閑話、日記内のとある記述
２XXX年●月◆日（月） この記事は諸事情により破棄されています。
架空塩基は意思の波を物質界へ干渉させる力を持つ。より厳密に言えば、全ての物質が持つ波の性質に干渉する力を持つのが架空塩基という事だ。
全ての物質は素粒子で構成されている。そして、全ての素粒子は波の性質を持つ。つまりこの世は全てに波の性質があると言って過言ではないだろう。架空塩基は意思の波を物質的な波へと変換する事で物質界へと直接干渉するという訳だ。
そして、その意思の波は物質界のあらゆるエネルギー資源に取って代わる次世代エネルギー資源へと変わりうるだろう。これを制御出来れば、より高次のエネルギー資源を人類は得る事となる。
架空塩基の開発に成功すれば、意思の力だけで全てのエネルギーを制御出来る可能性がある。
意思だけで核兵器すら抑制し完全無効化が可能だろう。
或いは、全ての兵器が意味を失くすような時代が来るかもしれない。
意思だけで全てのエネルギーを完全制御出来るという事は、つまり意思だけでほぼ全ての兵器が無効化されるような時代が到来するかもしれないからだ。
しかし、だ。架空塩基には問題点も確かに存在する。
意思の波には負の波長と正の波長が存在する。そして、負の波長へと偏り過ぎた場合、架空塩基により人は異形の姿へと変質する可能性があるからだ。架空塩基による魔物化だ。
それに、倫理的問題もある。架空塩基はあくまで人工物だ。
つまり、遺伝子改造に繋がるだろう。倫理的観点から反対する意見も確かにある。
しかし、我らにはこの架空塩基の開発を急ぐ理由がある。
一つは宇宙や世界の終焉を食い止める事。宇宙の収縮膨張を完全制御する事で、宇宙全体の終焉を食い止め次世代へと繋ぐことが可能だろう。宇宙を完全制御する事で、宇宙全体のエネルギーを制御して熱的死や寒冷化を防ぐ事が可能だ。
………いや、この際取り繕うのは止めよう。
この宇宙には世界を滅ぼそうとする何かしらの意思が働いている。その意思を打倒する為にはどうしても架空塩基の存在が必要不可欠なのだろう。
もう一つは人類が次の段階へとシフトする事。つまり次の世代へと進化するという事だ。
人類が次の世代へと進化する事。それは人類が人類として永い争いの時代を越えて先へ進む事に他ならないのである。どの道、人は先へと進む必要があるという事だ。
……… ……… ………
本当に、これが正しいのかこれ以外に本当に道は無いのかは分からない。分からないが、少なくとも俺はこれに希望を託している。この架空塩基に俺は希望を見出している。
願わくば、今後の世界がより明るくあれるよう願っている。
