30.錬金術士呼び出される
報酬を受け取るのは明日にした。宿に着くと見知らぬ冒険者が話しかけてきた。
「あのー、へんたいしんしさんですよね?スケルトンファイターを倒した」
「え?あ、いや錬金術師です」
「あの、握手して貰ってもいいですか」
「あー、はい」
「ありがとうございます」
何故か酒場が盛り上がってる。
「ほら、俺の言った通りだろ」
「おー、ここに泊まってるっていう噂は本当だったんだ」
「バーチさん、これは一体?」
「ああ、おかえり。この街に凄腕の冒険者が来ていきなりスケルトンファイターを倒したって冒険者組合じゃ大騒ぎみたいだぞ」
え!噂になってるのか。
目立ちたくないなぁ。
わざわざスケルトン装備を見せびらかしたのが裏目にでた。
でもあれはチェダーさんが他の冒険者の妬み防止に実力を示せって言うからやったのに。
「それよりお客さんが待ってるぜ」
俺に客?
見るとあのウサ耳メイドさんだ。
「こんばんは」
「ああ、どうも」
これは仕事終わりに俺を誘いに着たのかな。
「ローザンヌ様からお食事のお誘いでございます」
そうですよね。当然耳に入ってますよね。スケルトン装備のこと。
それを聞いて周りの冒険者達がまた騒ぎ出した。
「おお、ローザンヌ様に気に入られてるって噂も本当だったんだ」
「すげーなー、俺も握手して貰おうかな」
「ニャ!ローザンヌ様!」
「ミケ、知ってるのか」
「この街でローザンヌ様のこと知らない奴なんていないにゃ。ローザンヌ様と食事なんて怖くて行けないにゃ」
「そうだな。ミケはそれ用の服もないしな」
「ご安心ください。新しいお仲間のお洋服も準備して参りました」
流石ローザンヌ様。抜かりない。
「ミケ、行きたくないなら着いてこなくていいけど、ローザンヌさんにはそのまま伝えるから」
「そのままって何にゃ!アタシが誘いを断ったみたいになるにゃ!い、行きますにゃ、喜んで行きますにゃ!」
ローザンヌさんは当然スケルトンファイターの装備をご所望だろう。
チェダーさんに渡さなくてよかった。
すぐに着替えてウサ耳メイドさんと一緒に商館に向かう。
「ご主人様、にゃんでアタシはこの服なんにゃ?」
ミケに用意されたのはウサ耳メイドさんと同じメイド服だつた。
「ミケ、よく似合ってるよ」
「ん」
「いや、似合うとか似合わないとかじゃにゃくて」
「そのままローザンヌさんのとこに置いていくのもありだな」
「ご主人様!、にゃんてこというにゃ!」
「一つご忠告がございます」
ウサ耳メイドさんが商館に着く前に急に真面目な口調で話し始めた。
「ローザンヌ様は新しい給仕の俊敏性を非常に気にされます。お屋敷の中では気を抜かないようにしてください」
「ウチは新しい給仕にゃのか?」
ナイフでも投げられるんだろうか?
先日と同じ食堂に通される。
武器は事前にカリバーに預けてある。
「お呼びだてしてしまって申し訳ございません」
ローザンヌさんは今日も妖艶だ。
この前と同じようにローザンヌさんの隣に座ろうと近づくと、ローザンヌさんがノールックでミケに短刀を投げつけた。
「ニャッ!」
避けるミケ。
続けざまに短刀を投げるローザンヌさん。
「ニャッ!ニャッ!ニャー!」
「ちょっ、ローザンヌさん!」
本当にナイフ投げたよ、この人。
「あら、ごめんなさい。優秀そうな獣人を見ると、試したくなっちゃうの。なかなかよいお仲間を見つけましたね」
「死ぬにゃ、いや、殺されるにゃ」
「ローザンヌさん、冗談はほどほどに。何でしたら差し上げましょうか」
「ちょ、ご主人様!」
じーっとミケを見つめるローザンヌさん。
「そうね、でもうちはバカは雇えないわ」
「ニャー!」
さすがローザンヌさん、見る目は確かだ。




