暑い遠い
「はぁ、はぁ....。」
ようやく普通科棟についた…。
「結構あったねー……。」
流石に優香さんも苦笑してる。それもそのはず、寮から1キロは歩いたんだから…。
帰りは教科書がプラスされる、大丈夫かな…。
「ええと、教科書販売……、あ、あそこかなっ!」
同じ色のリボンを付けた人たちがいる、教室で見た気がする顔もチラホラ…。
「ゆづりちゃん!こっちこっち!」
息を整えてる間に優香さんは同じリボンを付けた人たちの中に居た。瞬間移動かな?
「まっ、まってぇっ…!!」
もう既に私足ガックガクで走れない……!
「ゆづりちゃん何踊ってるの!?」
踊ってないよ足ガクガクなのっ!!
そんなこんなしながら販売員のひとから教科書を貰う。
「あ、そこの茶髪の可愛いお嬢さん。」
「はいっ?」
ちがうの、これは、反射神経的に反応しちゃって自分が可愛いとかなんておもってないからっ!
「おじさん学生証読むの忘れちゃったよ」
アハハと笑いながら言う教科書販売のおじさん。
「ちょっとみしてもらっていいかい?」
特に断る理由がないので。
「あ、はいっ。」
自分のお財布から学生証をとりだし教科書販売のおじさんに渡す。
「ありがとさん。」
教科書販売のおじさんは私から学生証を受け取るとタブレットPCにかざした。
「はいありがとう。君が和光先生が言っていた夢咲ゆづりちゃんかぁ、確かに可愛いかもしれんなぁ。」
学生証を返してもらいながら。
ま、せいぜいがんばりな、お嬢ちゃんって言われた。
この会話謎過ぎない?
「ゆづりちゃんなんか渡し忘れれかなんか?」
優香さんには言わないでおこう。
「あーなんか、学生証?読み込み忘れちゃったらしくてっ!」
「そーなんだ!あのおじさんも結構年配っぽかったからね!」
たしかに。
「あ、そだ、ゆづりちゃんこれ使おうよ! 」
そう言いながら優香さんのポッケから出てきたのは1枚の紙。
「なにこれっ?」
「これ和光先生にもらったの!"夢咲は体力無さそうだからこれを使うといい。"って!」
和光先生なんでもお見通しなのかな、てか体力無さそうって…!!無いけど…。
「使い方はね、この紙の魔法陣をなぞったあと、行きたい所を言うんだって!」
つまりこれを使えば寮までひとっとび!
やった!
「早速使おうっ!!」
「せーの……寮まで連れて行って!!」
魔法陣の描かれた紙から閃光が出て当たりが見えなくなる…。うまくいってほしいなぁ…。
そう思いながら、恐る恐る目を開けるとそこには……。