君を巻込みたくない
ちょっと腑に落ちないなぁ…。とか考えてたら勢いよく扉が開いて…。
「はぁ…はぁ…やっと…見つけた…!」
あれ、この声は…。
「優香さん…!?」
振り向くとそこには汗びっしょりで髪の毛がぐしゃぐしゃになっちゃった優香さんが…。
「先生!ゆづりちゃんを不合格にしないでください、ゆづりちゃんは身体の具合が悪かったんです、ワザと壁をこわしたわけではありません。それでも不合格にするのならば私も不合格で構いません。」
「え!?」
え、優香さんなんで私なんか庇ってるの!?
「いやしかしだな…。」
先生の表情は無表情のままだけど、「困ったな」っていう雰囲気がちょっとでてる…。
「先生、優香さんだけでも合格にしてください。私は不合格であるならば不合格で構いません。」
「ゆづりちゃん…!」
優香さんがなにか言おうとしてるけど多分それを言ってしまったら優香さんまで巻き込んでしまうことをいうかもしれない…。だから………。
「…今日1日試験はじまるまで優香さんに振り回されたから具合わるくなったのかも…。時間の無駄のような会話しかしてなかったしおまけに試験にはおくれそうになるし…。」
私は本当の気持ちとは真逆の事を優香さんにまできこえるように口から吐き出した。
本当はこんな事言いたくない、心がぐしゃぐしゃになって壊れちゃいそう、涙が溢れ出てきそうっ…でも耐えなきゃ…私の事嫌いになってもらわないときっと…。
「…嘘つき。」
「ゆづりちゃんの嘘つき…あんなに楽しそうにしてたのに…。」
優香さんの表情がどんどん泣きそうな表情になっていってるのがわかった…。泣かないでよ、私だってこんなこというの辛いから…でも私は優香さんを巻き込みたくない、きっとむちゃくちゃ勉強していまここにいるんだよね、それが水の泡とかすのは私だけでいいんだよ。
「楽しそうなフリをしてただけ…。」
声が震えちゃったのがわかった。もう私も泣きそう…。
「落ち着け二人とも。」
私の涙の我慢が限界に達する直前、
「夢咲ゆづり、思っていることと違うことを口から出すのは止めよう。たとえ、それが友達を巻き込みたくないという思いでも。」
え、なんでばれたの!?
「何で…。」
「人の気持ちをよむ魔法を使用した。」
あ…。
なるほど。
「桜沢優香、君の気持ちはよくわかった。夢咲はさっきからずっと思ってることと180度違うことをいってお前を巻き込まないようにしていた。」
「え、それって…。」
やばい…。
「つまり桜沢を自分から突き放そうとしたんだ。お前を巻き込みたくないって。」
「…!!」
優香さんがこっちに視線を向けたと同時に私のすぐ目の前までダッシュしてきて。
「ばかぁ!」
ペチーン
思い切り頬をはたかれちゃった…。
痛い…。
「それと夢咲は合格だからな」
…え?和光先生今なんて?
「「え」」
思わず優香さんとハモっちゃった。合格?え?私うかっちゃったの!?