第８話 失敗を糧に
うわー称号増えちゃったよ。
しかもうれしくない感じのやつが。
確かにゲテモノ食べたけど…一回でそんな称号ついちゃうの？
下手なことばかりしてるとステータスが称号まみれになりそうだ。
そう言えばゲームだと称号とかでステータスに補正がかかったりするけど…調べてみるか。
ステータス画面を触ってみても何もないな。お約束だと説明とかが出てきたりするんだけどなぁ。
あとは…鑑定かな？
ステータスに使えるかどうかは微妙だけど…鑑定っと！
おぉー‼︎なんか称号の下に説明が出てきた！
Mr.ボッチと空気と友達は…察してほしい。
ダンジョン最下層の住人はダンジョン内でのみ効果を発揮するみたいだ。
効果は肉体と精神を健全に保つらしい。
怪我とかは別みたいだな。
これってかなりすごいな‼︎
ダンジョン限定だけど状態異常無効って事でいいんだよな？
どの程度までってのは確かめたいけどわざわざ毒やら精神異常なんかはくらいたくないから保険的な感じでおいとこ。
ゲテモノ喰い。最新の称号だ。
誰も期待なんてしてなかったと思う。
俺だってしてなかったんだからな！
しかし詳細を読むと…
称号:ゲテモノ喰い
ありとあらゆる人が忌避する食材でも食せるようになる。
味覚が変わるわけではない。
これだ‼︎
ショボいとお思いの皆様。
違うんです！あのクソマズイゴブリン肉でも普通に食べられるんだよ‼︎
吐き気と死闘しなくてもいいんだよ？
これさえあればあら不思議‼︎
彼女の作った食品殲滅兵器も処理できるんだ‼︎世の男性の希望の星だねっ！
彼女なんていた事ないけどねっ‼︎
リア充タヒっ‼︎ヒャッハーリア充は消毒ダァ〜‼︎
すみません。とり乱しました。
反省してません。
食糧は大丈夫とは言えないが一応の解決としておこう。質を求めたらきりがない。
それよりも戦闘だ。
防具はゴブリンの革の胸当てが手に入ったこれで少しは耐久が上がる。
武器はゴブリンの片手剣と鋼の短剣でいいだろう。
盾は持たない。
まず、撃ち合いなんかになったら俺の紙耐久なんかじゃ生き残れない。
だったら戦わない。
忍び寄って急所を一撃だ。これ以外はありえない。
先の失敗は覚悟と相手の情報不足だ。
覚悟はもう大丈夫だ。
情報は…今からこのゴブリンを解体して得るしかないか。
だいぶ憂鬱だな。屠殺場の職員の皆さんには感謝しかないなぁ。
ゴブリンの解体が終わった。
かいつまんで説明するとこうだ。
１つ.重要な器官などは人間と位置は変わらない。
１つ.急所の位置も正中線に集中している。
１つ.心臓の中に核のようなものがある。鑑定では魔核と言うものらしい。
これを取り出すか破壊すると魔物は死ぬらしい。
分かったのはこんなところだ。
あっ、なぜか分からないが胃石しているみたいだ。何か食べ物があるのかな？あるならば是非手に入れたい！
ゴブリンに限らず魔物たちは人間より遥かに強靭な肉体を持ってるって事が分かった。
確実に仕留めるには脳を潰すか、首を落す。後は心臓を潰すかだな。
脳は頭蓋が硬すぎて無理だし、首を落とせるほどの腕力も技術も無い。
消去法で心臓のを潰して離脱だな！
作戦はこうだ。
隠密でこっそり近づき、防具の隙間から一突き。
すぐに距離を取り、仕留めきれていなければ撤退だ。命を大事にだ。
よし！行くか。
上層の通路を進む。分岐にたどり着く。
通路の壁に身を寄せて気配察知でハイゴブリンを捕捉する。彼我の距離は約10m程。
変異種でないことを確認し、足元の石を拾う。
慎重に身を乗り出し、ハイゴブリンより後方に向って石を放る。
カチャン！
ハイゴブリンは音に反応しこちらにがら空きの背を向ける。
歩法を駆使してハイゴブリン迄の距離をほぼ無音で接近、手にした片手剣で革の胸当ての隙間から心臓に向けて突き立てる！
皮膚を裂き、肉を断ち、骨を削る。
心臓を突き破り魔核を砕く確かな感覚が剣よりつたわる。
素早く片手剣を引き抜き、後方に下がる。
油断なくハイゴブリンを睨みつけ…相手が倒れふすまで目を離さなかった。
ほっと一息吐き出す。
先ずはひとつ。
失敗を糧に出来たことに安堵する。
このダンジョンからの脱出にかすかな希望が見えてきたかな？
ポーン
『レベルが上がりました。』
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