番外1、星のアバター
星のアバター。人間を元に生み出された怪物であり、全ての怪物の女王である。
全ての怪物の原点は彼女にあり、そして世界崩壊を実行したのも彼女である。
その保有する異能は星の環境操作———即ち惑星規模の天地再創造である。
簡単にざっくりと説明をすれば、彼女が持つ異能とは惑星規模で世界を作り替える。より厳密に言えば惑星を自身の思いのままに書き換えるクリエイターの能力である。
もし、彼女がその気になれば恐らく地球という惑星は丸ごと一つの異世界と化すだろう。人間が住む事の出来ない灼熱の惑星にも極寒の惑星にもなりうる。或いは、物理法則そのものすらも。
彼女の異能はそれほどまでに強力無比な力なのだ。或いは、数ある異能の中でも最強クラスとすら呼べるのかもしれない。それ程までに彼女の異能は規模も出力も能力そのものも桁違いだ。
そもそも、彼女の前では全ての戦略兵器が意味を成さない。無意味で無価値となる。
それは、世界崩壊の時に生き残った全ての人々が理解している。否応でも理解させられた。
彼女を前にして、全ての核保有国が戦術核兵器の使用を余儀なくされた。のだが、彼女はそれすら全て無効化してしまったのだから。
核反応を抑制したのではない。降り注ぐ核兵器の全てを一瞬で無力化し、消滅させたのだ。
日本というごく小さい島国に核が雨あられと発射されたものの、結果として全てが不発。そしてその全てがロストしたという。その結果に諸国が絶望へと叩き落されたと。
故に、彼女こそこの崩壊した世界において最強の座に相応しいだろう。
しかし、彼女は結果としてその座に座る事をせず贖罪の日々を送る事を選んだ。
人類の敵ではなく、人類の味方として贖罪し続ける道を選んだ。永いいばらの道を選んだ。
そして、結果として彼女は苦痛と苦悩に塗れた人生を歩んでいる。
何故、彼女はそのような選択を選んだのか?何故、彼女は一転して世界を滅ぼす側から世界を守る側へと急に変心したのか?その理由とは?
そして、彼女は永い贖罪の日々の中何を見てきたのか?
彼女は何を思い、何を知り、そして何処へ至ろうというのか?
その謎を少しずつ明かしていこう………




