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俺の嫁は悪魔王さま。

かつて天に戦さがありました。


神の寵愛を一身に受けて輝く者。輝ける明けの明星と謳われた者、そして戦の後に最も神と対極に位置する者と言われる者。


名をサタン(悪魔王)ルシアという。


ルシアは実に天の三分の一を率いて神に弓を引いたのだ。それは激しい戦いでした。大地は裂け海は涸れた。山々は赤い炎を巻き上げ、その噴煙が恵みの光を遮った。

長く続いた夜は冷害を生み作物に決定的なダメージを与え、大地に住む人間に絶滅の危機を与えた。

自身に最も近いルシアとの戦を続けては、宇宙から生命が途絶えてしまうと考えた神は、単身ルシアの元へ向かい…そして戦さは終わりを迎えた。




そして気が遠く程の時が経った。




平和を享受する天界はいま再び騒然としていた。


「随分な事を言ってくれるじゃないかルシアよ。」

美しい黄金の髪を掻き上げる仕草で、普段は澄んだ蒼眼に怒りの炎を宿しルシアを睨み付ける若い男ーー神ヤハウェである。

「あら、感情を出すと言うのは痛い所を突かれた証拠よヤハウェ?」

怒りの炎を宿す神を前に不敵に笑うのは、長く美しい白銀の髪を揺らし、陶器の如き美しく滑らかな白い肌。そしてそんな美しさを更に際立たせるほんのり赤い瞳の女ーーサタン(悪魔王)ルシアである。


かつて天を分けて争った2人が一堂に会しているのだから天界の天使たちはただただ騒然としているのだ。


「だから何度も言っているだろうが!悪魔の配置が厳しすぎて人間の勇者が育つ前に死んでしまうのだ!もう少しバランスを考えて配置しろって。お前には人間を慈しむ心が無いのかルシア!!」

「なによ、あれは勇者が無謀に先に進むから死んだんじゃない。そもそもあなたが人間を甘やかし過ぎたのが悪いのよ!だいたい何が人間を慈しむ心よ、あなただってそんな物ないじゃない!!」

「お、俺がいつ人間を甘やかしたって言うんだよ!それに俺は神だぞ?人間を慈しむ心が無いわけないだろ。」

「そこまで言うのなら言ってやるわよ。あなたが勇者が死んでも持ち金を半分取るだけで何度も生き返らせるから人間の勇者も調子に乗ってレベルに見合わない探索に出るのよ!どうせお金が半分になるだけだからね。それに最近では銀行にお金を預けてから無謀な挑戦するようになったわ。この前なんて……


『おお勇者よ、死んでしまうとはなにごとですか。』

『女神さまよ、面倒な台詞回しは良いから早く生き返らせてくんねーかな。もう少しでダンジョンを抜けられそうなんだよ。道を忘れる前に早く行きてーんだ。ほらよ、持ち金の半分やるから。』


って言って私にお金を投げて寄越したのよ?しかも1Gを。信じられる?わざわざ持ち金を2Gにしてリスクを極限まで減らしてから死ぬのを覚悟で無謀にもダンジョンに入ったのよ!!もう、あまりにも頭に来たから装備もパンツまで含めて全部徴収してやったわよ。生き返って早々に魔法使いの女の子に殺されたみたいだけど。」

「…ま、まぁ人間は成長する生き物だからな、リスクを減らす為の知識を得たのだろうよ。」

「何が知識よ!そんなこと考える暇があったら死なない為の安全マージンを取ることに頭を使いなさいってのよ!!」


益々ヒートアップしていく2人の言い争いに我慢出来なくなったのか1人の少女天使が口を挟む。

「抑えて下さいルシア。神に向かって何て言いかたを。それに神は全ての生物に等しく愛おしい慈愛の心を持っておられる御方、どんな人間の勇者がセコい諸行を行おうとも笑って赦される程の寛大な御方なのですよ。」

「…煩いわねミカエル。このヒトが寛大な方ぁ?」

少女ミカエルを睨みながら神を指差したルシアは

「この男は寛大でも何でもないわよ!ミカエルはまだ幼い頃だったから知らないだろうけどね、昔人間をエデンの園に囲っていた時に何でわざわざ食べてはいけないとした知恵の実が生る木を近くに植えたの?このヒトはね、アダムに『この実を食べちゃダメだぞ〜』とか言って好奇心に負けてアダムとイブが知恵の実を食べるのをずっとニヤニヤしながら観察していたのよ。『ほら見ろよルシア、やっぱり好奇心に負けてあいつ等知恵の実を食べたぞ!俺の予想どおりじゃないか!』とか言ってお腹を抱えてゲラゲラ笑っていたのよこの男は!!食べてはいけない物なら最初から手の届くとこに置くなっつーのよ!」

それを聞いたミカエルを始めとした天使たちの視線が一堂に神に向かうと、神は外方向いて口笛を吹いていた。

それを見たミカエルは次第に目を赤くし、次第にシクシクと泣き始める。

「ほら見ろ!ルシア、お前が虐めるからミカエルが泣いてしまったではないか。なんと可哀想なミカエルよ、お姉ちゃんが怖かったね〜。」

そう言って神がミカエルの頭をそっと撫でる。

しかしそんな神の手を払い除けたルシアはミカエルを抱き締め

「妹が泣いているのは私にではなく、あなたの鬼畜な諸行にです!」

再び白熱した舌戦が繰り広げられようとした矢先の出来事だった。

「もうお姉ちゃんもお義理兄さんも煩い!!夫婦喧嘩は天界の外でやって!!」

シクシクと泣いていたミカエルがキレた。



そして宇宙一ダメな夫婦は天界を追われることになったのだった。

ボチボチとパロディメインで進む予定です。

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