 そう言われて俺はその日の情景を思い返す。しかしやはり全く心当たりがない。


「......すまん、全く思い出せない」

「......え?」

「手紙なんてものは記憶ではないし、思い当たる節がない......ただその、無意識だとしても傷つけていたんだとしたらすまん」

「え、本当に心当たりない?」

「ああ、まったく」


 手紙なんてそもそも誰からももらっていない。せめて言うとしたら先生が1人1人に書いてくれた手紙だがそれのことではないだろう。


「(おかしいな、下駄箱に置いたはずなのに......何かの拍子で落ちてそのまま捨てられちゃったのかな)」

「それで、その手紙ってなんだ?」

「ああ、えっと、なんでもないなんでもない」

「記憶にないだけかもしれないし......」

「ああいいや、もういいの、このことはあんまり気にしないで、うん!」


 真白は少し顔を赤くして答えた。一体なんだろうか。


「(そっか、それじゃあ私の勘違い......なのかな、あっえっとそれはそれで嬉しいけど、今更顔向けできないし)」

「真白?」

「ああ、えっと本当に気にしないで! うん!」


 そう答えた真白はパパッとカレーを食べ終えて去った。


「じゃっじゃあね」

「おう、じゃあ」


 結局なんなんだったのだろうか。誤解が解けたのだろうか?


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