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うぉくのふぉそみつ リターンズ  作者: ムッシュ志乃
8月編
91/185

【あおぐよし 夜に咲く花待つ 午睡よし】第18話 関越リベンジ その16

「もう一回聞くぞ。良崎=リーベルト・アンナが悪いのか、それとも良崎=リーベルト・アンナがバカなのか」


 関越リベンジ二日目。

 真夏の車中で良崎はまた例によって当たり前のようにゴスロリの服を着ている。ハイジさんの所業でない。なぜなら昨晩、柳女史の自宅の居間にて行われた『第一回 柳一二三杯争奪 スマブラ大会』にてハイジさんは5連敗、罰ゲームとして「椅子に12時間縛り付けられるの刑」に処され、朝まで椅子に縛り付けられていたからである。そうでなくともずっと車のシートに座っていたのでハイジさんの腰はもうボロボロのはずなのに。私はハイジさんの次に脱落し「オレが主役だ!」のTシャツと「主人公登場!」のタスキをかけられ床で眠りに落ちた。その後、残った水原さん、良崎、小林氏、そして柳女史がいつまでスマブラを続けていたかはわからないが、目を覚ました時に都心のビルのように乱立しているビール瓶の山、そしてスティーブン・セガールの顔がプリントされたTシャツを着させられてスティーブン・セガールの被り物を被って台所の隅に転がっている水原さん、まったく姿が見えない小林氏という状況から鑑みるに、大会は夜遅くまで続いたのであろう。柳女史も昨日まで艶やかな黒髪だったのに罰ゲームか何かで今は金髪に染め上げられている始末だ。


「良崎アンナがバカで、良崎アンナのせいでした。今回わたしは非を認めますから。申し訳ありませんでした」


 悔しさか徹夜か、目を真っ赤に腫らした良崎が息も絶え絶えに助手席で頭を抱えて我々に謝罪している。

 夜遅くというか早朝まで続いた柳女史とのゲーム大会、そしてハイジさんへの「椅子に12時間縛り付けられるの刑」の発案者は良崎だ。おかげで我々は全員寝坊、ハイジさんに至っては椅子から体を動かすことが出来ず本当の満身創痍、出発は非常に遅れて昼をすぎ、高校野球の第一試合はもう終わっていた。良崎はおそらく、罰ゲームでゴスロリを着させられているのだろうが、深夜の群馬では手配出来なかったのか靴だけは涼しげなクロックスのままだ。

 関越リベンジは、まだ半分に来ているかどうかも怪しいというのに、前日よりも大幅にスケジュールが遅れている。そして今回、非を認めた良崎本人は朝方まで柳女史としこたま飲んでいたため酒が抜けておらず、運転は出来ない。役に立たねぇ。免許がないから運転できないよりも、免許あるくせに酒を飲んで運転できないの方がダメだ。


「わかってるんだろうな、お前は先を急ぐ旅で何をしたんだ? もう俺たちに暴言や暴行は許されないぞリーベルト。帰ったらすぐに謝罪会見だ」


「深く、反省しております。本当に申し訳ありませんでした。弁護士も雇わない」


「そしたらお前どんな罰を言い渡されるのか。『関越リベンジ2』の刑、覚悟しておけよ」


「いいじゃないですか、反省してるんですし」


 本日の運転手は『演劇サークル』の真打、水原さんだ。運転できない良崎、そして昨日の昼からずっと車、そして柳女史の家の椅子に座ったままだったハイジさんは、もう本当に運転できるコンディションではない。よってハイジさんは後部座席で安静に腰の療養をしている。助手席には良崎。助手席にゴスロリを乗せて車とすれ違ったりとはとんださらし者だ。これではまるで浮かれた学生ではないか。

 しかし、よかったこともある。渋滞が嘘のように解消されていたのだ。


「長岡につきます!」


 海賊船の見張り番の如く良崎が声を上げるとわたしも急に気分が高揚してきた。新幹線なら東京から2時間程度の旅路をここまで面白おかしく厳しく辛く乗り越えてきたのだ。こみ上げるものだってあったっていい。


「よぉし。じゃあ水銀、北陸自動車道に乗り換えて新潟を目指せ」


「了解です」


 一気にサークルが団結し始める。ナビゲート役、運転手、ムードメイカー。いいチームじゃないか、『演劇サークル』。とでも言うと思ったのか。俺はこれまでの惨劇を忘れてはいないぞ。むしろ忘れるな。


「いよっっしゃあああ! 『関越リベンジ』、達成ぃいいい!!!」


 ハイジさんが勝どきの声を上げると良崎も体を翻してハイジさんとハイタッチを交わし、車体の安否を問わねばならないほど無邪気に全体で喜びを体現した。実家の私物が壊されるかもしれないと案ずるのはこの喜びに水を差すとわかっているのか、水原さんもにっこり笑っている。


「さぁ、ゴールに向かうぞ! 待ってろよ、瀬波温泉!」


【自己批判】

このあたりを書いている頃に書き方とかネタの探し方とかを変えてその環境の変化に伴って煙草が激増して茶色いつばが出た。

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