表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

婚約破棄!ありがとうございます!やっと、解放されますわ。

作者: 浅村鈴


「クリスティーヌ・ディルフォン!いまここで私達の婚約破棄を宣言する!!」


キリル国の王太子で私の婚約者が突然の宣言をした。

その言葉が学園の卒業パーティの会場内に響き渡った。会場にいる、卒業生、その親族、在校生、教師たちは真っ青になり、言葉を失っていた。


キタキタキター!やっと宣言してくれたわね。これで退屈な王太子妃教育から解放されるわ。まぁ、せっかくだから最後まで付き合ってあげるわよ。

私優しいので。


「な、何故婚約破棄など……」


一応びっくりして泣きそうな態度をみせてみる私。


「しらばっくれるな!お前は俺がシルビィを好きになったからと、陰で脅し、虐めていただろう!その上身近な男共と関係を持っていただろうが!このアバズレが!!」


おい、おい!ちょっとまて!アバズレってどういう事よ!ふざけんな!!

心底怒りを爆発させようかと思ったが、一応思いとどまった。


「身に覚えは全く御座いません。幾らアイル王太子殿下でも言い掛かりはやめてください」


「何が言い掛かりだ!真実だろうが!全て愛しいシルビィが教えてくれたぞ!」


「クリスティーヌ様は私の教科書や服をズタズタにしたり、頬を殴ったり、階段から突き落とそうとまでされました!私は怖くて怖くて……」


馬鹿殿下にべったり体をくっつけて、目に涙をいっぱい溜める綿菓子みたいな少女が私を責めていた。


「この悪女が!お前は国外追放だ!さっさと出て行け!」


王太子は公然と婚約者以外の少女の腰に手を当てていた。


王太子に、貴族に国外追放を言い渡す権利があると思っているなんて、やっぱり馬鹿なのね。


「わかりました。先ずは婚約破棄の書類にサインをお願い致します。書類がなければ、正式に婚約破棄が認められませんから。ここにいらっしゃる皆様に見届け人となって頂きましょう」


「用意だけは良いのだな。そこだけは褒めてやろう。これだけの人間が見届け人だ。無かったことにはできないからな!」


アイル王太子は書類にサインし、婚約破棄出来た事に満足していた。

すでに人目も気にせず綿菓子少女とイチャイチャしている。


「婚約破棄はお前の責任だからディルフォン辺境伯には莫大な慰謝料請求させてもうからな。楽しみにしていろよ。まぁ田舎者の辺境伯如きが支払えるかは分からないがな。払えない時は領民を奴隷にするなり、領地の女を娼館に売るなりして慰謝料を作るんだな!」


アイル王太子は大笑いしながら言葉を吐き捨てた。


見守っていた会場内の者達は王太子とは思えない行動、言動を見聞きし、気絶する者、その場に座り込む者、立っているのがやっとの者、部下に指示している者、色々だった。


「私も殿下に婚約破棄の慰謝料請求させて頂きますわ」


「はぁ、お前は馬鹿なのか?ふざけた事言うのも大概にしとけよ」


馬鹿にする言い方で言い放った。


「大概にするのは貴方よ!

ようやく婚約破棄されたから、大人しく領地に帰ろうと思っていたのに、人の事アバズレなどと罵り、挙げ句の果てには私の家族や領民を馬鹿にするなんて許せませんもの」


クリスティーヌが右手を上げると会場内を取り囲む集団が現れた。

ディルフォン辺境伯領の冒険者ギルドと魔導ギルド、商業ギルドの面々だった。


「王子様よぉ、俺達の家族をどうしろって?」


ディルフォン領の冒険者ギルドマスターが声を上げた。


「奴隷や娼婦に売れって聞こえましたよねぇ。私売られちゃうのかしら?うふふっ」


同じくディルフォン領の魔導ギルドマスターが、笑いながら声を出した。


「今の時代奴隷売買禁止されてるって知らない王族がまだいたとは。呆れますね」


最後にディルフォン領の商業ギルドマスターが呆れていた。


「お、王族に反旗を翻すつもりなのか!?護衛騎士団は何をしている!?私達を守らぬか!!」


明らかに動揺を隠せない馬鹿王子。


「そ、そうよ!私達を守りなさいよ!」

アイル王子の後ろに隠れながら声を出す綿菓子少女。


護衛団長が前に出た。

そしてクリスティーヌに膝をついた。


「アイル王子の暴走を止める事が出来ず申し訳ありませんでした!」


護衛団長はクリスティーヌに頭を下げて謝った。


「な、何を言ってるんだ!?何故クリスティーヌに頭を下げるんだ!?」


騒ぎを聞きつけ急いで会場に入ってきた国王はクリスティーヌの前に立ち頭を下げた。


「馬鹿息子が暴走した事、申し訳ない!わしに免じて許してくれ!!」


「な、なんで国王である、父さんがそんな女に頭を下げてるんだよ!」


「黙れ!この大馬鹿が!!我が国を潰す気か!!!」


「はぁ?意味わかんねぇよ!」


不貞腐れた王太子と国王の前にクリスティーヌによく似た妖艶な美女が立った。


「国王陛下、婚約時の約束通り、王族側からの婚約破棄になりますので、我がディルフォン家はこの国から独立致します。そして本日を持ちましてデルフォンを通過する際の関税は上げさせて頂きます。

もちろん慰謝料も請求致しますわ。

私の愛娘がアバズレなどと言われて深く深く傷つきましたから。

それに大切な領民を奴隷にしろとまで言われました……。領民の怒りを抑えられるか今から不安でたまりませんわ。王都に何事もなければ良いのですが……。王太子殿下が言われる通り田舎者達ばかりですから」


クリスティーヌの母でシルフィーヌ・ディルフォン辺境伯当主だった。顔は笑っているが、目は人を殺しそうな威圧があった。


「ま、待ってくれ!ディルフォン伯!!王太子は廃嫡にして馬鹿女共々生涯幽閉にする!だからもう一度考え直してくれ!我が国にチャンスを!」


国王の、顔は真っ青だった。


「婚約時にチャンスは一度きりだと言ったはずです」


相手を一目で凍らせる冷たい目線を国王に向けた。


慌ただしく数人の兵士が走ってきてそれぞれ報告した。


「国王陛下ご報告申し上げます!

み、港の船が全て撃沈されました!」


「エルラドン帝国とロラン王国、バイカード教国の兵士がそれぞれ国境沿いまで来ています!!」


「王都内の商会が王都の店を閉めディルフォン領方面に向かっています!」


「王都内の冒険者達も移動をはじめました!」


「ディルフォン辺境伯周辺の貴族達から、爵位返上の申し出が多数来ています!!」


「ディルフォン領では魔道具の大砲全て発射準備がなされ王都に向けられているそうです!」


「我が国は終わりだ……」


国王は報告を聞き立ち上がる事も出来ず呟いた。


「クリスティーヌ、ディルフォンに帰りましょうか」


「はい!お母様」


クリスティーヌは大好きな母と大好きなディルフォン領に帰れるのが嬉しかった。

3年前、一人息子の王太子を補佐して欲しいと婚約者に望まれたクリスティーヌだった。幼い頃から我儘放題で、全ての勉強から逃げていたカイル王太子はディルフォン領を辺境の田舎貴族だと思い込んでいた。その田舎娘が自分の婚約者だと言う事も我慢ならない事だった。

王太子は田舎だと言っていたディルフォン領は実は諸外国との国交の要であり一国を潤すほどの税収の領地でもあった。クリスティーヌの母シルフィーヌが少女だった時代に貧富や身分の差などなく勉強や治療出来る様になり、優秀な者が住むようになった。中でもシルフィーヌの美貌と人望によって諸外国では女神と崇めるようになり、隠れファンクラブがあるのは公然の事実だった。実際諸外国のトップ達はディルフォンに助けられた者が多かった。

女神シルフィーヌの最愛の娘を無下にした情報はすぐさま魔道具で各国に流れ、それぞれが動き出した。

5年後キリル国と言う国は地図から消えていた。


クリスティーヌは領地に帰った後、諸外国に旅に出た。

沢山の冒険と戦いと出会いの旅に。

再び領地に戻ったクリスティーヌはシルフィーヌに負けず劣らない女王となり、国の為に尽くした。


この作品を最後まで読んでくださってありがとうございます!

感謝します!!

評価も頂けると頑張るパワーになりますので、よろしくお願いします!

いつも誤字脱字、感想、ブックマーク、評価ありがとうございます!

まだまだ暑い日が続いていますが、体調崩されません様に

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 王子とシルヴィがその後どうなったのか、どういう目にあったのか、そこをちゃんと書いてないから気になる。 婚約者が浮気して、婚約破棄されて、それで結果こうなって、っていう男女間の話なのだ…
[気になる点] これ国王が、息子を好き勝手やらせないように、 強制的に大人しくさせる方が楽だったのでは?
[一言] シルフィーヌさんが旦那さん?よくもまぁ勝ちましたね。ものすごい争いだった予想します。 面白かったです。応援してます。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ