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よーいドンのスタートライン 5

お待たせしてしまってすみません。ちゃんと更新していきます

SCP-246-JP、面白かったです。

「あのさ、服って結構作るの時間かからない? 大丈夫?」


 心配を声色に乗せてシュバルに問う。


「まぁ、今日の夕方くらいには出来上がってると思うぞ。トスクがどれだけ時間がかかるものって想像してんのかはよくわからねぇけど、普通じゃないかね。金属の鎧なんかは割と数日かけて作ってもらうことが多いけど、服だろ」


「夕方まで待つってわけ……?」


「まぁ、そうなるわな。暇ならどっか別のところ行くか? 武器とか。切り裂き魔をやったほどの実力があるなら正直武器なんざいらねぇと思うんだがな」


「あれは裏ワザというか、あんまり使いたくないというかだから見ておきたいかな」


 正直この目にシュバルが違和感を覚えていない理由がわからないが、違和感を覚えられていないのであれば極力は隠しておきたい。ナツメグのような感覚異常とは少しわけが違う、魔法でもない能力などというものは怖がられるだけだろうし。


「あ、そ。じゃあ武器屋行くか~。姉御ー、そういうこっだからちょいはなれる。あとは任せるからよろしくな」


 カウンターの奥から「あいよー、夕方にはできてるから取りに来な」という声だけが返ってきた。


「そんじゃま、行きますか。あ、そうだ。ほれ、これお前んだろ。渡すの忘れてたわ」


 店を出るときにシュバルが手渡してきたのは、牢屋にぶち込まれたときに取り上げられた本だった。


 俺にとって一番重要なものを完全に忘れていたのは多分疲れていたからだと思う。一晩で過去に起きたどんな事例よりも派手に、そして博士であるにもかかわらずエージェント、いや武闘派のDクラスばりの命を無駄にした行動は思っていた以上に精神を摩耗させていたことを改めて実感させられた。


「大事なものならちゃんと管理しとけよ」


 そう言いながら店の外に出たシュバルは、そのまま正面の店に入っていった。


「あ、武器屋そんなに近いんだ」


「なんだ、歩くと思ってたか? 一応な、オトクイ様ってのは案外近隣に何店も作っといたほうがやりやすいんだよ」


 ナツメグの店のように店先にたたき売りされている武器はなく、また入り口も看板が出ているだけで扉は締まっていた。ものものしい空気と、いちげんさんお断りの暗喩をはらんでいるようなたたずまいだった。


 シュバルはガラガラと引き戸を開け中に入っていく。


「うぃ、お久。ギョウブのおじき」


 その後ろから俺も店内へと入ったのだが、その内装に驚嘆した。


 室内には枯山水が広がっており、その広さは外観からは想像できないほどに広い。


 その中央、苔の生えた庭石の上で胡坐をかいている初老の獣人がキセルをくゆらせていた。


 その姿は山の中を歩いているタヌキをそのまま前足だけ持って二足歩行にさせたようないでたちである。


 しかしながら俺があんよがじょーず、などと言ったらぶち殺されかねないほどの風格を漂わせていた。


 異世界、相変わらず何でもありではあるが別に獣人は見慣れているので特に驚くこともなかった。


 土下座をされても無理やり踊らされるわけではなさそうだ。あのタヌキは雌であったし、うろ覚えだが名前も違ったはずである。


『彼の名前はMr.コジロウ、でしたね。ギョウブではありません』


 そうか。じゃあ大丈夫なのだろう、と胸をなでおろした。


 無敵な敵は厄介だが、それ以上に面倒くさいのは常識を変えてくる輩であったから。


 ……ないとは思うがチェスのコマに軍用犬があるかどうかだけでも確認しておいた方がいいだろうか。


 などと一瞬考えてしまうのは、やはり消照闇子のあの発言が原因だろうか。


『ちなみにですけど、一応懸念材料として考えられるものとしてSCP-515-JPに該当するそれをイメージしているのであればそれも考えなくても良いかと。あのSCiPには狸に変化するような異常性はありませんしね』


「分かってるって。さすがにお前ほどじゃないけど俺も何年もSCiPに関わって五体満足でいられるほどには常識も非常識も備わってるもんさ」


 何度も会話するうちに自然と周りにバレないよう会話するすべが身についている自分に、半分辟易する。エージェント・ロロ氏と竹内研究員のような意思疎通が出来ればもう少し違和感なく話せるのだろうか。などと考えるものの、結局のところカインが俺の思考をかってに読むことが出来るだけでテレパシーだのなんだのといった便利なことにはならないのだろう。


『私はいくらでも協力するんですけどね』


 信じられるか。


「お久、ではないぞシュバル」


「なんでだよ。三日ぶりじゃねーの? それともジジイだから三日なんてすぐってか?」


 シュバルが両腕を広げて軽口をたたくと、男性はあきれ返ったようにため息をついた。


「二3I()王 城(キャッスル)戦 車(パトリオット)で追い詰められたからって逃げられると思うなよ」


「ちょいちょい、おじサマ~??? それはオレの負けってことでさ、決着ついたじゃん? ね?」


「何を言うか。まだ詰みでもなんでもないわ。ほれ。盤は残してあるぞ」


 男性が座る庭石、その後ろからチェスボードのような、それでいて将棋盤のような奇妙な台座が取り出された。何も乗っていなかった盤面にコマたちがならんでいく。


「降参逃げなどさせてたまるかい。お前さんが勝ったらチャラ、そうじゃなかったら猶予は無し。そういう取り決めじゃ。それとも借金を返すアテでもできたのかの?」


「い、いやぁ……。それが、だなジジイ。八5Ⅶ()探 偵(マーブル)でほら……」


 シュバルが枯山水を遠慮なく踏み抜きながら、置かれている盤面のうちの一コマを動かす。その一手はどうやら盤面の形成を逆転させる一手だったようで、ギョウブ呼ばれていたタヌキの老人はグウとうなるように盤面を見つめ始めた。


「まま、ええんじゃ。こんなもんは。目的は違うんじゃろ?」


 そう言ってギョウブは置かれていたボードを仕舞い、柏手を一度大きく鳴らす。大きなバタンという音とともに、店の奥の壁が大きく回転した。


 その壁面には多種多様の武器が並んでいた。


「……まぁ、そうだけどジジイ、今度絶対続きやるからな」


「はいはい、わかったわかった。ほいで、武器の新調じゃって言うならあぬしが今つこうとるやつよりええもんがいくつか入っとるぞい」


 そう言ってギョウブは壁にかかっている武器のいくつかにどこから取り出したのか杖を伸ばし、ひっかけて手元に手繰り寄せた。


「あー、すまんがジジイ、今日はコイツのを見繕ってほしいんだ」


「ほぅ、さよけ。ほな適当に選ぶんじゃな。ジャンルがどれかだけ伝えれば、見繕ってやろうぞ」


 剣、薙刀、弓、槍……様々な並べられた武器の選択肢のなかから、俺はナイフを手に取った。

今回はこちらのSCP報告書及び人事ファイルを参考にさせていただきました。


"aisurakuto"様作「SCP-246-JP - 削り削られ」

http://scp-jp.wikidot.com/forum/t-10377214/scp-246-jp

"blamish"様作「SCP-903-JP - Mr.コジロウ feat.愉快なダンサー」

http://scp-jp.wikidot.com/scp-903-jp

"sugoitakaiBILL"様作「SCP-515-JP - 軍用犬の駒」

http://scp-jp.wikidot.com/scp-515-jp

"home-watch"様作「SCP-835-JP - ゼノフォビア→消照闇子」

http://ja.scp-wiki.net/scp-835-jp

"Kain Pathos Crow"様作「SCP-073 - "カイン"」

http://www.scp-wiki.net/scp-073 本家

http://ja.scp-wiki.net/scp-073 日本語版

エージェント・ロロの人事ファイル

http://scp-jp.wikidot.com/author:porsche466


※SCP-835-JPはゼノフォビアに取り消し線が引かれ、矢印は存在しませんが表記の都合上このような形にさせていただいています。


面白そうだと思ったりしたなら下のボタンから評価、感想、ブクマの一つでもしていただけるとありがたいです。

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現在連載中の別作品です。こちらももしよければぜひ。

対人スキル最強のはずなのに”肥育魔法”特化で何も殺せない呪いをかけられてしまいましたが、それでも頑張っていこうと思います。

https://ncode.syosetu.com/n2348hs/

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