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うぉくのふぉそみつ リターンズ  作者: ムッシュ志乃
8月編
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【あおぐよし 夜に咲く花待つ 午睡よし】第8話 関越リベンジ その6

「かんざしですよリーベルトさん」


 お土産屋は菓子屋横丁の名の通り、お菓子、駄菓子を扱ったものが多く、プロ野球のバットのような巨大麩菓子や菱形のニッキ飴、学校の近くの小さな商店に置かれているような彩り鮮やかなゼリーが輝きを放っている。また、その一方で小江戸と称されるように日本の伝統を感じさせる手先細やかな細工が施されたかざりや鉛筆削り等の文具も多くみられる。


「いえ、わたしは髪が短いので銀さんのほうが似合うんじゃないですか」


 えー、と照れながらも水原さんも嫌ではないようで髪を後ろで束ね、ピアスをちらちらさせながらかんざしを充てる体制を整えている。


「あれだよなぁ。いうなれば、洋装はセクシーかキュートだけど、和装は助べえのイメージがある装いだよな。和装は助べえなんだよ」


 ハイジさんの身も蓋もない言葉をよくよく考えて思い浮かべてみると、確かに洋装は金髪ボインのお姉ちゃんがホットパンツでビーチに寝そべっている光景が浮かぶが、和装セクシーを思い浮かべると浴衣の襟から覗くうなじが思い浮かぶ。確かに、セクシーというよりも助べえだ。俺が何を言ってるかわからないと思うが、俺も何を言っているかわからない。


「和服は服がぴちっとしてないんですよね。どっからでも覗く余地があるし、どっからでもはだけるというか」


 と素直な感想を述べてしまった。


「ん、どうした曾根崎」


「ホットパンツとかってもうある程度さらす代わりに絶対にラッキーパンチないですよね。和服は防御しているけど防御力低いみたいな」


 小林氏は共感したようで大きな笑い声をあげて笑っている。ハイジさんも少し口元を綻ばせている。


「わからないでもない」


「だから、あれですよね。男で言ったらビキニパンツかふんどしかっていう」


 良崎が続けた言葉でハイジさんもついに耐え切れなくなったのか、はは、と笑い声をあげた。


「ビキニパンツのナイスガイが、サングラスを外しながらSex! って言うのと、ふんどしの男が腕組みをして性交渉! っていうのだと、圧倒的に後者がやべぇな」


 とハイジさんがバトンを受け取る。なんだ、すごく気分がいいぞ。この、会話のバトンが3人以上で続く感じ。


「Sex、オア、性交渉」


「最低だ、ハイジさん最低ですよ!」


「ふんどしとか言ったのリーベルトじゃねぇか!」


 なんだろうなぁ。ハイジさんと良崎は、基本的に相性がよい関係ではないか。お互い些細なことで腹を立てて口論をしたりしているが、一度スイッチが入るとまるで兄妹のようだ。


「記念写真パネルがありますよ」


 完璧に観光スイッチが入ったようで、良崎は矢継ぎ早に興味深いものを見つけては片っ端から口に出す。


「でもこれ、記念写真パネルって、さつま芋じゃないですか!」


 良崎の言う記念写真パネルとは、観光地のある顔部分だけくりぬかれ、裏側から顔を出すことで表面からは何かになりきったように見えるパネルのことだ。顔出しパネルや顔ハメともいう。


「さつま芋に、なりきれるパネルがあるって!」


「さつま芋になれよ、リーベルト。ジャーマンスイートポテトになれよ!」


 ハイジさんはポケットから携帯を出し、笑いながらパネルに向けると良崎はすかさずさつま芋パネルから顔を出した。小林氏も笑い声をあげながらデジカメを構える。


「水原さん、あの辺が違いますよねぇ」


「そうよね。わたしたちには咄嗟にあんな風にふるまえる度胸がないもの」


 私と同じく、ここまで全く目立つことができていない水原さんが遠くを眺めるように目を細めた。演劇サークル改め『宣伝サークル』の主力、ハイジさん、そして良崎。


「マウンド度胸っていうか、演劇やったことないですけど」


「ごめんね」


「良崎は、僕よりは素質ありそうです」


 着ぐるみだ突撃ー! とハイジさんと良崎が叫んで駆け出すと、観光客たちは道をあけ、すぐに楽しそうに川越のマスコットとハイジさんと良崎を囲んで輪になり、学生たちが笑い声をあげた。


 うぉおおお! すげぇあのお兄さん着ぐるみにアナコンダバイスしてるぞ!

 決まったぁあああお姉さんは16文キックだぁああ!


「元気もあるし」


 嘘だろ、持ち上げたぞ! すっげぇー! ジャーマンスープレックスだ!

 あ、起き上がる! がんばれ! きーぐるみ! きーぐるみ!


「あの、水原さん。決して悪い意味ではないので気を悪くしないでほしいんですが、なんで水原さんは『演劇サークル』にいるんですか」


 触れてはいけない話題のような気もしなくもない。私や良崎は所詮、まだ彼らと出会って数か月の一年生だ。普段だらけきってるかと思いきやふと思い立って旅だの対決だのをする今のサークルの姿しか知らない。しかし、ハイジさんと『演劇部』には浅からぬ縁があるし、小林氏も水原さんも少なからずそれについては知っている。ハイジさんを慕うだけのサークルならば、なぜ小林氏はこちらにいないのか。本当に演劇とかやりたいのなら、なぜ水原さんはこちらなのか。


「なんでかなぁ」


 着ぐるみやる気だぞーよけろお姉さん! うぉおお姉さんの華麗なヒップトス! 俺もくらいてぇ!


「陣内さんがいるからかしら?」


 あのお兄さん、何をする気だ? 何をする気だぁー! 四の字固めだ! あー! タップタップ! 着ぐるみがタップしてるぞ!

 きゅいいいん……ボォン!


「ヘッ、汚ねぇ花火だぜ」


「やめください、ときもくんをそんなにいじめるのは! ひどい!」


 流石に水原さんも良崎とハイジさんの、川越市が日本に誇るあいくるしいマスコットキャラ、ときもくんへの蛮行を見過ごせなくなったのか、水原さんが止めに入った。


【自己批判】

昨日はウッカリ投稿をするのを忘れていたが多分読んでる人も水曜日が投稿日だってこと忘れてるから別にいいだろう。

「SEXオア性交渉」とか今じゃ絶対に思いつけない。

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