【天高く 木の葉の如く ゆれなずむ】第1話 パトリオットアルバトロスの呪縛
日めくりカレンダーの8月の残りが少なくなり、いくばかしか日の沈みの速さを感じるようになってきた頃、テレビの番組欄を見ると、衛星チャンネルのスケジュールが数日にわたり同じ単語で埋め尽くされていた。
『新・パトリオットアルバトロス劇場版:転2012 乙型弐式改1/2』公開記念! パトリオットアルバトロスシリーズ一挙放送!
パトリオットアルバトロスと言えば、私もよく耳にするアメリカの映画シリーズである。米国特殊部隊パトリオットアルバトロスの個性豊かな面々が活躍する爽快なアクションでありつつ、人間の心情を深くまで掘り下げた哲学的な一面も持つシリーズとしてコアなファンがいることで有名、公開前だというのにどういうコネかいち早く最新作を見たハイジさんがネタバレをして水原さんが号泣したことは記憶に新しい。しかしだ。あまりにも長すぎやしないか? 金曜土曜日曜9時からの民放洋画でシリーズの何本かを見たことはあるが、腰を据えてシリーズを見渡したことは一度もない。シリーズ全作のタイトルを今一度検めてみる。
パトリオットアルバトロス(ドラマ)
パトリオットアルバトロス劇場版
パトリオットアルバトロス劇場版2
パトリオットアルバトロス劇場版 史上最大の復讐
パトリオットアルバトロス劇場版 アンリミテッドバルカンズ
新パトリオットアルバトロス
新パトリオットアルバトロス ザ・ファイナル
新パトリオットアルバトロス 乙型
新パトリオットアルバトロス 甲型
新パトリオットアルバトロス劇場版『イ』
新パトリオットアルバトロス劇場版『ロ』
新パトリオットアルバトロス劇場版『ハ』
新パトリオットアルバトロス劇場版 甲型弐式
新パトリオットアルバトロス劇場版 乙型弐式
新パトリオットアルバトロス劇場版 乙型弐式改
新パトリオットアルバトロス劇場版 甲型弐式改
新パトリオットアルバトロス劇場版 甲型弐式改2011 1/2
新パトリオットアルバトロス劇場版 甲型弐式改2011 2/2
新パトリオットアルバトロス劇場版 乙型弐式改2012 1/2
新パトリオットアルバトロス劇場版 乙型弐式改2012 2/2
長すぎ。しかし、物は試しとすべての始まりであるパトリオットアルバトロス(ドラマ)から見てみるに、心底興趣をそそられたことは否定の仕様がない。キャプテンローズはかっこいいし、陽気なナイスガイだが実は悲しい過去を秘めて仲間のために自分を疎かにしてしまう危うさの漂うレイブン少尉、ルアシオ連邦から亡命して米国に尽くすクールなユーティリティ、アルバラデホのかつての母国と戦わねばならないという葛藤も素晴らしい。これまでに数多の人々の心つかんできたことにも合点がいく。しかしだ。最終回は気に入らなかった。今までの伏線も何もかも捨て去って登場人物たちの内面を描くだけで最終決戦の内容が明かされていない。不満だ、嗚呼不満だとめりめり腹を立てていたら、なんとパトリオットアルバトロス劇場版にてドラマ版最終回と並行して行われていた現実世界での最終決戦の全貌が明かされる。なんともはや。言うことナシ、是非続きが観たい! と思ったがまだまだパトリオットアルバトロスの戦いは終わっていないと続きが映画で描かれることになる。そして、新パトリオットアルバトロス劇場版でドラマシリーズからリメイクのし直し、何度となく同じストーリーが繰り返される…と高をくくっていたら大間違いだった。少しずつ違うのだ! 新パトリオットアルバトロス劇場版から新たに登場するキャラクターも加え、本来のアクションと精神の描き方の持ち味を失わず、どんどんと迫力は増してゆき、最終的に別の結末へとたどり着いた。
同じスタートから違うゴールへ。これを何度も繰り返すのである。もう、面白すぎて何度でも続きを見なければ気が済まなくなるのだ。一度見始めるともう制作側が終えるまで見続けなければならないパトリオットアルバトロスの呪縛である。まるでエヴァンゲリオンシリーズだ。
8月の終盤すべてをパトリオットアルバトロス鑑賞に費やしてシリーズを制覇し、ふとインターネットで『パトリオットアルバトロス』と調べてみると、飛び込んできたのは
「パトリオットアルバトロス、まだまだ終わらない! ネオパトリオットアルバトロス、制作決定!」
の記事だ。
ふむ、『新・パトリオットアルバトロス劇場版:転2012 乙型弐式改2/2』でもまだシリーズは終わらないのか、面白いが流石に長すぎやしないか、と辟易しつつも、公開を心待ちにしている自分がいた。
パトリオットアルバトロス…恐ろしく、そして面白い作品だ。
【反省会】
このようにして俺たちは一生エヴァンゲリオンシリーズに搾取され続けるんだろうな、と思って当時書いたが、そうでもなさそうだ。




