表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転移なら説明ぐらいしろよッ‼︎  作者: ミチ63
第1章 ダンジョン最下層からの脱出編
5/43

第5話 リビングデッドの置き土産

「ゔぅぅぁぁ…」

「ウッ…ガァァ…」

「ァァアァァァ…」

「ジィアァァァ…」

「ェアァァゥゥ…」


ワラワラと部屋の中には動く屍で溢れていく。

総勢34体、団体で来るには少し狭すぎるんだが…訴えても聞いてはもらえなさそうだし。

いや、知力13あるから話は通じるかも?多分だけど、小学生低学年ぐらいにはあるんじゃないだろうか?

…本気で言ってるわけじゃない。ただの現実逃避だよ。

話し合いで解決するには相手の数が多いし、だいたい話し合いなんてのは力が拮抗してないと意味がないしなぁ。

簡単に蹂躙できるならそっちの方が早くて確実だからな。


そんなこと考えながら観察してたんだけど…流石に気持ち悪いな。

皮膚はところどころ剥がれてるし、酷いところは骨まで見えては。

噛みちぎられた後は多数あるし、明らかに骨が折れてる奴らも多数。

まさに生きた屍って感じなくせに、傷んではいるが革やら金属やらの防具をちゃんと着込んでやがる‼︎

奴等でさえも服着てんのになんで俺は全裸なんだよっ‼︎奴等よりも扱いが雑すぎて泣く、泣いている‼︎

もうやめて!将吾のHPは0よっ‼︎


遊んでいるわけじゃないんだよ?

かなり動揺しているだけなんだ!なぜなら奴等皆んながこっち見てんだよね。

そりゃ動揺して馬鹿な事考えても仕方ないじゃないか。

隠密ェ…仕事しろっ‼︎

あれ?どうしよう、漏れせう。

極度の緊張とポンポン冷やされてヤバイ‼︎大きい方じゃないのがせめてもの救いだっ‼︎


ちゃんと観察は続行してたんだが…なぜか襲ってこない、と言うよりは近づいてこないが正しいか?

水辺から1mぐらい開けて包囲されてるかそれだけだ。

それは何故か?

奴等の性格が性悪で、嬲って楽しむ異常者供だから。

もしくは外的要因で近づけない、警戒しているかな?

前者の方が確立は高いが、後者なら要因は…俺ではないだろう。

じゃあなんだと考えれば…この水かな?

ひゃっこいただの水にしか見えないが…鑑定‼︎


【生命の湧水】 ランクA

一口飲めば、ありとあらゆる怪我、病気、毒などを癒す。欠損、死亡は除く。

ポーション制作で使用可能。効果絶大。


天然ポーションじゃないか‼︎

なるほど、ゲームやなんかだとポーションはアンデットにとっては毒‼︎

奴等に当てはまるかは分からないが…寄ってこないって事はそれに近い効果はあるかもしれない‼︎

だったら…

「せーのっ‼︎」

ばっしゃぁぁぁぁぁん‼︎

ばっしゃばっしゃばっしゃじゃぼっばっしゃばっしゃパチャン‼︎


リビングデッドは動かない。

楠木将吾も動けない。

荒く息を吐き、顔を拭う。

しばしの睨み合いが続く…

駄目かと思考が過りかけた瞬間に、静寂を破る怒号。

「「「ギィヤァァアぁぁぁぁぁ」」」

魂を引き裂くような、怒気をぶつけ押しつぶすかのような叫びに、将吾は顔をしかめて耳を塞ぐ。

目の前に広がる阿鼻叫喚の地獄絵図をただ震え、微動だにせずに見つめることしかできず、早く終わってくれと願う。

眼前にはまるで酸をかけられたように皮膚が溶け落ち、じゅうじゅうと白煙を上げのたうち回る元人間の成れの果て、リビングデッドで埋め尽くされている。

やがて一人、また一人と動かなかなり、静寂が辺りを包む。

終わった。そう少しだけ気を緩めた瞬間それはに現れた。

青と黒の霧のような何かはリビングデッドの遺体?から立ち昇り渦巻きながらひとかたまり、直系1m程の球体となる。

それは徐々に、小さく、小さく圧縮されていく。

サッカーボールぐらいまで圧縮されたそれが、甲高い音と共に振動しはじめる。


「…絶対爆発‼︎ヤバイ‼︎」

腕を交差させて顔、胸を庇い水中に避難する‼︎

数秒後、大地を揺さぶる振動と共に鋭い痛みが左腕を襲う!

苦痛に呻き、気泡が口から漏れる。

奥歯を噛み締め水面から顔を出すと、そこには変わり果てた部屋。

天井が崩れて眼前を覆い、唯一の出入口を塞いでしまっている。

唖然としつつ眺めていると、左腕の痛みで現実に引き戻される。

リビングデッドの防具の破片であろう金属片は、左腕中程、とう骨と尺骨の間に刺さり、血が金属片の周りから溢れ出していた。


「焦るな、ゆっくりだ!天然ポーションがあるから怪我は大丈夫だ‼︎」

自分に言い聞かせて水辺に上がる。

左腕は心臓よりも高い位置に固定して金属片をゆっくりと抜いていく。


「っ…ウグッ‼︎グッゥ!…ゆっくりっだっ!…ぅぁあぁぁぁっ‼︎」


カランッ‼︎


やっと抜けた。10cm程の破片の半ばまでが刺さっていたようだ。

眉根を寄せながら湧水を手ですくい傷口へ。

鋭い痛みと共に肉が盛り上がり体内に残っていた破片が押しやられて出てくる光景を凝視する。


「ッウ‼︎…本当に治っちゃったよ…流石に傷跡までは消えないみたいだけど、これは現代医学からすれば驚愕すぎるだろ!」


ほっと一息ついて腰を落ち着けた瞬間に頭の中で…


ポーン‼︎


『レベルアップしました。身体機能の上昇に伴い身体を最適化致します。

上昇率が高い為、意識を強制シャットダウン致します』


「えっ?何言ってるの?強制ってなっ…」


ドサッ!ゴスンッ‼︎


鈍い音と共に俺は意識を手放した。

絶対タンコブできてるだろうなぁと感じながら。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ