86.錬金術士鬼の冒険者組合
しばらくすると2階に案内された。
この冒険者組合もそうだが、建物のつくりは人の国とあまり変わらない。
ただここがオーガの国だからか、全体的に作りが大きい。
「俺がここの長トラカだ。おお、人族か初めて見たぞ」
オーガの組合長は身長は2m超えで2本の角が猛々しい。
「もしかしてそっちの嬢ちゃんはエルフか」
「はい」
「ダークエルフとはだいぶ違うなあ。猫人もこっちではめずらしい。ドワーフはそんなにかわらんなあ」
一通り俺たちに対する感想を述べる組合長。
ただそこに差別的な感じは受けない。
冒険者組合の組合長だけあって好奇心が強いのだろう。
「おもしろいな、うん。おもしろい。どんな戦いをするか楽しみだな」
いえ、戦いませんけど
「えっと、それで仕事があれば受けようと思ってきたんですけど」
「あ?仕事?なんだ5人で来たから団体戦の予選に出るのかと思ったぞ」
「団体戦?武闘大会のですか。鬼族じゃなくても代表になれるんですか」
「国の代表だからな。種族は関係ねえよ。まあ悪魔族や不死族は流石に来ないがな」
「そういうものですか」
「そういうもんだ。で、お前たちめずらしいから団体戦に出ろよ。弱そうだけど」
「それって屈強な鬼族を打ち破って団体戦の代表になるってことですよね。予選で死んじゃったら意味ないじゃないですか」
「ああ、人族だと死ぬかもしれねえなあ」
死ぬんだ。やっぱり死ぬんだ。
「でも王様から面白そうな奴が来たら予選に出せって言われてるんだよ。だから出てくれねえか?」
「お断りします」
「そうだ!受付にいた子、紹介するぜ」
ってあのオークだよね。ごめん、無理。
「面白くっても弱ければ意味ないですよね」
「いや弱くても面白きゃいいだろ」
どうあっても予選に行かせる気だな。
ちょっと行って死なない程度に負けて逃げてくればいいかな。
「ちなみにルールとかどうなってるんですか。武器とか使っていいんですか」
「お!やる気になったか。ルールは特にないな。降参するか死んだら終わりだ。もちろん武器は使っていいぞ」
「それって毎年かなり死んでるんじゃないですか」
「いや、参加者が死ぬのはあんまりないなあ。どちらかというと興奮した観客の方が死者がでるな」
「なんで参加者は死なないんですか」
「まあ不死族はそもそも死なないし、悪魔族も腕の1本や2本なくなっても死なんしな。鬼族が一番死に易いな」
「それって勝負つきませんよね?」
「そうだなあ。まあ死ぬ前に降参するからだな。勝てる見込みがないのに粘っても観客が許さないし、審判が止めるな」
「ちなみに不死族とはどうやって戦うんですか」
「幽霊なんかはやっかいだな。普通の攻撃は当たらないからな」
「ですよね?魔法かなんかで倒すんですか」
「残念ながら鬼族は魔法がつかえん。ミスリルの武器が多少効くんで手数で勝負だな」
「それで倒せるんですか」
「ミスリルで攻撃し続けるとあいつら弱るんだよ。攻撃を喰らいさえしなければまあ楽勝だ」
「攻撃は当たらないのに向こうの攻撃は当たるんですか」
「あいつらは精神攻撃だな。喰らい続けるとこっちの精神がやられて動けなくなる」
「エーテル飲めばいいじゃないですか」
「試合中のエーテルは禁止だ」
なんだ、それなりにルールがあるんじゃないか。
「上位の不死族はちゃんとした肉体もあるし技も長い年月鍛えてるから、まともに戦ったらこっちの方が強いがな」
「悪魔族はどうなんですか」
「なんだ、興味がでてきたのか。悪魔族は魔法というか変な技を使うやつが多くてな。」
「変身とか」
「ああ、インプなんざ雑魚中の雑魚だが、腕が伸びたり幻術使ったり鬼族にとってはやりずれえな」
「ちなみに鬼族は?」
「とにかく力任せだ!」
ですよね。
「こういっちゃ何ですけど、それでよく5年連続で優勝できましたね」
「1対1なら力で押し切れるもんさ。体力も一番あるしな。だからこそ団体戦ができたんじゃねえか」
なるほど。
不死族がスピード、悪魔族が技、鬼族が力
そんな感じか。
「じゃあ、行くか」
「え?」
「大丈夫、団体戦なんて余興みたいなもんだからな。だから面白い方がいんだよ。本番はあくまでも個人戦だ」
「いえ、まだ出るとは言ってませんけど」
「それも含めて、ちょっと実力を見せてくれよ」
なかば強引に冒険者組合を連れ出された。




