最終問題の回答
今回からサブタイトルが変わりますが、あまりストーリーの軸は変わりません。
どちらかというと最終目標のために自分のメモとしてサブタイトルをつけています。
よろしくおねがいします。
喉が痛い。
叫んだことでさっき吹き飛ばされたときに少し打った首が痛む。
腹の筋肉もあまり無理をしてほしくなさそうにキリキリと叫びをあげていた。
返事が聞こえない空間に、俺の声だけがこだましていく。
リローネやロット、観客らはこの会場に居たはずだ。
VIP席に座っていたリローネをはっきりとこの目で見たことは確かに記憶している。
薄暗くてあまり観客席の方は見えなかったのだが、絶対にあんな服装をこの世界でしているのはリローネだけだと思えるほどに奇抜なシルエットだったのだ。
ハンマーを持ち、ロットの近くに座らされていた様子からしても多分間違いはない。
居るはずのさっきまで元気に笑っていた声は、今も聞こえていない。
何か反応してくれるはずだ。こんな緊急事態に金持ちボンボンが、そしてその側近が声を張り上げて何かしないわけがない。
それに、だ。
こんなにも隠れたところに存在する裏の闘技場のような場所で、観客の顔すらあまり確認できないようになっている辺りここは金持ちの道楽施設のようなもので間違いはないだろう。
そんな場所に来ているほど金を持っている、あるいは裏を知っている人間が、暗闇に恐れないはずがない。
暗殺、スリ、なにをされるかもわかったものではないのだから。
いや、まぁなんとなく察しはついているのだが。
あの人物は確実に自分のことを「消照闇子」だと名乗った。
これが意味することは一つ。
この世界には俺以外にもSCiPのことを知っている人間が居るということ、そしてアイツはSCP-835-JPの能力を俺と同じように使いこなせているということだ。
後者は未だ仮説の段階ではあるが、首の落ちる音、そして返事のないこの空間から察するに能力を持っているということで間違いはないだろう。
本人の言葉に嘘がないのであれば、あちらはこの場所の俺以外を全員殺して、消して、どこかに消えたのだろう。
俺が殺されなかったのは、この火のおかげでもあるが、それ以外にも一つ思い当たる。
俺の中で消照闇子という存在を知っていること、そしてその存在が陳腐な"キャラクター"に成り下がっていることだ。
この条件は、あれに対してとても対処のしにくいものとなる。
自己の修復、そして変化ができず、固定化された概念はあのSCiPにとって厄介な存在なのだ。
肉弾戦に持ち込んで勝てるならまだ良いのだが、俺の場合は固定化されているイメージが女子高校生なのだ。
いくら少年が相手とは言え、少し無理があるのかもしれなかった。
それに、多分あいつは俺がSCiPの能力を借り受けられるということを知っている。
だから攻撃してこなかったのだろう。
なんだろうか。
違和感はない。
しかし、納得はいかない。
何故俺以外に存在するのか。
そして、なぜ俺を一瞬でも殺そうとしたのか。
俺は元財団職員だ。あまり上の立場ではないが、一応いくつか特権のような権限を持っている程度にはセキュリティクリアランスも高い。
SCiPを知っているのであれば、財団職員だと分かるだろう。
そして、協力を申し出てくるはずだ。
いくらなんでも職員が殺しあうはずがない。
そのほかにも納得がいかないことが点々と頭の中に残っている。
考えすぎるのもいけないが、考えないのもいけない。
この状況から脱出するすべも考えなければ。
声が聞こえないのであれば、この場所からは一人で脱出するしかない。
確認したいのは入ってきた扉だ。
俺の分と、大男の分。
この場所には二つの扉がある。
それ以外にも観客席の方にいくつかあるだろうが、今のこの体では観客席まで登攀することは不可能だろう。
何かSCiPの能力を借りようかとも考えた。
しかし、試そうと考えるも梯子のSCiPや上に飛ぶSCiPなんて物は思いつかない。
梯子自体はSCiPなのだが、その能力は"上ること"ではないものなら一つ思い浮かぶのだが、あれは上る行為をトリガーとして物体を出現させるというものだった。
今の状況では必要がない。
翼をもったSCiPならいくつか思い浮かぶのだが、それを実行したときSCP-020-JPの体のように貧弱になってしまったら厄介だ。
「"アレ"が飛べるとは一言も報告書に書いていなかったしな」
ぼそりと呟くその一言は、自分の状況と心の非情さを示しているように感じられるようだった。
閑話休題。
俺の入ってきた扉は、開いていた。
壁伝いにそこへ向かう途中でおびただしい血痕が壁にまとわりついているのが見受けられる。
やはりアイツは能力を持っているのだろう。
そう考えながら俺の入ってきた扉までやってきた。
方向だけで考えるならば間違いはない。
俺は俺の入ってきた扉がガッチリと逃げ出せないように閉まっていることを確認した。
そりゃそうだ。
殺されることが分かっている人間に退路は与えない。
逃げられることこそくだらないことだ。
そうとでも言わんばかりのその扉は、子供一人のちからではビクともしなかった。
それを確認したのち、大男の入ってきた扉へ向かう。
こっちは開いていた。
全く見えない状況だったが、絶対にここの奥から大男が出てきたことは分かる。
壁にはなすりつけたような血の痕が残っている。それに加え、いくつもの傷がついているのだ。
こんな傷は俺の入ってきた通路にはなかった。
ここから先は何があるか分からない。
気を付けて、その扉の奥へと俺は足を進めていった。
以下の作品に基づいて書かせていただきました。
また、書かれていない部分の描写に関しては完全に私の予想ですので、解釈が違えばコメントにお願いします。
"home-watch"様作「SCP-835-JP - ゼノフォビア→消照闇子」
http://ja.scp-wiki.net/scp-835-jp
"home-watch"様作「SCP-1406-JP - 安息の灯」
http://ja.scp-wiki.net/scp-1406-jp
"solvex"様作「SCP-988-JP - わたしへ」
http://ja.scp-wiki.net/scp-988-jp
"mizuno"様作「SCP-020-JP - 翼人」
http://ja.scp-wiki.net/scp-020-jp
※SCP-835-JPはゼノフォビアに取り消し線が引かれ、矢印は存在しませんが表記の都合上このような形にさせていただいています。
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対人スキル最強のはずなのに”肥育魔法”特化で何も殺せない呪いをかけられてしまいましたが、それでも頑張っていこうと思います。
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