千変していく詮索 5
遅くなりました。生活が安定してきたので更新をゆっくりと再会していこうと思います。
久しぶりの更新なので矛盾点があるかもしれないです。修正もしていく予定ですが、もし見つけたらコメントで教えていただけると幸いです。
頭の中で響くその声は、夜の闇に溶けていくようなあいまいさだった。
聞こえてはいる。認識もできる。しかしその声は聞いたことがあるようで、ない。
休憩所に合った本棚に何かが寄生するようなパニックホラー漫画があった気がするが、あれはどこだったか。
自分の物とは思えない水面に映る顔、いや自分の物ではないのだが、その顔をずっと覗き込んでしまう。
声は、ちょうど後頭部の真後ろから響いている。何度も後ろに手を伸ばすが、確実に音のする場所には何もない。
まぁ、まだ見ていないので何かいるのかもしれないが。
「いくつか質問がある。俺が今壁に頭をぶつけてまた本の中に戻りたくなければ俺の質問に答えろ、カイン。いや、SCP-073。なんならいまここで俺の体をお前の檻にしてしまっても構わないんだ」
傍から見れば青年が人気のない広場で狂ったように叫んでいるとしか思えない光景だろう。ただ、俺はそうするしかなかった。
カイン。協力的ではあるものの、アラブ系の人型SCiPであることや報告書を書いた博士が日本語圏の人物ではないことからここまで流暢に日本語を話せるようなSCiPではないことは分かりきっている。
また、これはあくまでも俺の居たサイトの話ではあるのだが
『タイミングが悪かったことは謝るります。許してください。あと話し方に関しては宗博士、あなたの脳内を参考にさせてもらいました。言語を会得するまでの応急的なものだと思っていてください。これからはああいった低俗なバラエティ番組を見ないことをおすすめします』
そう話すカインの声色は終始おとなしかった。まるで俺の怒りなど意に介さないようだ。
その話し方に少し心が落ち着いたものの、それでもやはりこちらの優位性を保っておかないことにはこれからどうしようもないように感じた。
「黙って俺の聞いていることを答えろ。もしお前が気絶したとて消えなくとも、俺はお前を閉じ込める方法を知っている。暗い闇の中で、己の罪を後悔したくなければ……」
『あぁ、SCP-2932のことかな。やめておいた方がいい。右目に私が宿っただけでその頭痛だったのだろう? これ以上複数の人格を憑依させることはしてはいけない。あれは私でも制御できない。宗博士、君もこの世界をむやみに壊したいわけではないだろう?』
「……」
手玉に取られているような、こちらの考えをすべて見通しているかのような受け答え。いくらカインが全てのSCiP、それに伴うSCPを把握しているといっても、だ。カインを封じ込めるだけであるというのであればSCP-216といった普通の金庫などもありえる。
俺がイメージだけで檻と言っているだけだ。なんなら檻とは言いつつも俺の居たサイトのアノマラス倉庫にあった箱であったとしても不思議はない。
「あぁ、分かりました。今の私とカイン、あなたは対等であると認めましょう。そのうえでいくつかの質問をさせていただきます。いいですね?」
『了承しました』
「まずカイン、あなたは今どこまで異常性を持っていますか?」
『私の知りえる限りでは、SCPの報告書の知識、それと攻撃の反射……。あの博士は報告書に暴力が攻撃者にそのままの威力で跳ね返される、と書いていましたね。これが行えること……だと思われます。あくまでも私の所感であり、実証的なものを介してはいないので注意してください。暴力の跳ね返しに関して、トスク氏の体全てに効力が及ぶのかは不明です。私が今自我を得ている右目のみは確実に跳ね返すと思っていただいて構いません』
「そうですか。ではカイン、あなたの異常性の主と言われているその腐食させる力については今どういった状態でしょうか」
インタビュー対象との会話は過去にいくつものSCiPを調べてきた時にごまんと行っている。それと変わりはないのだ。見えない相手にインタビューを行ったことだってある。今は周りをコンクリートで囲まれても居なければ、簡素な机も椅子もない、地面に座っただけの状態ではあるが確実にこれはインタビューだ。その気持ちが、私の口調を丁寧なものにしていた。
『あくまでも私の予測の範囲を出ないのですが、腐食の能力は失われている、あるいは実行に移せないほど薄れていると思われます。これは適合のようなものではないかと。この状況から判断するに、本当なら私が宗博士の全身に入り、宗博士と入れ替わることですべての能力が受け継がれる予定だったのでしょうが、それが行われなかった代償にこのようなことが起きたのではないかと思われます』
「なるほど。次に、SCP-835-JPの知識について知っていることを教えてください」
その言葉に、カインの返答を待つことはできなかった。
傍から見れば俺は今気の狂った青年だ。
つまり俺は今、俺のことを客観視する何者かを想像してしまった。
そして俺は、見られたらと思ったことに軽く恐怖していたのだから。
今回はこちらの作品に基づいて書いています。
"Kain Pathos Crow"様作「SCP-073 - "カイン"」
http://www.scp-wiki.net/scp-073 本家
http://ja.scp-wiki.net/scp-073 日本語版
"djkaktus"様作「SCP-2932 - ティターニアの檻」
http://www.scp-wiki.net/scp-2932 本家
http://scp-jp.wikidot.com/scp-2932 日本語版
「Anomalousアイテム一覧-JP」
http://scp-jp.wikidot.com/log-of-anomalous-items-jp
"home-watch"様作「SCP-835-JP - ゼノフォビア→消照闇子」
http://ja.scp-wiki.net/scp-835-jp
※SCP-835-JPはゼノフォビアに取り消し線が引かれ、矢印は存在しませんが表記の都合上このような形にさせていただいています。
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現在連載中の別作品です。こちらももしよければぜひ。
対人スキル最強のはずなのに”肥育魔法”特化で何も殺せない呪いをかけられてしまいましたが、それでも頑張っていこうと思います。
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