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追放された悪役王子は【悪】を極めることにした

「ジェフ。貴様は今日をもって王家から追放処分とする」


 レイト王国、王の間にて。

 呼び出された俺は父親であるクレイグ国王に追放を言い渡された。


 正直、こうなるのは予想できていた。

 俺は半ば嫌になりながらも、理由を聞いてみる。


「どういった理由ででしょうか」

「簡単な話だ。貴様が第二王子であるルイガをいじめ、闇魔法を研究している。まるで悪役だとは思わないかね?」


 悪役……もう何回も聞いた言葉だ。


「うえーん! 兄さんにいじめられたよー!」

「おーよしよし。ルイガよ、もう大丈夫だからな」


 俺はこの国の第一王子……だが、そのように呼ばれたのはもう随分前の話である。

 悪役王子。これが俺に向けられる言葉だ。


 そう呼ばれるようになったのは二つ理由がある。


「何度も言っていますが、ルイガは嘘をついております。俺は決していじめてなんかおりません」

「嘘を言うな。貴様がルイガを闇魔法の実験台にしていると聞いておる」

「そうだよぉー! うえーん!」


 バカバカしい。そんなことをするわけがない。

 そもそも闇魔法の実験台にされたら、人間の体が持たない。


 それほど、強大な魔法なのだ。


「ジェフ。諦めろ、もう闇魔法を研究している時点で貴様は悪だ。なんせ闇魔法は魔族が所有するもの。それを研究する? まるで反逆者ではないかね?」


 はぁ、と大きなため息が漏れてしまった。

 考えが時代遅れである。


 人間の強敵である魔族を知るために俺は闇魔法を研究しているのだ。

 なのに周囲は理解してくれなかった。


 そして、それに付け込んだのがルイガである。

 第一王子である俺を引きずり下ろすため、実験台にされているとでっちあげたのだ。


 ただでさえ怪しまれていた俺にとって、大きな痛手。


 そうして俺は見事、【悪役王子】と呼ばれるようになった。


「悪役は悪役らしく、大人しく処刑……と行きたいところだが、貴様は第一王子。そんなことをしてしまうと、王家の信頼に傷がつく」


 父上は俺のことを睨めつけ、静かに言う。


「貴様をアルバート領の領主に任命する。せいぜい後悔するがいい」

「ぷぷぷ……兄さん、あんなところに行ったらすぐに死んじゃうかも……」


 アルバート領。それはレイト王国の辺境である。

 どうしようもなく荒れ果て、住民たちは国家を敵視している。


 そんな場所に第一王子が行けば、もれなく殺される……ってわけだ。

 つまり実質の処刑宣告。


「……分かりました。すぐに準備して出ていきます」


 俺は王の間から出て、自分の部屋へと向かう。


「《暗黒収納》」


 荷物は全て魔法によって持ち運ぶ。

 これが闇魔法。魔族の技術なのだが……この国家には必要ないらしい。


 全て仕舞った俺は馬車に乗るため、宮廷を歩いていると一人の少女が声をかけてきた。


「ジェフ様! どうして追放を受け入れたのですか!」

「メアリー。いいんだ、俺はもうこれで」


 俺の専属メイドであるメアリー。

 彼女は唯一俺のことを信用してくれていた。


 闇魔法の有効性にも理解があった。


「俺はもうここにはいられない。君はきっと、ルイガのメイドになると思う」

「そ、そんな……」


 絶望の表情を見せるメアリー。

 俺はそんな彼女の肩に手を置く。


「大丈夫。俺はこれからアルバート領へ向かう。もし、嫌になったらすぐに逃げ出してこい。絶対に守り切るから」

「で、でもアルバート領は……!」


 言い方からして、俺がこれから向かう場所がどんなところか知っているのだろう。


「安心してくれ。なんせ、俺はあの闇魔法を使う人間だぜ。誰にも負けないさ」


 そう言って、俺は「ただ」と付け加える。


「俺は悪役になる。だから、来るならある程度覚悟をしてくれ」

「悪役……ですか?」


 頷き、俺は笑顔を向ける。


「ま、そういうことだ。それじゃあな」

「え!? ちょっと!?」


 これ以上ここにいても、悲しくなるだけだ。

 用意された馬車に乗り込み、件の領地へと向かう。


 俺は覚悟を決めた。

 ずっと悪役王子と呼ばれてきたが……もうこれでもいいと思っている。


 いっそのこと、その名に恥じないように【悪】を極めてみようと思う。


「そう考えると、アルバート領は最適と言えるな」


 魔物が蔓延り、領民が国家を敵視している場所。

 俺はそこで、真の悪役になる。


「今更追放を取り消しても、もう遅いからな。クレイグ国王、そしてルイガ」

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無自覚な最強剣士(暇人)が神々の迷宮を叩き斬る無双譚!


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「この戦いが終わったら結婚するんだ」と言った後、本当に魔王を倒して帰ってきた結果~完全に死んだと思われていたようで、何故か伝説になっていた。いや、その墓は俺じゃない。お前の隣にいる~


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