プロローグ
遥か昔、地球ではないどこかの惑星。それはその星に栄えていた超古代文明の話………
その惑星ではかなり高度な文明が栄えていた。量子コンピュータすら超える霊子コンピュータが一般的に普及し常温核融合や星に存在するあらゆるエネルギー資源を余さず運用可能とした。
どころか、意思のエネルギーという高次エネルギーすら制御し取り扱う事を可能とした。観測技術が高度に発達した結果、魂という物質界に依存しない存在の観測にすら成功していた。
栄華を極め、別の銀河にまで進出しようとしていたその文明は。
しかし………
その文明は惑星ごと。いや、その銀河系ごと滅び去った。たった一人の人物の手で。
魔物と化した一人の人間の手によって………
………炎に包まれる超文明。そんな中、別の銀河に逃げまどう宇宙船団を前にして一人の男がそれ等を見詰めながら虚ろな瞳で呟いた。
「…………許さない。認めない。彼女を絶望させるような世界など、絶対に」
それは、余りにも空虚で一切の感情を感じさせない。ただ音として発せられただけの言葉。
しかし、それだけにその者の絶望を感じさせるには充分に過ぎるだろう。
次の瞬間、モノクロの光が銀河を呑み込み瞬く間に消滅した。
残骸すら残らなかった。質量保存の法則すら超越し、全てを否定する無価値の破壊光。
あらゆる相性差や質量差すら物ともせず、一切合切を消滅し尽くす。そんな力の具現。
その終末の光から、命からがら逃げきった一隻の宇宙船。
その船がある銀河系、そのとある惑星に漂着し………
後に地球と呼ばれる事となるその惑星で、密やかに繁栄を繰り返すのだった。




