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98.錬金術士武闘大会前夜祭


各種族の王様が一堂に集うパーティーということもあり、武闘大会前夜祭は豪華なものだった。

いわゆる立食パーティーだ。

ここで明日からの個人戦トーナメントの抽選も行う。

俺の出る団体戦は各種族から1チームしかでないので総当たり戦だそうだ。

個人戦決勝戦の日に前座的に行われる。

つまり1日、というか半日で2戦しないといけない。

一応今日団体戦参加者の各チームもお披露目があることになっている。

それまでは自由にしていいということなので適当に料理をつまんで過ごす。


しかし、そこは魔大陸というより魔界だ。

様々な悪魔とヴァンパイア、幽霊っぽい人やミノタウロスにオーク。

そしてそれらが談笑しているのにも違和感があるが、まあ彼らにしてみれば俺たちこそ異分子なんだろう。

多分他の人がサキュバスだろうなという女性に見とれていると、サキュバスより妖艶な悪魔(?)に声を掛けられた。

「あなたもしかして人族?」

「あー、はい」

わずかな布きれで隠されているダイナマイトボディは圧巻である。

そして羽、さらに角。

オーガの短く直線な角ではなく、羊のような丸まった角がなぜかエロさを強調している。

例えるならローザンヌさんを悪魔にした感じだ。

「めっずらしいわね。武闘大会を見るためにこっちまで来たのかしら」

「いえ、たまたまこっちに来たら武闘大会があるっていうんで」

「あら、そうなの?」

「ええ、ダークエルフの村に行こうとしてたんですけど、鬼の国へ着いちゃって」

「ならうちの国の方が近いじゃない。終わったらおいでよ」

「はい、行くつもりなんですけど、なにせ魔大陸に初めて来たもんで」

「じゃあ案内してあげるから。そのかわり面白い話し聞かせてよ」

「こんなとこでも男を口説いてるのか」

そこにもの凄く顔色の悪い男が現れた。

「はあ?そんなんじゃありませんけど」

「ん、人族か」

「そうそう、珍しいでしょ。猫人とエルフもいるのよ」

悪魔とヴァンパイアのカップルかしら。

「女人ばかりこんなに引き連れて・・・」

ヴァンパイアさん、うちの娘たちの血はやらないからな。

「あんたんとこの陰気臭い召使いよりぜんぜんいいじゃない。まあ、あんたが一番陰気臭いんだけどね。きゃははは」

そこにオーガの王様がドタドタとやってきた。

「おい、お前たち。抽選がはじまるぞ」

「あらパイロ、みてみて、人族よ」

「こいつらはうちの客人じゃ」

「なーんだ知ってたんだ」

「おまけに団体戦の選手じゃ」

「え」

「なに」

怒りの波動のようなものが発せられこの場を中心に一瞬で会場が静まり返った。

「あんたいくらなんでもあたしらをなめすぎてるんじゃないの」

「パイロ、どういうつもりだ。吾輩もことと次第によってはだまっていないぞ」

「はあ?お前たち文句があるならこいつに勝ってからいえ」

「この場で消し炭にしてもいいんだけど」

なんか怖いことになってるんですけど。

「いくら余興といっても人族とわれら不死族で戦えというのか。そもそも戦いになどならんのではないか」

「そうよ!悪魔族を馬鹿にするとはいい度胸じゃない」

「この儂が勝てぬ勝負に出ると思うのか。グラニとこいつらで鬼族の2冠を確信しとるわ」

「あーはっはっは。グラニはともかく団体戦でこの人族が優勝するなら悪魔族の王の座をこの人族に譲ってあげるわ」

「おい、なにもそこまで」

「何いってるの。不死族は負ける気?」

「いや、もちろんそんなことはないが」

「じゃあ、あんたも王の座かけなさい」

「いや、吾輩は・・・」

「パイロ!あんたは何も賭けなくていいわよー。そもそも賭けにならないんだから。じゃあねー」

そう言い残して悪魔族と不死族は会場の正面に向かっていった。


「あのー、王様。あの二人は?」

「あ?知らんでしゃべってたのか?悪魔族の王と不死族の王じゃよ」

なんか2人の王様にすごい嫌われちゃったみたいなんだけど・・・。


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