最終問題の回答 2
結構主人公の考えがふらふらしていますが、その方が面白くなりそうだなと思っているので許してください。
また、ブライト博士のようなマッドさは多少忌避されることが多いことも承知の上で、主人公はすこし変なキャラ付けにしています。
5秒前に決めたこととかすぐに変えます。
一応Fサイトのトップとしてどうなんだって話ですが、そういうキャラなんだなって思っていてください。
そうすると私も書きやすいです。
手のひらの火は、弱いままで通路を照らしている。
壁の傷や血の痕が、生々しい風景でお化け屋敷よりも何よりも現実味をおびている。
ある意味風化している分綺麗なサイトよりもねっとりしたリアリティのある血なまぐささだ。
コツ……コツ……という足音が通路を反響していく。
SCiPの実験やそのほか色々な体験で、恐怖には慣れていた。
一般人が普通でないと感じるようなものをいくつも見てきた。
普通は幽霊と称されるようなSCiPもいくつか実験やモニター越しに観察したりしたことがある。
しかし、ここで感じる怖さとリアルさは想像をかき立てる分へたなSCiPよりも心にきた。
薄暗い。とても薄暗い。
しかし、これ以上火を強くしたときもし近くに人が通ってこの火を視認してしまったらどうなるか。
想像に難くない。
死に急ぐような行動はしないが、その汚染に深さによっては最悪こちらに害を与えてくるかもしれないのだ。
今俺の持っている能力は「照らす」ではなく「不安にさせる」ことだということを忘れてはいけない。
そもそもSCiPの能力を借り受けるということは、アクの強い能力を体に宿すことであることを絶対に忘れてはいけない。
基本的に良い部分なんてものはないのだ。
最悪多数の人間が死ぬことになる。
今だって、火自体ではなく俺自体にまでミーム汚染の能力が流れてきているかもしれない。
そうなった時どうなるか。
そう思うと絶対にこれ以上火を強くできるはずがなかった。
そんなことを考えながら薄暗い通路を進んでいくと、いつの間にか突き当りに来ていた。
左右の道に分かれている。
どうやら壁にかけられたたいまつでほんのりとこの先は照らされているようだ。
これ以上この能力は持っている必要がないだろう。
こういう時のために、最低限無害なSCiPを控室でピックアップしておいたのが助かった。
本をいくら読んでも能力解除の方法が分からなかった。
ならば上書きするしかない。
ホームランも、ウナギを投げるものも、結局は「方法」でしかなく俺に能力を入れる必要がなかったから複数発動できただけだ。
「SCP-131 アイポッド」
ぼそりと呟いたその瞬間、手のひらの火はふわりと消えた。
特に自覚できるなにか能力は感じられない。
元々このSCiPはほぼ無害なものだと報告書には書かれている。
自我があるからSCiPとして登録されているだけで、ほとんどAnomalousアイテムのような安全さだと報告書だけでは感じ取れた。
これならば大丈夫だろう。
ミーム汚染や特殊プロトコルなども一切ない。能力を借り受ける上で楽な、そしてラフな状態に近いSCiPなのだ。
さて、右か、左か、悩ましいのはまずそこだろう。
某氏の理論でいくのであれば左だっただろうか。
ここで何か使えるSCiPもあればよかったのだが、とくに思い出せるものはなかった。
ええい、ままよ。と左に進む。
運任せだが、なんとなくこちらではないかと思って進んでいく。
カツ……カツ……と靴の音が響いていく。
空気は流れていないが、ここは地下なんだろうか。
ぼろり、と時折壁の崩れる音が聞こえる。
石を切り、組み合わせた壁は多分相当劣化しているのだろう。
メンテナンスもされていないことは、通路のいたるところからひしひしと分かった。
そうじゃないのであれば壁の傷も、血の跡も、消えていないはずがない。
崩れそうな壁を見つければ、一つ一つ避けて進んだ。
流石にこんなショボいことで死にたくはない。
……いつからか、何かの音が響いていた。
ここは闘技場なのだ。
人が居る可能性もある。
消照闇子に殺されていた人間はあの場所だけだったとしたら、ここには人がいる可能性がある。
「誰か居るんですかー!!!」
さけんでみた。
流石に危険かと思ったが、人恋しさはもう最大まできていた。
これ以上何かが起きたら俺は発狂してしまう。
もしこの生物の気配が、闘技場で使われるモンスターなどであるのであればこの声には反応しない。
しかし、人が居るのであればぜひこちらに来てほしかった。
敵意があった人間だったら、その時はその時だ。
最悪つかまっても構わない。
それほどまでに人が恋しかった。
「あぁ……新入りではないな。声を聞くのは久しぶりだ」
薄い、消えそうな声が通路の向こうから聞こえてきた。
聞こえてきた。人が居るのだ。
その瞬間、俺の足は速く走り始める。
小さな石にひっかかって少しよろけたが、足元がもつれようとかまわないほどにダッシュをする。
声の主は、牢屋の向こうに居た。
筋骨隆々な男性が、何人も牢屋の中に横たわり、何人もの男性が眠っていた。
その中でも一番奥に座っていた、比較的他の男性よりも体に巻かれた包帯が少ない人物がこちらに語り掛けてきたようだった。
「兵士……じゃぁねぇな。ロットの野郎が持って行ったアイツに殺される予定だったヤツか。それともやらかした犯罪者か。兵士が居ない以上前者の方が正しいか」
一人でこちらを見つめながらボソボソとつぶやいている。
「あの、ここに居る人たちは……」
Dクラスでさえここまでひどい扱いはされていない。
こんなものは空想上の奴隷くらいだ。
この世界も同じものなのかとおののきながら、口に出たのはその一言だけだった。
「何があったかは知らないが、この檻を開けてはもらえないか」
こちらの問いには答えず、その男性は鋭い眼光でこちらを見つめる。
「ここの連中は一部動けないやつもいるが大体は動ける。鍵を持っているなら出せ。壊せるものがあるなら壊せ。それでお前もここから一緒に出られる」
こちらの言うことは聞いてはくれないようだ。
この状況で開けていいのかどうかも分からない。
「あの、開けたところで俺に何か得があるんでしょうか」
ここから出られるといわれたが、しかし出るだけなら俺だけでも不可能ではないはずだ。
ここでコイツらを開放して俺に何か損が発生したら元も子もない。
「ああ、あんまり無いな。出られることくらいか。ただ、それが一番の得だろうことはここに居る時点で分かる。ここでとらわれている人間を解放するほどの善意と、この国に住んでいる人間なら一度は感じたことのある国への不満を持っているなら解放してくれと言っているだけだ」
無茶な願いだと思う。
俺はこの世界の人間ではないし、この国に不満なんて今のところ一つもないのだ。
しかし、無性に実験がしたくなってきた。
博士根性とでも言うのだろうか。気にったことはやらないと収まらない。
ここで解放してみるのはどうなるだろうか。
脱出できるかどうかも分からない。
損しかないかもしれない。
しかし、ここで開けた方が面白いことになるのは事実だ。
それに開けるためのSCiPを探すことは、今後につながるかもしれない。
財団ではあまりこういう「実験!実験!」みたいなことは推奨されていなかった分、抑圧されていた研究者意識が戻ってきた。
最近は書類整理ばかりだったので何もできないストレスも溜まっていた。
「ああ、うん。分かった」
「そうか。ありがとう」
男が地面にこすりつけるように頭を下げたことは、驚きだった。
最後が少し無理やりかなと思いましたが、手抜きではなく技量不足です。
話としては面白くなっているつもりなので期待していてください。
今回はこの作品に基づいて書かせていただきました。
"home-watch"様作「SCP-1406-JP - 安息の灯」
http://ja.scp-wiki.net/scp-1406-jp
"home-watch"様作「SCP-835-JP - ゼノフォビア→消照闇子」
http://ja.scp-wiki.net/scp-835-jp
作者不明「SCP-131 - "アイポッド"」
http://www.scp-wiki.net/scp-131
※SCP-835-JPはゼノフォビアに取り消し線が引かれ、矢印は存在しませんが表記の都合上このような形にさせていただいています。
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現在連載中の別作品です。こちらももしよければぜひ。
対人スキル最強のはずなのに”肥育魔法”特化で何も殺せない呪いをかけられてしまいましたが、それでも頑張っていこうと思います。
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