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理想のち、現実  作者: 伊佐伊波
1/5

あれ、なんていったっけ……そう、ゴキブリン!

 現在、俺の前方十メートルには、よくファンタジー系のゲームで見たことがある、有名なあの………

 あれ?なんていったっけ?……、確かコモリンだか、ゴキブリンだか、まぁそんな名前だった気がする。

 あ、でもコモリンって、小学校の頃の友達でそんな名前の奴が確かいたなぁ。何かコモリンいい奴だったし、たぶんこいつの名前はゴキブリンで決まりだな。よし、いかにも人類に嫌われてそうな名前しやがって。まったく救いようのない奴だ………やれやれ、早いところ息の根を止めてやるか。

 

 ゴキブリン(一匹)はいかにも獰猛で狡猾な顔をしている。

 体格は人間の幼稚園児並みで、それが多少筋肉質になった。そんな感じだった。

 

 「こいつがこの世界で最弱のモンスターか………」

 

 フッ、一瞬だな……


 この俺がこの世界に来て一番最初の敵が最弱のモンスターだなんて………まったく興醒めだな。

 まぁいい、すぐに凶悪なモンスターを討伐しに行こう。そうだ明日にでも。


 そうと決まればさっさとこいつを片付けるとするか。


 俺は戦闘態勢なんかそれっぽくしてみたに入ると右手を空に向けて掲げる。


 ゴキブリンは身の危険を察知したのか、数歩後ずさる。


 フッ、だがもう遅い。


 「出でよっ!我と契約せし悪魔よ!、その身を以て、我に忠誠を示せっ!」


 瞬間、目の前に、空中に魔法陣のようなものが発現し―――――――――――


 それは確かに現れた。


 手足から延びる爪は一本一本が鋭利な刃物のようだ。しっぽが生えていて先っぽが円い。

 そして何より、なんかシーサーっぽかった。

 

 いや、てかこれまんまシーサーじゃね?あれ、おかしいな?ここ異世界だよね?


 さらに何よりもツッコミたかったのは……


 「ちっさ!」

 そいつは手のひらに収まる、もはやぬいぐるみにしか見えなかった。


 これ、だいじょうぶなの?

 ゴキブリンは尚もこちらを警戒しているのか、俺の出方を窺っているようだ。


 これ勝てるよね?

 口元から苦笑いが漏れる。

 

 後方では俺の実力をその目で確かめようと、多くの冒険者やら、街人やらが集まっている。

 もう今更引き返すことはできない。

 みんな俺の戦いっぷりに期待している。


 そうだこいつはこれでも悪魔なんだ(どう見てもシーサーだが)。

 きっとあんなゴキブリンごとき瞬殺してくれるに違いない(手のひらサイズだが)。

 となれば……


 「行け!、我が眷属よ!!」

 俺の合図でシーサーがゴキブリンに向かって一直線に突進していく。しかもこれが割と早い。


 おっ…?なんかいけそうだぞ!


 「駆逐してやれ―!」


 俺の応援の直後、シーサーがゴキブリンに衝突し――――――――


 一瞬で消滅した。


 





 俺、元地球人こと葉月遥人は、呆然とその光景を見ていることしかできなかった。

 

 

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