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よーいドンのスタートライン 2

今回は全くSCPが出てきません。

エタらせてしまった自分の落ち度かもしれませんが、書きたい展開では少し整合性が取れず数日ほど筆が進みませんでした。すみません……。

 張り詰めていると感じていた空気がただ単に緊張から来たものだと分かったのは、数秒間の沈黙の後だった。


「同……胞……?」


 壁に背をつけたまま、俺はオウム返ししかできなかった。


「まぁまぁ、お座りください」


 勢いよく机に頭をこすりつけたからだろうか、元あった位置からだいぶんズレたそれらを元の位置に戻し、壮年の男は俺に座るように促した。


「簡単な話です。あなた様……トスク様、でしたかな。トスク様が解放していただいたあの兵士たちは、我が同胞にして同じ志を持つものなのですよ。血も生まれも同じ場所の人間というものは少ないのですが、私たちは同志であり、同胞であり、そして、この国では迫害される対象でした」


 つまるところ、俺は間接的にこの人を助けたということか。そして、この男の言うことを完全に真に受けるのであれば、俺は確実にこの国に居られないくらいのヤバい行いをしたことになる。


「……そういわれてもあまりピンとはきませんね。あそこにいた人とあなたは違いすぎる。肌の色も、種族も、何もかもが違う人があそこには何人もいた。あれを全員同胞だとは考えにくい」


 Dクラス職員でさえあんな待遇はされないのではないかと思ったほどの人々だ。……いや、ケーキだのチキンだのを年がら年中食べさせられているあれらと比べるベクトルは少し違うと言えば違うのだが。


「そうですね。なんと言えばいいのやら。……あ、あった人はこんなの身に着けてませんでしたか?」


 男は鎧の内側からペンダントを取り出した。赤く輝く小さな宝石が先端に取り付けられた、民族的なペンダントだった。


「これを携帯していたかと思うんですが……」


「ん~……? あれ? ちょっと見せてもらってもいいですか?」


 なぜだろうか。少し既視感がある。どこで見たのかは皆目見当もつかないのだが、どこかで見たことのあるそれは何故だか気になって仕方が無かった。


 差し出されるものだと確信し受け取ろうとして手を伸ばすと、そのペンダントは俺の手に渡ることなくひっこめられる。


「すみません……これは大切なものなので」


 そういうものなのか。という考えの元、まじまじと男の掌の上のペンダントを見る。装飾などは一切なく、石槍の先端のような尖った宝石が乱雑に紐に括りつけられているだけにしか見えないペンダント。


『それ、触らない方がいいですよ』


 長らく黙ってたわりに言うのが遅い。というかこれが何か分かるのかカイン。


『さぁ……? 私にわかるのは触らない方がいいってことくらいですね。博識ではあるんですが万能ではないんですよ。私』


 なるほど。使えないと。


『ひどい』


 そう言ったまま、何度も話しかけたが答えてはくれなかった。ひどい、と言いたいのはこっちだ。


 気を取り直してそれをまじまじと多方面から見つめて記憶の引き出しを片っ端から開けていったとき、一つの記憶がよみがえってきた。


「あ、確かに一人何か首から下げていたような気がします」


 奥の奥、壁際に座っていた一人の首から、真っ赤なペンダントがぶら下がっていたことを思い出す。


「一応全員下げてないとおかしいんですけどね。やっぱり取られちゃったか……作り直さないとなぁ」


 男はポケットにそのペンダントをしまいつつ、それ以上何もないかのように部屋の扉を開けた。


「一応今日起きたことは他言無用でお願いします。というよりも闘技場のことなんて誰も言っても信じないと思いますが、一応」


「え、えぇ。分かりました。あ、それで俺はこれからどうなるんでしょうか……?」


 一方的な尋問でもされるのかと思っていたが(あくまでも俺は博士であり、そんな拷問も精神攻撃も耐えられるほどの訓練は行っていない。事実ミーム殺害エージェントで死にかけてるし)そうでもないらしい。


「あ、そうですね。今日にでも釈放されるように言っておきます。恩人ですので」


「それはありがたいことですが、いいんですか?」


「いいんですよ。一応ギルドの立ち位置としてはだれか矢面に立ってこの人を捕まえましたよって報告をしなければならないだけだったんで」


 アレが人知を超えた何かだということくらい、闘技場の惨劇を見ればわかることですしね。と一言いい、男は扉の向こうへと出て行った。


 椅子の背もたれに全体重をあずけ、俺は安堵する。つまり体裁を大事にしたい奴にスケープゴートとして捕まえられていただけだったということか……。


「なんだこれ」


 天井を見上げながらそうつぶやく。


 異世界、半端なく面倒くさい。財団の方がまだマシだった。


 半分嘘だが、そう思えるほどに人という物が少し信じられなくなってしまった一夜だった。


 数時間後には無事釈放もされ、久々の日の光が俺の、トスクという人間の網膜を焼き付けていた。


今回参考にさせていただいたSCPはありません。


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