【笹の葉に 結ぶ短冊 おもうもの】第9話 期末だヨ! たくさん集合! その8
「でも、久三なら……」
「いえ、久三くんでも同じ結果になってしまうでしょう」
ドSの性格はメガネで抑えていても、その険しい表情は彼女の偽らざるもののようだ。
「どうにかするしかないでしょうね。しかし」
お前らが「ドッキリ大成功!」宣言をすれば終了だからな、とも言い難い展開になってきてしまったのか? もしかしたら、二子さんも仕込みなのか? ダメだ、もうすべてが疑わしい疑獄に入ってしまった。
そこでピーッ! と主審小林が突然ホイッスル。
「それよりもDENSETSUとウイグルが熱中症になってしまうかもしれません。まず水分補給をさせます」
高氏院サイドの人間と3D サイドの人間がそれぞれの代表選手にスポーツドリンクを濡れタオルを運ぶ。あの炎天下で睨み合ったままハイジさんから指示が来ず、さらに二子さん登場の間も睨み合ったままだったのだ。辛かっただろうな、愚か者ども。
「う、うぅ……」
汗びっしょりのDENSETSUとウイグルが水分補給と冷を取っているのをよそに、二子さんが急に頭を抱えて苦しみだした。
「お兄様! 私の目を盗んだわね!」
二子さんは弾かれたように立ち上がる。目は充血し、冷や汗が垂れている。
「クッ、防壁迷路が突破されたっ! うぅ……。……よぉお前ら馬鹿っ面のぼんくら共があんまりにも面白くねぇから俺がてめぇの妹のゴーストをハッキングしてまで出てきてやったぞ」
表情は目を見開いたまま苦悶の表情を浮かべたままの二子さんだが言葉遣いや物腰は完全にハイジさんのものだ。二子さんに憑り付いたというのか! もし、本当なのだとしたらすごいぞ『萬斎抄』! もし嘘だとしてもすごいぞ二子さんの演技力!
「おぃ志賀、お前はDENSETSUとか言ってる割りにラップの一つも披露しねぇでダジャレかよ。歌手なら歌えよ。まるでお前は可愛くない飼い猫か牙を抜かれた猟犬だ! ウイグルもよぅ、もっと考えようぜ。これじゃあお前ら出オチだぜ」
やれやれ、と首を横に振るハイジさんin二子さん。
「ほら、俺をもっと楽しませてくれよ。そしたら、あ、なんか外が楽しそうだ! 出てみようって気になるぜ?」
「陣内……なのか?」
夏目氏が二子さんに詰め寄る。
「ちょいと二子の体借りてるぜ」
「貴様、いい加減にしろよ」
「てめぇこそ、事件の解決には手段を選ばず徹底的に追い詰める警官になるんじゃねぇのかよ」
「俺は警官にはならない。だがな、貴様をもう見過ごすことは出来ん」
「はは、俺を捕まえたきゃ、せいぜい俺を楽しませるんだな。でも、お前らやっぱり俺がいないと面白くできねぇって脳無し野郎どもだってことはよくわかったぜ。DENSETSUとウイグル! 特にウイグル! てめぇ、俺がアマカゲル復活させたらそれに便乗してぇんだろ? なら話は早ぇ。勝ったら俺の船に乗せてやるよ。DENSETSUvsウイグル、心技体競技五番勝負! ジャッジこばやっちゃん! 一種目は! 『叩いて堪えてジャンケンポン』! せいぜい楽しませてくれよ」
二子さんが膝から崩れ落ちる。どうやらハイジさんのゴーストハックが終わったようだ。それにしても妹に憑りつくとはなんて非道なヤツだ。それに「俺を楽しませたら」って言ってしまったじゃないか! もう我々への戒めでもない。ハイジさんの個人的で迷惑な趣味だと明言したようなものだぞ!
「うっ」
まだ少しぐらいは悪そうだが、二子さんは立ち上がるや否や頭を深々と下げた。
「兄が申し訳ありません! 兄は本当に兄弟の中でも特に優秀で、わたしは出来が悪いからゴーストハックまで許してしまって……性格はともかく本当によくできた兄なんです! あの能力はわたしの憧れなんです。今回は少しやりすぎですけど、あまりひどい目にはあわせないでください! お願いします」
「情状酌量の余地はない」
夏目氏が冷たく突っぱねる。
「見ろ、あの光景を」
DENSETSUとウイグルが2mほどの距離で正座して向き合い、その間には様々な何かが。もう、『叩いて堪えてジャンケンポン』の用意をしているのだ。




