千変していく詮索
特に書くこともなくなってきた上に、時間がないので今回の前書きは特に何もないです。
ざわめきは段々と心地よいノイズに変わっていっていた。
人気があることはここまで心地よいことだったのかと実感する。
「ああ、アイツを探してるのか。アイツも今お前を探してるはずだぞ。大変だなぁお前も。一応今開いているのは職別の受付カウンターだけだから、そこに行けば会えるんじゃないかな」
「ありがとうございます。ついでに職別カウンターがどこにあるのか教えてもらえるとありがたいんですが」
「ああ、それならそこの階段を上って奥だよ。多分いくつか扉があって悩むとは思うけど、冒険者用の所は一つだけだから見ればわかると思うし。他の大多数は大体商人か役人用だからもう閉まってるだろうしね」
「ありがとうございました」
そう礼をし、俺は酒場を離れた。
ここの従業員らは子供が来ていることに不信感を覚えないのだろうかと一瞬心配になったが、この様子だと多分大丈夫なのだろう。
何か事情があるのかどうかは定かではないが、ありがたく状況を受け入れさせてもらおう。
酒場の脇には、確かに階段があった。
途中で踊り場を挟んだ一般的な学校などにある階段だ。
大きさで言うならば少し大きい。
搬入などに使うのだろうか、それとも利用者が多いからこのようになっているのだろうか。
ともかく上ってみる。
階段を上り切った先の二階は、俺が思っていた以上に広かった。
とは言っても一階をくまなく見たわけでもなかったので、想像はあくまで俺の居たサイトを目安としているのだが。
それにしても大きい。
博士らの宿舎が大体階段を上がればすべてを見渡せるようになっていたから、それ以上であることは確かなのだろう。
通路も太くて長い。
過去、視察に行った一般的な学校でさえここまで太くはなかったであろう。
それに、長さもそれ以上だ。
ここは大都市の駅かなにかかと勘違いさせるほどに広く、そして様々な窓口が並んでいた。
「ここから探すのか……」
自然と口から声が漏れる。
しかし、その不安は的外れなものだった。
酒場で聞いた以上にあった施設がほぼすべて閉まっていたのだ。
俺が見た範囲の限りでは、ひとつの扉を残してすべてが閉まっていた。
扉の向こうも真っ暗で人の気配すらなかった。
ならばもう探し人を見つけるための手は一つしかない。
俺は意を決して、扉を開いた。
「すみません……ここにシュバルって冒険者は居ませんかね?」
数回ほど面倒ごとにもうすでに巻き込まれているので、この世界で初動というものがいかに大事なものなのかは身をもって把握している。
そのため、危険だと判断すれば即逃げられるように足は準備していたのだ。
しかし、返事がない。
扉から覗いているこの状況では、よく中の様子が見えないが確実に人の足はあるのにもかかわらず、である。
これはまた余計な何かに首を突っ込んだのではないかと、心の中でため息をつき扉の奥へと入っていく。
扉の向こう、窓口であろうカウンターには、アイマスクをして爆睡している男性が机に脚をのせて行儀の悪い体制で眠っていた。
「あの~……」
起こそうか起こすまいか悩みつつ、他に誰かいないかを探す。
辺りをくまなく探しては見たものの、この男性以外に誰か人物を見つけることはできなかった。
「んごぁ……」
鼻提灯を割って、その男性は目を覚ます。
俺がちょうど誰もいないと判断したタイミングだった。
「なんすかね。一応営業時間スけど、こんなところに来る用事がこんな時間にあるとは思えないんスけど」
アイマスクを少し上げ、男性はこちらに問いかけてきた。
あまり関わりたくはなかったので、他の誰かに呼び掛けているのかといった風に装う。
「いや、キョロキョロ辺りを見回してもアンタしか居ないッスよ。何か用事があるならとっとと済ませてください。換金、斡旋、その他何かッスか」
「あ、あのですね。知り合いがここにきていないかと思って。シュバルって言うんですけど……」
「んぁあ?シュバルの知り合いッスか。アイツならこの奥に居ますッス。とりあえず呼んでくるの面倒なんで入っちゃってくださいッス」
そんな気楽にカウンターに入っても良いのかと思ったが、良いと言われたのなら入っても良いのだろう。
「お、お邪魔します」
その一言は忘れずにカウンターの奥に入った。
カウンターの奥は、書類の山と何か分からないもので埋め尽くされていた。
一応人が通れる分は通路が開いていたのは、律儀なのかズボラなのかわからなかった。
「あの、そういえばどこに向かえば……」
無理な体制で後ろを振り向いて、アイマスクの男性に道を尋ねる。
マジックハンドか何かで一点を指さしながら、男性は器用に熟睡していた。
「そっちか」
誰も聞いていない独り言になぜか少し恥ずかしくなる。
指の刺してあった方を向くと、そこには一枚の扉があった。
ここに入って来た時の扉よりも簡素で、隔てるだけのただの板のような存在だった。
「お、おじゃましま~す」
思っていたよりも軽く開いたその扉は、本当に壁を隔てているだけのようだった。
「おぉ、帰ってきた帰ってきた。おめぇ心配したんだぞ」
扉の向こうには、探し人ことシュバルが、のんきに座ってテーブルゲームにいそしんでいた。
今回基づかせていただいたSCPはありません。
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対人スキル最強のはずなのに”肥育魔法”特化で何も殺せない呪いをかけられてしまいましたが、それでも頑張っていこうと思います。
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