でっかいよね…。
「うーん…。」
着替えを済ませた後、私は優香さんと構内地図をにらめっこしていた。
朝、学校からスマートフォンにメールが来て
「遠方から来る新入生の保護者会や授業に必要やものの販売があるため、本日から3日間授業はありません。構内を自由に散策し、おおよその教室の場所を各自把握するように」
とのこと…。
「無茶でかいよね…この学校の敷地。」
優香さんがぽつりと言う。
この学校、実は地上だけではなく地下にも教室や実験室があり、全て合わせると計算がめんどくさくなるくらい広い…転送魔法が使えることが前提に作られていそうなくらい広い…。
「とりあえず、教科書販売、いくっ?」
後々にすると絶対忘れるのではやめにこれは揃えておきたいなぁ…。はこぶの面倒そうだし…。
「んー、そだね!!じゃあゆづりちゃんいこか!!」
優香さんも同じつもりだったらしい!良かった…。
「で、場所はー?」
優香さんに聞かれ、パンフレットに書いてある場所と構内地図を照らし合わせる…苦手なんだよね、私こういうの…大丈夫かなぁ…。
「え、えとっ、一般教科が普通科棟のエントランスで、魔法教科がそのとなりの特別棟でやってるみたい!!」
場所についてはちょっと自信ないけど…。
だって場所が示されてるだけで何棟か書いてないんだもん…。
「意外と近いね!じゃあ場所わかったし行こか!」
優香さんが私の方に手を指し伸ばしてくれた、最近までずっと一人ぼっちだったからちょっとドキッとしたっ…。
「えっあ、うんっ!!」
指し伸ばしてくれた優香さんの手を握る…。
「ゆづりちゃんもしかして手繋いだりするの慣れてない?」
ドキッ…。
「そそそんなことないよっ!」
こういうの隠すの私下手なんだよね…。
「そんな緊張しなくて大丈夫だよ!!これから卒業するまでながーい付き合いになるんだから!もっと気楽に行こ!」
優香さんがニコニコしながらぐいっと私の手を引っ張るっ!むっちゃ力つよいんですがっ!?
「は、いや、うんっ!!」
「じゃあしゅっぱーつ!」
私は優香さんに手を引かれながら普通科棟に向かった。