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新時代の英雄は終焉世界を駆け抜ける~無限と永遠の英雄譚~  作者: ネツアッハ=ソフ
無価値の怪物編
74/100

プロローグ

 世界が炎に(つつ)まれている。世界が崩壊してゆく………文明が、崩壊していく。


 そんな中、俺は両親に連れられ()げていた。火の海の中、逃げ回っていた。


(………(もど)って、きたのか?)


 どうやら、時間遡行は成功(せいこう)したらしい。少し、座標(ざひょう)がズレてしまったけれど。まあ良い、まだこの程度なら取り(かえ)しは付くだろう。そう思い………


 俺は、両親の手を振り(はら)った。驚いた顔で、両親が俺の方へ振り向く。立ち止まっている暇なんて欠片程もありはしない。ありはしないのだけど………


 それでも、俺は両親と()き合う。


「クロノ、どうしたの?」


「クロノ?」


 怪訝(けげん)な顔で問い掛ける両親に、俺は真っ直ぐ向き合った。


 きっと、失敗したらもう二度とチャンスは()いだろう。だからこそ、俺は今度こそ失敗なんてする訳にはいかないんだ。今度こそ、絶対(ぜったい)に………


 俺の背には、全ての命が()っているのだから。


「ごめん、俺はやらなければならない事があるんだ。行ってくる!」


「っ、クロノ⁉」


「クロノ、お前‼?」


 両親が何か言う前に、俺は走り出した。大丈夫、あいつの場所は()かっている。真っ直ぐと炎に包まれた街の中を駆け抜けてゆく。今度こそ彼女を(すく)い出す為に。


 人々が逃げ回る中、それでも俺はその人々とは(ぎゃく)の方へと走り抜ける。其処に、彼女が居ると理解しているからこそ其処に向けて走り抜ける。只管(ひたすら)走り続ける。


 今度こそ、全てに決着を付ける為に………(ほろ)びゆく世界を駆け抜ける。

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