110.錬金術士トレントへのお土産
街づくりは順調だ。
スライム達はなかなか優秀だった。
毎日野生動物を狩ってくるのだ。
それらは我々の食糧以外にも少しづつ増えてきたゴブリンたちも養えるほどで、
塩漬けにしたり燻製にしたりして貯蓄にも回している。
そして繁殖、というかときどき分離して数を増やしている。
やってくるゴブリンたちは基本的に自由にさせている。
自分たちで住むところも作っているので街感がだいぶ増した。
あとは産業が欲しいところだ。
トレントを利用して林業すれば儲かりそうなんだが、きっとその前に殺されそうだ。
そういえば魔大陸の家はほとんど石造りだよな。
後々はゴブリンどもから税金を徴収する予定だ。
今のうちに戸籍でも作っておこうか。
ちなみにスライムとゴブリンの共生は今のところうまくいっている。
新入りのゴブリンがスライムを馬鹿にしたところ
怒ったリムリンがそのゴブリンをボコボコにしたという事件が起こったのだが
その際、俺からスライムたちはゴブリンの先達であり敬うべき存在であることと
今後スライムを差別するような輩が現れた場合、国外追放。場合によっては死罪にするという通達を出したのだ。
もちろん逆も然りなのだが、スライムたちが理解してくれたかどうかは定かではない。
ただほとんどのスライムはいうことを聞いてくれるので、きっと理解してくれているだろう。
ときどき暴力的なスライムもいるが、そういったスライムは大抵街から出て行って野生化しているようだ。
自ら出て行っているのか他のスライムたちに追い出されているのかまではわからない。
そんな事件があったので憲兵隊を作った。
まじめそうなゴブリンとリムリンに頼んで集めてもらったスライム10体づつ20体の小規模なものだが街の平和に貢献してくれている。
まあ、そもそも争いなどほとんど起こっていないのだが。
そんなこんなで街が安定してきたので、俺たちはトレントの国に行く準備をしていた。
魔族の王たちがあれほど恐れていたトレント族だが、挨拶はしとけということなので放っておくわけにいくまい。
俺たちは手土産になにを持っていくのがいいのか話し合っていた。
「樹なんだから水でも持っていけばいいにゃ」
「うーん、確かに一理あるんだがトレントが喜ぶ水ってどんな水だ」
「ん、水は水」
「ユンなら樹木が喜びそうなものわかるか」
「えっと、水はどこでも手に入りそうなんで日の光とか」
「そっちもどこでも手に入るよね。そもそも持っていけないよね」
「すいません、樹が喜びそうなものだとそれくらいかなあって、あと肥料とか」
「うんちにゃ!」
「よし、糞尿製造機ということでお前を手土産に置いていこう」
「ひどいにゃ!うちは糞尿製造機なんかじゃないにゃー!」
まあでも肥料はいいかもしれないな。ポーションやエーテルよりも有効なミネラルの方が喜ばれる気がする。
リンとか窒素がいいと聞いたことはあるんだが、それでいいかな。
魔溜りのモンスター退治とか需要はないだろうな。
トレント強いらしいからな。
ここは素直に悪魔の女王様に聞いてみるか。




