【4】
チェイミーは早速、鍵を使ってオルゴールを開けてみる事にしました。
正面の鍵穴に鍵を差し込んで、右回りにちょうど一周回します。すると、中でカタッと、掛け金の外れる音がしました。
猫の陶人形の付いた上蓋を、わくわくしながらゆっくり開いてみたチェイミーは、オルゴールの中の、ゼンマイや歯車の奥の底板に、小さな窓があって、今それが観音開きに開いて、明るい青空が見え始めた事に気が付いて、にわかには信じられずに、顔を近付けてまじまじとその様子を検めました。
確かに、それは、底板に描かれた青空の絵などではなく、白い綿雲がゆっくりと流れる、本物の青空に違いありませんでした。
その、青空を囲んだ窓枠の縁から、麦粒くらいの小さな生き物が、ひょいと顔を出して、こちらを見おろしました(こちらから見ると、見上げられている形です。)。その生き物は、蚊の鳴くような小さな声で(本人は声を張り上げているようでしたが)、「来るのかい?」とチェイミーに聞きました。
チェイミーは、こんなに不思議な体験は滅多にできないと分かっていたので、迷わず、「行くわ!」と答えました。
その麦粒くらいの生き物(どうやら、またしてもねずみのようです)は、
「指を出しな!」とこちらに短い前脚をさし出しながら言いました。
・オルゴールに指を入れてみる 【11】へ
・オルゴールの裏側を確かめてみる 【9】へ