【笹の葉に 結ぶ短冊 おもうもの】第7話 期末だヨ! たくさん集合! その6
俺はブルックリン最高のワルだぜ。やるならかかってこいよ、メーン。
「そういえば、『ぶらりおっさんサンデー』って月一になったんだっけ?」
「月一は9月からだから、まだ週一でやってる。一昨日は巣鴨だったよ」
「えーまた巣鴨かぁ、もう飽きてきたなぁ」
「そういうマンネリもあるから月一になるんじゃないの?」
「私語を慎まんかッ!」
夏目氏に一喝されて一度は私と良崎も口をつぐむが、正直もう飽きた。反省もする、というかもうしたけど、ここまでくどいと反省より先に飽きが先に立つ。正直、ネタ切れは否めない。出オチは手っ取り早いが、次につなげることは出来ないからウイグルとDENSETSUの登場から先に進めていないぞ。夏目氏vsジードの時のようにハイジさんから次の展開をもらわないと、ただいたずらに時が過ぎるだけだ。出オチは手っ取り早いが、数が増えすぎるとかさばって管理が行き届かなくなるしな。それに、もう夏目氏の凄みを利かせた声も恐ろしくない。先のジェントルマンスイカ割りと『夏目友人帳』の件からもう夏目氏もピエロにしか見えない。
「…………」
「…………」
「…………」
全員ハイジさんからの指示待ちか。
「あの、夏目猿之助さんは……」
次の展開待ちで停止した仮設テントの空気を再起動させたのは、メガネをかけた女性だった。就活の面接に向かうようなスーツで細身、穏やかな顔つきだが眉毛の根元に少し寄った皺とメガネの奥の眼差しが芯の強さを感じさせる。
「陣内一葉の妹の陣内二子と申します」
陣内一葉の妹の陣内二子!
「兄がまたご迷惑をかけていると」
ハイジさんと違って最初からしっかりしている! 夏目氏も背筋を正し、椅子へと二子さんを案内する。
「俺が夏目猿之助だ。そしてこっちの右からアン、ポン、ターンが陣内一葉のサークル仲間。審判ごっこをしているのが小林だ」
「小林さんの噂がかねがね伺っております」
共犯者としてか、愉快犯としてか。
「確か『萬斎抄』による邪神アマカゲルの復活でしたね。兄がいつごろから儀式を始めたかは」
「約12時間前」
「でも、さっき中断しましたよ。夏目さんと、フフッ、ジードのジェントルマンスイカ割りの時に」
もうこの状況さえ楽しんでやろうという度胸には感服するぞ良崎。もう夏目氏も諌めようとする姿勢すら見せない。
「だとすると、短く見積もってあと24時間」
二子さんは鞄から古書を取り出した。私はあれに見覚えがあるぞ!
「『萬斎抄』!」
「父のよる写本です」
ページをめくり、邪神復活の項目を開いて机に置く。
「兄とは連絡も取れないんですよね」
「そうだ」
「わかりました。試せることを試してみようと思います」
『萬斎抄』を持ったままサークル棟の前に立ち、ジードが残していった棘付き棍棒を手に取る二子さん。
ここが節目だ。もし、ここで本当に二子さんも『萬斎抄』の力を使役することが出来たら、私もこの事件についてみる目を改めよう。水原さん、良崎、小林氏はわからないが、少なくとも私は『萬斎抄』から神獣が出てきてハイジさんの腕を治したのを目の当たりにしている。良崎の壁クラッシュの時は治ったという結果だけだった。しかし、五月のあの日、私は確かに乳白色の神獣を見たのだ。もし、ここで二子さんも何かしらの神の姿を見せることが出来たら、少なくとも二子さんは本当にハイジさんの妹ということになる。何もない空間にビジョンを映し出すような技術は今のところ、ハイジさん以外は持っていない。あの小林氏もだ。
正念場だぞ、ハイジさん主催茶番劇ドッキリ。




