87.錬金術士鬼の団体戦
そこはいわゆるローマのコロッセオ、行ったことはないが、そのままだった。
巨大な円形上の競技場、その中心に四角い石舞台のようなものがあり、すでにそこには何人ものオーガが練習?というか殴り合いをしている。なかにはミノタウロスやオークもいるがみんな2m越えだ。
バレーボールやバスケットボールの選手で2m越えの人間はテレビで見たことはあるが、誰もひょろっとした感じだった。
だがここにいるオーガやミノタウロスは高いだけでなく、横幅もすごい。
まさに怪物、それが雄たけびをあげながら互いに武器で打ち合わっている。
「ご、ご主人様、これってどうなのにゃ」
「ヤバイな。かなりヤバイ」
「はううう。私は無理ですぅ」
「あたしは、が、がんばるから」
「ん、いける」
ピピさん、あなたのその自信はどこからくるのかしら。
ユンは無理しないいいから。
「で、俺たちにどうしろと」
「おーい、みんなー!新しい候補を連れてきたぞー。だれか相手してやってくれー!」
組合長は俺たちに構うことなく闘技場に集まる猛者たちに声をかける。
雄たけびをあげながらこちらをみたオーガたちは、一瞬あっけにとられたようだがすぐに全員が大笑いしだした。
「がはははは!組合長、子供部門なんてあったか?」
「おいおい、いくら余興っていってもそりゃないだろう」
「あれ人族だよな。初めて見たけどちっちぇーな」
「猫族かわいいな。勝ったら貰っていいかな」
まあ、そうなるわな。
ちょっとムッとしたけど。
「待て、待て、お前たち。見た目で判断してはいかんぞ」
ひと際デカイオーガが前に出てきた。
「グラニさん、それにしたって」
「まあ、まあ。ではお前たちが相手してみてはどうだ」
なんか勝手に話しがすすんでるんですけど。
「よかったなお前たち。グラニさんに取り持ってもらって」
「いえ、別にいらないんですけど。その人は?」
「なんだ、知らないのか。闘技大会に5年連続優勝してるグラニさんだ」
ああ、あの人がチャンピオンか。わかりやすい。
そこに
ドーン!
という巨大なドラを叩いたような音が響き渡る。
すると一斉に闘技場のオーガやミノタウロス達が跪いた。
「おい、お前たちも」
組合長に言われて慌てて俺たちも一応跪く。
するとそこにチャンピオンをさらに一回り大きくしたオーガが巨大な椅子に座ったまま現れた。
椅子は台車に乗せられていて4人のオーガがそれを曳いている。
「お前たち、よく励んでいるな。ご苦労」
「は!」
「ちょっとトラカさん、あれ誰ですか」
「馬鹿野郎、パイロ様だよ。この国の王様だ」
うわ、王様か。嫌な予感しかしない。
「トラカよ」
「は!」
「その者たちは」
「は!遠く人の国より渡ってきた者たちです。闘技大会に参加すれば面白いかと」
「でかした!トラカよ!人族の参加など他国では思いもよらぬであろう!」
「ははあ!」
いやいや、出るとはいってませんけど。
「してそやつらの実力はいかほどだ」
「は!それを確かめるべく、本日連れて参りました」
「うむ。グラニよ」
「は!」
「お前が相手してやれ」
「は!ですが団体戦参加になりますがよろしいでしょうか」
「うむ。儂がお前との戦いがみたい」
「は!畏まりました!」
いやいや、畏まらないから。
「あのう・・・」
「おお、人族の客人よ。お主らの実力みせてもらうぞ!」
だめだ、王様も脳筋だ。こちらの話しを聞きそうもない。
「ご主人様、どうするにゃ」
「どうもこうもないだろう」
「うちお腹痛いにゃ、帰っていいかにゃ」
「ほら、ポーション」
「いらないにゃー!」
こうして俺たちはチャンピオンと戦うことになった。




