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【9】


 チェイミーは、ふと、あの生き物は、オルゴールの裏側からのぞいているんじゃないかと思って、オルゴールを裏返して見ました。

 すると、裏は巻きネジの穴が隅にあるだけで、窓らしいものも、生き物の姿も、どこにも見当たりませんでした。

 その時、「あ!」っという声がして、逆さにしたオルゴールの中から、小さな部品がいくつか外れて床に転がり落ちました。

 それは大きさや形のそれぞれ違う金属製の綺麗な歯車でした。

 慌てて、チェイミーがオルゴールを上向きにしてのぞき込むと、さっきまで機械の奥の方に見えた青空や、小さな生き物が顔をのぞかせていた小窓は、消えてなくなっていて、そこにはただの古びた木目のある裏板が張られているだけになっていました。

 そして、いつの間にか小窓が消えたのと同じように、チェイミーの頭の中からも、鍵をくれたハツカネズミや、小窓の向うの青空や、そこに見たねずみらしい小さな生き物の記憶も、すっかり消えてなくなっていました。

 オルゴールを壊したことだけを覚えていたチェイミーは、しばらく歯車をもとに戻そうと頑張っていましたが、どうやら自分で直すのは無理そうだと分かると、立ち上がって、伯母さんに見てもらうために、オルゴールを持って、二階へ続く梯子段はしごだんをそろそろと下りて行きました。


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