97.錬金術士武闘大会に出発
オーガの行進は結構速い。
王様は輿に乗って移動するのかと思っていたが率先して走っている。
まあ、俺たちはファルコンに乗っているのだが。
王様をはじめそのお付きと参加選手、荷物持ちなど総勢で50名ほどのオーガが走っている姿は壮観だ。
暗くなると野営するのだが、当然テントもデカイ。
飲み水はウンディーネがいるので問題ないが酒は必須らしく、別に持ってきている。
食べ物は途中で他野生動物を狩りながらというワイルドな行進だ。
一般の観客は後から来ることになっているのだが、第一陣と一緒に移動するものも何人かいる。
そこら辺は自分たちの食い扶持さえ確保できるのならお好きにどうぞという感じだ。
俺たちは選手なので食事等は用意してもらえるのだが、食材確保には協力した。
魔大陸の生物について知りたかったという興味本位だが。
野生動物に関しては、人の国と特に違いはない。
兎や猪、鹿は見た目も味も変わらなかった。
ただ植物は人の国より危険なものがあり、巨大な食虫植物や絶えず毒を噴出しているシダ植物みたいなものなど珍しいものが多い。
もちろん毒は格納しておいた。
もう少し知識があれば解毒剤とかも作れるんだろうが、残念ながら今の時点ではそこまではできない。
そんなこんなでのんびりと5日間を過ごし、特に何事もなく武闘大会会場のある街にたどり着く。
そこは他の街と同じく巨大な壁に囲まれているが魔大陸の中心だからか、かなりおどろおどろしい雰囲気の街だった。
まあ、街がというよりは街にいる人々がという方が正しいかもしれない。
オーガは大きいだけで見た目は怖いがどこか明るい。
この街には悪魔族、不死族も多く、悪魔族は見た目からして人離れしているものが多く、不死族は人に近いがかなり陰気だ。
そんななかを俺たちはオーガ専用の宿、つまり全体的に大きく作られた宿、で一息つくのであった。
武闘大会が始まる前日には前夜祭があり、そこに参加者全員が集まり、本戦の籤引きも行われるそうだ。
他国の団体戦参加者も見られるので俺たちはそこで対策を考えなければいけない。
勝ち残るためではなく、死なないための対策だ。
とはいうもののせっかく新しい街に来たので、俺たちは物見遊山で道具屋や武器屋などを巡りそれなりに楽しく過ごしていた。
魔法生物屋ももちろんある。
店番ちゃん元気かな。
扱っている魔法生物は人の国と変わらなかった。
ただ1つ気になったのが口の前に布を張っているシルフだ。
「あのう、このシルフは風邪でもひいてるんですか」
「え?ああ、あんたこれを見るのは初めてか」
「はい」
「こりゃ拡声器だよ」
「拡声器?」
「武闘大会で使われるんで珍しがって買うやつがいるんだ」
詳しい仕組みはわからないがマイクのようなものをシルフに繋げて発声すると声が大きくなるらしい。
武闘大会ではこの拡声器を使って実況されるそうだ。
人の国へ輸出したら儲かりそうだな。
布を張るだけだし。
今度スピードワゴンで試してみよう。




