プロローグ2
とある洞穴の中———巨大な地下大空洞にて、ソレは鎌首を持ち上げた。
ソレは言ってみれば巨大な白蛇だった。ただし、その頭部には二本の黒い角が。黒い双角を持つ巨大な白蛇がとぐろを巻いていた。彼こそ怪物達の王、日本に巣食う大怪蛇。オロチである。
その純白の総身は巨大の一言。その胴の太さは年齢を重ねた巨木のよう。そして、その身体の長さたるや巨大に過ぎる大空洞をほとんど単体で占めている。小都市一つならすっぽり入りそうな程に巨大な地下大空洞が、たった一匹により占有されているのだ。
それだけで、その巨大さが解るだろう。
そして、其処に居るのはそれだけではない。地下大空洞に居るのは、一匹だけではない。
その目前には多数の巨大蛇がひしめいている。あまりに悍ましい光景。その光景を見れば、無垢な子供であろうと恐怖で失神するに違いない。それ程に狂的な光景だった。
そして、その巨大蛇の一匹一匹がオロチの配下である。その数、総数一万五千匹にも上る。
そして、その一匹一匹が重爆撃機の爆撃にも耐える耐久力を。そして核シェルターをも破るだけの膂力を誇る強大な怪物である。そんな怪物達が一堂に会しているのだ。
その悪夢のような光景の中、オロチはその目を細める。そして、一言。
「時は来た。今この時より進軍し、蹂躙せよ!」
シューッ‼と、全ての蛇達が声を上げる。蛇が上げる、鬨の声だ。
その威勢の良い声に機嫌を良くしたオロチ。そして、配下の蛇達に再度告げるのだ。
「行けっ‼」
悪夢が始まる。その序曲だった。




