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002.高レベルの冒険者が現れた

 今回の相手は、ナイト、戦士、狩人、シーフ、黒魔法使い、白魔法使い。

 ちょっとバランスが悪くアタッカーよりのパーティー構成になっている。


 でも、最下層の手前まで来ているパーティーだから、弱いわけがないんです。


 終始無言でミノタウロスとの戦闘が進んでいく。

 それでも、完璧な連携が取れているパーティー。

 これも、シーフの姉ちゃんの動きが上手すぎるんですよ。

 惚れ惚れするくらいの仕事っぷりです。


 ミノタウロスが大技を出すタイミングで投擲武器で邪魔をし、体力・魔力回復薬を惜しげも無く使用してパーティーメンバーのフォローをする。

 時には、不意打ちスキルとだまし討ちスキル、それに、ナイフの武器スキルを使った特殊攻撃を放って、ミノタウロスのヘイトをナイトに固定しっぱなしだ。

 まるで、奇跡の潤滑油LSベ〇ハンマーのごとく、戦闘をスムーズに行えるようにしている。

 他のパーティーメンバーは余計なことを考えずに、自分の役割をこなすだけ…………こうして、危なげなく、ミノタウロスのHPを削っていく。

 これは、ボクがこないと、マジでこのダンジョンって踏破されていたんじゃないか?



 って、戦闘が終わった。



 そう、ミノタウロスが消滅したんだ。

 その消滅のタイミングに合わせて、擬態スキルと鑑定偽装スキルで宝箱に擬態を変えます。

 ダンジョンポイントで交換したこのダンジョンで使われている宝箱と同じシリーズのちょっと大きめの大剣が余裕で入るサイズの豪華版の宝箱に擬態ですよ。

 シーフの姉ちゃんの仕事ぶりに、ボクも頑張っちゃいます。

 いつもより、ちょっとMPを使っただけですけどね。



 そして、これからは、ボクのターンだ。



「お、これは、期待できるんじゃねぇか?」

「ソニア、さっさと開けてくれよ」

「ソニア、早く~、早く~」



 ミノタウロスを倒し、宝箱が現れたことで、臨戦モードを解除し、興奮するパーティーメンバーたち。


 あ、シーフの姉ちゃんは、ソニアと言う名前らしいですね。

 仕事ぶりも良かったが、ちょっとボク好みの容姿をしている。

 やばい、コレクター魂が疼く。

 歴史物のシミュレーションゲームとかで、敵領主以外の人材を引き抜いてから攻め込みませんか?



「ちょっと待ってよ。これだけの宝箱にトラップが掛かっていないわけないでしょ?」



 不用意にボクに近づかず、じっくりとボクを鑑定するソニア。

 鑑定されるとちょっとムズ痒く感じるんですよ。

 こればかりは、この世界に来てから250年経つが未だに慣れないんですよね。



「まず悪い知らせから、この宝箱…………範囲即死トラップが仕掛けてあるわ」



 残念そうな声で、ソニアはそう言い放つと、他のパーティーメンバーは、そのセリフに息を呑んだ。

 でも、その表情は曇ることはありませんでした。

 ただ、ニヤニヤするのを我慢しているだけです。



「と言うことは…………」



 我慢できずにナイトの男が、最初に声を出す。



「そうよ。このソニアさまなら余裕で解除できるわ。お宝を期待していいわよ♪」



 そう言い切ったソニアにボクの身体は弄られた。


 く、ソニアのテクニックも最高です。

 ビクン、ビクンと動くのを我慢するのに疲れたくらいですよ。



     カチッ



 思わずイッちゃった………………違います。

 範囲即死トラップが解除されたんです。

 ほ、本当に、イッたわけじゃないですよ。



「で、伝説の『盗賊の剣』…………こんなモノがドロップするなんて…………」



 宝箱の中には、無境界の宝箱アンリミテッド・トレジャーチェストスキルを使って仕舞ってあったボクのコレクションのから一品をピックアップして入れてありました。

 さすがに空ってわけにはいきませんからね。


 昔のダンジョン経営の流行は、ドロップ率を下げて経費節減することだった。

 ちょうどその頃、ダンジョンポイントの交換アイテムとして『盗賊の剣』が出始めたんです。

 その『盗賊の剣』…………この世に出た『盗賊の剣』の効果『レアドロップ+1』…………その効果に冒険者たちは歓喜した。



 『盗賊の剣』がドロップしないダンジョンはダンジョンにあらず。



 そう、『盗賊の剣』をドロップさせないダンジョンには冒険者が集まらなくなってしまったんですよ。

 そして、どのダンジョンでも、『盗賊の剣』がドロップされるようになった。



 高値で取引されていた『盗賊の剣』は大量に出回ったことで価格は暴落、『レアドロップ+1』も体感出来るほどの効果も無く、だんだんと外れアイテム扱いされていった。



 実際、レアドロップは、ダンジョンマスターの匙加減で変わりますからね。



 そう言ったこともあり、交換レート1億のダンジョンポイントの交換アイテム『盗賊の剣』をドロップさせるより、そこそこのドロップ率にして、冒険者を釣った方が安上がりだろうと、一気に『盗賊の剣』ブームが過ぎ去り、ダンジョンポイントの交換アイテムのラインナップから『盗賊の剣』が消えた。


 逆に、今は、市場に出回っている数が少なく、ダンジョンでは全くドロップしなくなった『盗賊の剣』は、シーフたちのステータスアイテムになっている。

 『盗賊の剣』をドロップさせたシーフは優秀だとね。


 市場に出回っている数が少ないのは、ボクがほとんど回収したからなんです。

 無境界の宝箱アンリミテッド・トレジャーチェストの中にたくさん入っていますよ。


 まぁ、そんな理由で、シーフにとっての『盗賊の剣』は、貧乳なみに希少価値性とステータス性があるんですよ。


 だから、いくら良い仕事をするシーフでも、このソニアのように、何も考えずに、身を乗り出しながら、ボクの口の中に入ってくる。


 では、頂きます。



      パックンチョ



 美味しく頂きました。


 って、ウソですよ。

 捕縛収納スキルで、ボクのコレクションに追加しただけです。


 一目を置いた冒険者は殺すには忍びないので、捕縛収納スキルでカード状にして閉じ込めて、時間を止めた状態で捕縛しているんですよ。



「「「「「ソニアァァァァァァァァァァァァ」」」」」



 ソニアが消えたことによって生まれた階層ボス部屋の一瞬の静寂がすぐに壊された。





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