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23.錬金術士猫娘に会う


ドワーフの村の支店を探すにしてもこの広い街で闇雲に探すのは非効率だ。ピピに聞いても知らないらしい。

モスキンの懸賞金を貰うついでに冒険者組合で聞くことにした。


既に夕方になっているからか、朝来た時より組合内はだいぶ人が少なくなっていた。

そのせいか受付で揉めてる猫娘がだいぶ目立っていた。

「みゃー!そんな安いはずないニャー!これこそスケルトンのナイフニャー!」

「いい加減にしてください。これはただの古いナイフです」

「頼むにゃー。このままだと奴隷に売られちゃうにゃー」

奴隷いるんだ。

「ミケさん、自業自得ですよね。お金もないのに随分あちこちで飲み食いしてたらしいじゃないですか」

「う、それは」

飲み食いしすぎで奴隷になるアホがいるのか。おまけに猫人でミケって。

「でも奴隷はイヤなのにゃー、何とか頼むのにゃー」

やっぱり猫人はニャーニャーいうんだな。

「ダメなものはダメです」

「もういいにゃ!一生恨んでやるにゃー!」

猫娘は捨て台詞を吐いて受付から出口に飛び出した。

そのあまりに早い動きに近くにいた俺は避けられず、ぶつかってしまった。

「うっ」

「邪魔にゃー!」

軽く俺を吹き飛ばして猫娘は飛び出して行った。

シロの壺は何とか守ったが、クロは弾き飛ばされた拍子にピピの顔に張り付いた。

「何なんだよ、一体」

「ん」

ピピに抱き起こされる。

やっぱり少し鍛えないとだめかな。

女の子に突き飛ばされない程度には。

と立ち上がった所にまた猫娘が突っ込んできて俺にぶつかった。

ドン!

「うげっ」

「これは持って帰るにゃ」

売ろうとした短剣を掴むとまた疾風の如くに出て行った。

「あいつ絶対許さない」

他の冒険者と受付嬢の冷ややかな視線のなかで俺は静かに呟いた。


懸賞金を受け取りドワーフの村の支店の場所も教えてもらった。

この世界には確かに奴隷制度はあるそうだ。ほとんどが借金のかたらしいが、余程のことがない限り奴隷にまで堕ちることはない。

その代わり奴隷になってしまうとそれは非道い扱いになるらしく、ほぼ一生日の目をみることはなくなるそうだ。

さっきの猫娘はそれ程の借金をしていたのかというと実は違って、余りにも手軽に借金しているのを見かねて、返すつもりがないなら奴隷にするぞと脅されたのを真に受けてしまったそうだ。

つまりあいつはアホということだ。



ドワーフの村の支店は商業区のだいぶ南側の少し路地に入ったところにあった。

つまり庶民的なお店ということだ。

「こんにちはー」

武器や防具もあるが鍋やヤカンもおいてある。武具屋というよりは雑貨屋だが、店の奥には鍛冶場もあるようだ。

声をかけると奥からドワーフが出てきた。

「え?親方?」

「おう、お前らドワーフの村から来たのか。俺は弟だよ」

ドワーフの男なんてみんな小さくて髭面でどれも同じようにみせるが

でてきたドワーフは親方そっくりだった。


「ああ、そうなんですか。親方にこの街に行くなら寄ってやれって言われたんで」

「そうかそうか、小さい店だがゆっくりして行ってくれ」

「そうだ、小さいのでいいので石炭少しいただけませんか」

「石炭?別にいいが食うのか、がはははは」

「はい、こいつが」

「お、サラマンダーか?黒いな」

「ええ、燃えてるもの食べれば元気になるかなと思って」

奥の作業場で小さい石炭をクロに上げてみる。

煙を吐きながらモグモグ食べてる。

かわいい。

喜んでいる、

と思う。

ん、もっと欲しいのか。

じゃあもう1個だけだぞ。

ちょっと大きめの石炭を食べさせた。

なんかだいぶ腹膨れてるな。

食べ過ぎなんじゃないのか。


「ありがとうございました」

「おう、食べたか」

「はい、満足したみたいです」

そういうとクロは肩の上でゲップをした。

おいおいやっぱり食べ過ぎか。

「ん!肩、肩!」

ピピが何か慌てている。

「おぅ!燃えとるぞ!」

え?

クロがゲップで火を嘔いたか。


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