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うぉくのふぉそみつ リターンズ  作者: ムッシュ志乃
6月編
32/185

【然るべく 水玉模様と 雨粒と】第5話 対決大学 その3

「ママ? 今日は学校に泊まることになったの。大丈夫よ。銀さんもいるし。えぇ、代わろうかしら?」


 対決大学第一回戦『日の目を見られない貯水池決戦』の会場である貯水池に向かいつつ、すでに暗黒ゴスロリ化した良崎は外泊の電話を自宅に入れている。そういえば、ゴールデンウィーク旅行でも良崎はハイジさんの瞬間移動で強制送還されているので唯一人外泊の前歴はないのだ。


「会長の水原です。お嬢さまの安全は命に代えてでも保証しますので……はい、はい。了解しました。ご理解感謝いたします」


 中間管理職は大変だなぁ。相手は外国人なのに。


「曾根崎、お前はなんかアレだな。お前だけキャラ立ってないな」


 ハイジさんが私の肩に手を置いた。


「和装に軍服にゴスロリとみんなが出オチ過ぎるからじゃないですか?」


「こばやっちゃん! 今の撮ったか! 俺たちのアイデンティティを出オチ扱いしたぞ人権侵害だ!」


「回ってないです」


 チッ、とハイジさんが舌打ちをした。

 六月と言うこともあり、日没の時刻は遅い。19時に迫ろうとする時刻を迎えても未だに日の光が豊潤な水をたたえた貯水池の水面に揺れている。


「では、第一回戦『日の目を見られない貯水池』決戦のルールを説明します」


 全員が支給されたヘッドライトを頭に装着している。街灯の明かりはあるものの、本格的に日没を迎えればそんなものあってないようなものだ。誤って池に落ちようものなら、特に吸水力と容積の高そうな服を着ている良崎など水死体になってしまうだろう。PVで警察沙汰が起きることは許されない。


「えー貯水池には多くの生物が生息しています。制限時間内により多くの生物を捕獲した者の勝利とします。また、捕えた生物の捕獲難易度等によってポイントは変動しますので、質より量で荒稼ぎするもよし、大物狙いに絞って大逆転も良しです。釣竿、網などの必要な物資は用意してあるのでご心配なく」


「主な生息生物は?」


 良崎が尋ねると水原さんよりも先にハイジさんが答えた。


「アメリカザリガニ、ブルーギル、グランドシーサー、フナ、コイ、エビ、メガピラニア、ブラックバス、あたりは見たことがある。っていうかブルーギルは俺が放流しちまった」


 ブルーギルだけじゃなくてグランドシーサーとメガピラニアもだろう。


「じゃあわたしはグランドシーサー狙いで」


 良崎はガンセキオープンの荷台で一番頑丈そうな巨大な釣竿を握った。針も成人男性の人差し指くらいの大きさ、糸もグランドピアノぐらいならば吊るせそうだ。


「ん? グランドシーサーって何食べるんですか?」


「ミミガー。じゃあ、俺も大物狙いで行くわ。俺たちはお前らみたいにみみっちく狙いに行かないからな。凡人はちまちま金魚でも取ってろよ」


 なんだとう。

 というか、ハイジさんしゃべり上手いな。さすが慣れているというところか。


「じゃあ私はブラックバスで。餌つけられないんで……」


 対照的に水原さんはハイジさんと違って元帥キャラを貫けずにいるようだ。予めルアー付きの釣竿を手に取った。


「じゃあ僕もそれで」


 同じものを今日の相棒に選ぶ。良崎は何故か荷台にあったミミガーを針に突き刺し、グランドシーサーの餌とした。


「足りないものは買い足してきていいですよ」


 と小林氏。


「ハイ、日没ですね。対決大学第一回戦『日の目を見られない貯水池』スタート! 制限時間は日昇!」


 日昇まで……。何時間だ。


「本当に日の出までやるんですか!?」


 良崎が驚いた声を上げた。


「当然、編集でインチキするんですよね?」


「MVPは俺のもんだー!」


 私と水原さんが竿を振り上げるのと同時にハイジさんが夜の貯水池に飛び込んだ。

 ハイジ入水!


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