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83.錬金術士大海原へ


大海原を失踪するマイクルーザー。

帆船だけど。

スピードワゴンは帽子をかぶっている。

もちろん鍔には鉄の刃が仕込まれている。

スピードワゴン、帽子似合いすぎだろ。


船の名前もつけた。

帆掛け船だ。

入り船本手と迷ったのだが、意味が分からないのでそのまんま帆掛け船にした。

「なんかつまらない名前だにゃ」

ミケさん、あとで教えてあげよう。帆掛け船と入り船本手を。


それにしてもすごいスピードで進んでいる。

船が小さいというのもあるだろうがこれだけ早いと予定よりだいぶ早く着くんじゃないだろうか。

船が早すぎるためか、ピピとユンは船酔いに苦しめられているが、まあよしとしよう。


海獣に襲われることもなく、順調に3日ほど過ぎた。

「島にゃ!」

「ミケ、あの島に立ち寄っても、東の方角を見失うことはないか?」

「大丈夫にゃ」

「よし、上陸してみよう」

「ん、りく、早く、りく」

3日たってもピピはまだ船酔いから回復しない。

「スピードワゴン、あの島に向かってくれ」


島といってもそこは大きめの岩礁というか小さめの岩山といった感じで直径にして300m位だろうか。

岩礁なので砂浜みたいなものがあるわけではなく、船をつけるところがなかなか見つからなかったが、低めの岩場から強引に上陸した。

岩山といっても山に多少木々が生えており、鳥もいるようだ。

こういう人の手が入っていないところには希少な鉱石がありそうだ。

比較的平らな場所を見つけ俺たちはそこで一息ついた。

「ちょっとそこらへんを確認して、魔物とかがいなければ、今日はここで寝よう」

「ん、ずっとここでいい」

ピピさん、それだと魔大陸につかないでしょ。

「うちも探検するにゃ!」

「じゃあ、ザクロとユンは寝床を作っといてくれ」

「はいです」


岩山は苔むしていて相当の年数が経っているような感じだ。

おまけに結構急こう配なので、上るのは危険そうだ。

「洞窟とかないかな」

「にゃ!そこでウチとなんかするのかにゃ!」

「ちげーよ」

しばらく歩いていると崩れかけている岩がある。

「そこから中に入れるんじゃないか」

なかに入って周囲を『鑑定』

「おお!」

「どうしたにゃ?」

「ここにはアダマンタイトがあるぞ!」

「それって伝説の鉱石にゃ?今の市場には出回ってないから大儲けできるにゃ!」

「よし、採れるだけ採っちゃおう」

一気に手引書に格納する。

すると

ゴゴゴゴ

洞窟が大きく揺れ出した。

ヤバい、崩れるかな。

「ミケ!一旦出るぞ」

って、あいつ俺を置いてもう引き返してる。

だが洞窟を出ても揺れは続いていた。

これは地震か。噴火とかしないよな。

「ピピたちのところに戻ろう」

「はいにゃ」

こういう時に獣人は方向感覚に長けているので迷うことなくすぐに戻れるので便利だ。


「みんな大丈夫か」

「ん、折角陸に着いたのにまた揺れてる」

「はいです。でもこれは島全体が浮き上がってるようです」

船は岩場に繋いだままだ。いざという時のためにファルコンを出しておこう。

『バウ!揺れてる!オレ揺れてる!』

「ファルコン、危なくなったら船まで一気に飛んでくれ!」

『バウ!ちょっと揺れないように頼んでみる!』

頼むの?誰に?

『ブオオオオ』

誰?ファルコンじゃないよね。

『久々の客人じゃな。しゃべり方も忘れるとこじゃったわい』

「ん、ついに幻聴まで」

「にゃ!」

「はわ!」

「こんにちは」

「ファルコン、誰?」

『バウ、誰?アダマンティタートル!』

「ユン、アダマンティータートルってなんだ」

「アダマンティータートルは魔法生物だよ。ここはアダマンティータートルだったんだね」


『随分と摂ってくれたな』

アダマンタイトのことだよね。

「えっと、すいません」

『しばらく誰も採りに来なかったからだいぶ貯まってたじゃろう。これですっきりしたわい』

「ユン、アダマンティータートルってなんだ」

「あたしも本物にあったのははじめてだけど、体内にアダマンタイトを生成する魔法生物だよ」

『バウ!オレも会ったのはじめて!でも仲間!』

「あのう、アダマンタイトいただいちゃってもよろしいんでしょうか」

『うむ、もちろん構わんぞ、100年位したらまた採りに来てくれ』

それは無理かなあ。

「ではいただきます。せっかくなんで魔核食べます?」

『おお!そうじゃ、そうじゃ、いつもアダマンタイトを渡したときには貰ってたわい』

「あのー、口はどこでしょう」

『なんじゃ、最近のもんはそんなことも知らんのか。口は顔についとるわい』

いや、それは知ってますけど

『ファルコン、顔まで行けるか?』

『バウ!オレ行ける』


俺たちが上陸したのはアダマンティータートルのお尻側だったようだ。

ファルコンに乗って反対側にひとっ飛びしするとそこに巨大な亀の顔があった。

さすがに魔核の欠片というわけにはいかないと思ったので、普通の魔核を3つほど口に放り込んだ。

『うむ、久々の美味じゃ。1000年ぶりかのう』

「おいしいんですか」

『うむ、味というより五臓六腑に染み渡るというか、元気がでるというか、そんな感じじゃ』

「ずっと海にいるんですか」

『儂はお前たちのいうところの海の魔法生物じゃからな。それに陸は狭いし体が重いんで海の方が楽じゃな』

「そうですよね。これからどこかに行くんですか」

「どこかに行くつもりはないがな、昔からの習わしでなんとなく人の国と魔の国を往復しておる」

「もしかして魔大陸に向かってます?」

『ああ、今は魔大陸に向かっておる』

「このまま乗っててもいいですか」

『それは構わんぞ』

「ではお言葉に甘えて」

よかったね、ピピさん。


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