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【24】


 チェイミーは日記帳をパラパラとめくって、まん中あたりの書きかけのページまで行きました。

 すると、おかしな事に、そこに書いてある文字は、最初のページの大きさが揃った几帳面な筆記体ではなく、不揃いな活字体で書かれたいかにも子供らしい文字になっていました。

 そして、最後の文章は、『オルゴールの歯車と鍵はそれぞれ別の者に預ける事にする。王子としては、この国を守らなければいけないし、それが一番良い……』という風に、尻切れトンボになっていました。

 しかし、文面から察するに、この部分を書いたのは、どうやら王子本人のようです。

「これって、途中からジョン・グリーンウェイが書いたんじゃないかしら。」

 チェイミーがたずねると。ロジャーは和紙製の日本人形を手に取って匂いをかぎながら、「知らないよ。でも、ムッシ王は、その本を書き進める事ができないんだって。外から来た人間じゃなきゃだめなんだ。」と答えました。

「それはムッシ王本人……、じゃなかった、本猫から聞いたの?」

「ベルナルドさ。」

「ベルナルドって……。」

「僕の同僚の、夜勤の案内役のフェネック。」

「ふぅん。」

 チェイミーはそこで、オルゴールの国への入り口となったオルゴールに、『三十三番の歯車はベルナルドに、鍵はウォルコットさんに預けてあります。』という紙片が結び付けてあったのを思い出しました。

「ベルナルドが三十三番の歯車を持ってるのを見たことがある?」

「三十三番の歯車の塔なら、君がさっき降りて来た、ネコノメランラン城の中で一番高い塔だよ。でも、〝三十三番の歯車〟って事になると、何の事だか分からないな。」

 おそらく、その歯車がなければ、オルゴールを鳴らす事はできないのでしょう。けれど、どうして、ロジャーはオルゴールの国の住民なのに、その事を知らないのでしょう。

 チェイミーはますます、部品をすべて集めて、オルゴールを鳴らしてみたくなりました。

「ベルナルドに会って話を聞いてみたいのだけれど、今日会えるかしら?」

「夜勤前だから、家に行けばいると思うよ。まだ寝てるだろうけど。」

「案内してくれる?」

「いいよ。君の行きたいところへ案内するのが僕の仕事だからね。」


・庭園へ出る 【22】へ



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