【笹の葉に 結ぶ短冊 おもうもの】第5話 期末だヨ! たくさん集合! その4
-ジェントルマンスイカ割り対決-
・目隠しをし、20m離れたスイカを割る。先に割った方の勝利。
・しかし、あくまでもジェントルマンでなければならないので、スイカまでの20mの間にいる水着の女性に指一本でも触れると失格となる。
・また、第三者による介入も失格となる。
・全ての判定はジャッジ小林に従うこと。
・この競技の発案者はお笑いコンビさまぁ~ずの大竹一樹氏であり、『神さまぁ~ず』にて『ジェントルマン№1決定戦』と題して放送され人気企画となった死亡遊戯。さまぁ~ずの三村マサカズは「一番子供に見せたくない番組」と語っている。
・初代ジャッジは有吉弘行。
袖をまくった夏目氏は木刀、ジードも棘付き棍棒とそれぞれの得物を携えてスタート位置についている。スイカとの間にはハイジさんが『萬斎抄』で召喚したのか、水着の美女が10人ほどうつ伏せで寝転がり、縦縞の服に着替えさせられオフサイドフラッグとホイッスルを装備させられた小林氏が忙しなく動き回っている。小林氏は『演劇部』会長の器ではないだろうと思っていた時期が私にもあったがそれはどうやら間違いだったようだ。小林氏、一見自分の趣味の世界に没頭する気質かと思いきや、意外とバイタリティと行動力溢れる、度胸良しの目立ちたがり屋だ。
「目隠しをする前に夏目ぇ~! 先日仕入れた情報によると」
ジードがメモ用紙大に細かく切ったカレンダーをポケットから取り出した。どうやらあそこに何かが書いてあるらしい。
「『正義の剣天秤』こと夏目猿之助は、高校時代思いを寄せる女子がいてぇ!」
言いふらすためか、よく響く声で抑揚をつけてジードが読みあげる。
「その女子が『夏目友人帳』が好きだったからその子のメールアドレスを聞いた時に、夏目友人帳に登録した、と言ったというのは本当のことなのか!?」
うっわぁー……。
「しかしそれで懲りず、成人式でその子と再会した時にフェイスブックをさりげなく『夏目友人帳』と言ったというのは本当のことなのか!?」
これは失笑ものだ。夏目氏の消したい過去も、それをわざわざ切り札のように得意顔で切るジードにも。
「事実だ」
潔いぞ夏目氏! でも周囲の反応を見たくないからなのかすぐに目隠しを自分で巻いてしまった所はノット潔いだぞ!
「そんなヤツにジェントルマンの資格があるって言うのかなぁ?」
ヒャッハッハッハ、とジードが高笑いをあげ、既に夏目氏が目隠しをしているから遠慮なくとジード以外は苦笑を浮かべている。へぇ、ジェントルマン対決か。夏目友人帳と自慰度。ジェントルマンってなんなんだ。
「あっはっはっは! はい、スタート」
笑いながらもピィーと主審の長い笛、夏目氏とジードがその場で10回まわり、よたよたと前進を始める。ただのスイカ割りでさえも20mという距離は難しいと言うのにも拘らず、さらに今回はジェントルマンルールがある。むしろ、どちらが先にスイカを割るか、よりもどちらが先にジェントルマンルールに触発して失格になるかが勝敗を分ける。
……もし、夏目氏が本当に優秀な人物ならば、これらからはじき出される最も勝算のある戦法にもすぐ気付いたはずだ。
そう、動かないことである。
相手が動き出したのならば、恐らくうつ伏せの水着の美女に蹴躓いて自滅するだろう。夏目氏はジードの自滅を待てばよかったのに、バカ正直によたよたと歩みを進める。スイカ割りで動かない、などというルールの穴を突いた多少卑怯さがある戦法を選択することは、彼の正義感に比べればほんのちっぽけなものだったのだろう。もしくは『夏目友人帳』のエピソードを暴露したジードに本気で腹を立てているか。尤も、夏目氏がうつ伏せの水着美女の場所を完全に覚えているからそれを避けて進むことが出来る、という見方も出来なくはない。
「うわぁ、ジードなにげに賢い」
ジードもまた、体が触れなければジェントルマンというルールの穴を突き、棘付き棍棒を白杖代わりにして予め美女の位置を把握してジェントルマンアウトを未然に防いで夏目氏に後れを取っているものの、危なげなく歩みを進めている。
「ピッ!」
ジャッジ小林氏が鋭く笛を吹き、夏目氏とジードはその場で一時停止する。
「指導」
見えていないのがこれ幸いとジャッジ小林氏、満面の笑みでジードの肩に手を乗せる。突然の接触にジードも「うわぁあ」と体をばねのように弾かせた。
「プレイ再開後は得物でも触れた場合はアウトね。夏目さんも美女の場所を覚えてしまっているかもしれないので、プレイ再開後は美女たちは匍匐前進します」
「なぁんだよ~!」
とジードは顔を歪ませるが、夏目氏の口は真一文字に結ばれたままだ。多分、ハイジさんはこれを見て腹を抱えて笑っていると思うぞ。
【自己批判】
元ネタはDVD『神さまぁ~ず』で。




